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第三百三十二話 アイス屋さん始動

「おー、もう人が集まっている!」


 ブルーノ侯爵領の収穫祭当日。

 朝早くからブルーノ侯爵領へ向かうと、既に多くの人が街に繰り出していた。

 一部では出店も営業している。


 俺達は、まずはルキアさんにご挨拶。


「「「おはようございます!」」」

「おはようございます、皆さん。今日は色々と宜しくお願いします」


 ルキアさんはアルス様と共に、沢山来ている来客の対応に大忙し。

 邪魔をしちゃ悪いと思って、挨拶は簡単にして切り上げた。


「しかし、本当に聖女様はサトーの女装だったんだね」

「あはは……」


 毎回恒例の俺か女装してびっくりで、今日はイルゼ達がびっくりしている。

 収穫祭の格闘技大会はお昼から始まるので、それまでは自由行動。

 ミケ達は、早速屋台の準備を始めた。

 必要な道具は、スラタロウのアイテムボックスに入れてきた様だ。

 皆も手伝って、あっという間に屋台は完成。

 何だか作りが、前世のお祭りの屋台の様だ。

 そして、お店の名前は聖女様のアイス屋さん。

 何で俺の名前になっているのかは、議論の余地はあるだろう。

 しかも、普通のアイス屋さんの作りになっている。

 

「ミケ。アイスクリームディッシャーなんて、どうやって作ったんだ?」

「親方に頼んだの。こういうのが欲しいって頼んだら、任せろって言ったよ」


 成程、ドワーフの親方の職人魂に火を付けたか。

 こんなものを作るなんて、流石としか言い様がない。

 そしてアイスを冷やすのにてっきり魔法を使うのかと思ったが、そうではなかった。


「ふふふ、これは冷凍魔道具の試作品。丁度良いから試しに使うの」

「いつの間にそんなものを作ったんだよ」

「これは野菜とかをお肉の鮮度を保つのに使うの。お店でも使えるようにするの」


 うまく行けば、店頭でも鮮度を保って販売することができるという。

 ただ、残念な事に冷凍しかできないので、今日一日使って改良点をさぐるという。

 何というか、レイアのこだわりは半端ないな。

 

 そしてアイスの登場。

 普通のアイスクリームに、色々なフルーツを使ったアイスに、ミントのアイスもある。

 さすがにチョコ味はなかった。

 個人的には、ドワーフ自治領産の緑茶を使った緑茶アイスが食べてみたい。


「ミケ、アイスはいいんだがどうやって販売するんだ?」

「ふふふ、頑張って作ったんだよ!」


 そう言ってミケが取り出したのは、アイスのコーン。

 カップ型もある。

 そういえば、フローレンスが昨日の日中に子ども達と何かを作ったと言っていた。

 何を作ったかは内緒と言って言わなかったが、これを作っていたのか。

 

「ダブルもトリプルも売るよ!」

「何それ、素敵なんだけど」

「エステルお姉ちゃん、食べてみる?」

「食べる! アイスクリームとイチゴとブドウで!」


 ミケの発言に、食いしん坊のエステルが直ぐに食いついてきた。

 当たり前の様に、ミケにトリプルを頼んだ。

 

「うーん、美味しい! 一度に色々な味を楽しめるよ」


 エステルは、アイスを頬張ってご満悦だ。

 その間にもテキパキと動いて、開店準備は完了。

 座って食べる人向けに、椅子も並べていた。


「じゃーん、準備完了だよ。ちなみに売り子スタイルもあるんだよ」

「ふふふ、これで今日の出店ナンバーワンはアイス屋さんで決定」


 レイアは、あらかじめアイスを盛り付けたコーンを肩から下げた箱の様な物に刺していた。

 これで、移動販売もやるつもりらしい。

 レイアは、早速屋敷の中に入ってアイスを売り始めた。


「いらっしゃい、アイス屋さんだよ!」

「じゃあ、僕はダブルで」

「私はトリプルだわ」

「ミントって、爽やかでいいわね」

「緑茶って、少し苦味があって大人の味だな」


 直ぐにアイス屋さんには、人の列ができた。

 テキパキと接客しているので、そこまでは列は長くなっていない。

 ミケとララとリリに加えて、フェアとオリヴィエもお揃いのエプロンを着て接客している。

 フローレンスに加えてマーメイド族のメイドも手伝ってくれているので、特に問題もおきていなかった。


「サトー様、ルキア様がお呼びです」

「分かりました。直ぐに向かいます」

「お姉ちゃんも頑張ってね!」

「ミケも皆も頑張れよ」


 ミケ達に声をかけて、俺は呼んできた侍従の後に従って屋敷の中に入っていった。


「ミケちゃん、トリプルもう一つ! 今度は別の味にしよう」


 背後で律儀に列に並んでいたエステルが、再びトリプルを頼んでいる。

 俺は何も聞いていないことにしよう。

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