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第三百二十七話 特訓開始

 翌朝、早速入園希望者と共にブレットさんがやってきた。

 子ども達には話をしてあるので、皆応援をしている。


「お姉ちゃん頑張って!」

「そのお兄ちゃんをやっつけちゃえ!」


 かなり過激な掛け声がかかっているが、気にしないことにしておこう。

 ブレットさんは、オーソドックスな格闘術スタイル。

 ガントレットに胸当てと足あてをつけている。

 なので、体を慣らすために格闘術ができるドラコやミケと組み手をする事に。


「はっ!」

「せい!」


 組み手をする毎に感覚を取り戻していっているのか、段々とブレットさんの動きが良くなってくる。

 流石にドラコやミケの方が動けるけど、久々に動いてこれって凄くない?


「はい、飲み物ですよ」

「有難う御座います」


 一時間程動いたところで休憩。

 マリリさんが、皆に飲み物とタオルを持ってきてくれた。

 ブレットさんは、ストレッチをしながら受け取った水を飲んでいる。


「流石の動きですね」

「凄かったよ!」

「いえいえ、かなり体がなまっていて動けなくて。二、三日あれば感覚は取り戻せると思いますよ」


 おお、あれでまだまだなのか。

 俺なんかでは、ブレットさんの相手にならないぞ。


 その後の一時間は、初日ということでオーバーワークにならないように、ゆっくりと組み手をしていたりシルや他の人からのアドバイスを聞いていた。

 

「宰相、内務卿の娘さんって凄いですね」

「強い」

「文武両道で有名だったからな」


 仕事をやりながら宰相と話をするが、仕事もできるし格闘術も強いしスーパーウーマンだよな。

 今日の感じだと、二週間あればかなり強くなっていそうだ。

 バーナードさんの勝ち目って、全くないのではないと思ってしまう。


「そういえば、サトーが人神教国から保護した飢餓状態になっていた女性はどうなった?」

「少しずつですけど、食事が出来るようになりました。まだ流動食ですけど」

「お肉とかはまだ駄目」

「そこまで回復したか。普通はあの状態までいってしまうと、後は死を待つばかりだからな」

「俺もそれは覚悟しました。まだ話せないですけど、焦らずにゆっくりと治療します」


 当初は収穫祭に何とか参加できればと甘い考えでいたけど、流石に無理だと分かった。

 期限を決めずにゆっくりと治療することで、皆の合意が取れている。

 頷きとかもできるようになったので、時間は短いけど子ども達も女性とお喋りをするようになった。

 あと、あの女性はハーフエルフであることが分かった。

 ハーフエルフということに色々な可能性があるけど、今は何も考えずに治療を進める。


「話は変わるが、開拓地の調査にノースランド公爵も手を貸してくれるという」

「それは有り難いですね」

「ノースランド公爵としても、千人以上の領地かできるとなると商機だな」

「川か池があれば大丈夫」

「とはいえ、冬は雪も降るらしいし寒さ対策も必要だな」

「なら新しい魔道具を考える」


 先遣隊は冬まではいないので、寒さ対策はノースランド公爵に聞いてみよう。

 そして、レイアが考える魔道具はまたヒットするだろうな。

 絶対にノースランド公爵が欲しがりそう。


 今日も色々と頑張って帰宅する。

 すると、庭で一心不乱に剣を振っているエステルがいた。


「エステルは、何をやっているのか分かる?」

「えーっと、久々に履こうとしたズボンが入らないとか何とかで」

「はあ、人神教国から帰ってきて、また食事量増えたからな」


 フローラ様に見つかると、ブートキャンプに強制参加だからダイエットを頑張っているのだろう。

 それならお菓子を食べる量を減らせば良いのではと、皆が思っている。

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