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第三百十五話 熱烈な歓迎

「サトー、ちょっと待て。父上から最新の情報が送られてきたぞ」

「おっと、良いタイミングですね。色々と確認してから乗り込みましょう」


 血気盛んな龍の皆様をなだめながら、本拠地に乗り込む前に現在の最新情報を確認する。

 どの拠点でも王国が防衛し、千五百人近い人が魔獣から助けられたという。

 だが、全員がとある報告で手が止まった。


「何とも酷い事じゃ」

「小さな子どもにすることではありません」

「しかも、ロクに食事も取れずに栄養不良だなんて」

「子を持つ親として許せません」


 皆が手を止めたのは、チナさんが対応した報告書の内容。

 小さな子どもを使って魔獣を発生させようとしたことに加えて、栄養不良でミケと同じ歳なのにコタローと同じ位だという。

 エステルやリンの憤りも大きいが、子を持つ親として龍の皆様の怒りに更に火をつけた様だ。

 そんな皆様を押さえつつ、一番冷静なビアンカ殿下が門番に近づいた。

 

「エストランド王国王女ビアンカである。先日の抗議に関して人神教国に馳せ参じた。関係者に取り次いで欲しい」

「ああ、話は聞いているよ。ちょっと待ちな」


 ビアンカ殿下の対応に対して、かなり尊大な態度で応じる門番達。

 その態度に、ますます怒りの炎を上げる龍の皆様。

 

「ほら、中に進みな」


 かなり豪華な門があき、門番に中に進むように言われた。

 全員が中に入った所で、いきなり門が閉められた。


「上より、お前等がきたら処分してくれと言われているのでな」

「ここで大人しく死んで貰おう」


 門番がニタニタ笑いながら手を上げると、魔獣や魔物が一斉に現れた。

 うん、コイツラは全員悪だから手加減の必要性がない。


「分かりやすい歓迎じゃのう」

「ストレス発散には丁度いいですね」

「何をグダグダ言ってやがる。やっちまえ!」


 門番が指示を出す。

 門から寺院までは距離があり、十分なスペースがある。

 そこに現れたおよそ三百を越える魔獣や魔物が、一斉に俺達を襲ってきた。


「うらうらうら!」

「このくらい、屁でもないぞ」


 うわあ、龍の皆様が魔獣や魔物を殴る蹴るで攻撃している。

 相当鬱憤が溜まっていたのか、皆さんの目つきが怖い。


「は!」

「せい!」


 エステルやリンにオリガとマリリさんも、剣を乱舞して魔獣や魔物を駆逐していく。

 あまりの迫力に、魔獣や魔物が怯んでいる位だ。

 ちょっと魔獣や魔物が可哀想に思えてきた。


「うりゃ!」


 ミケも豪快にバトルハンマーを振り回している。

 勿論、タラちゃんやポチにフランソワも混じって、糸で次々と魔獣と魔物を切り裂いていく。

 サファイアも、氷魔法で攻撃しているぞ。

 あーあ、皆さん返り血で人前に見せられない姿になっている。

 唯一攻撃対象から外れている門番が、腰を抜かしてちびっている。

 気持ちはよく分かります。

 俺だって怖いもん。


「ビアンカ殿下、我々は少し冷静になりましょう」

「そうじゃのう。この光景は、かなりひくのじゃ」


 俺とビアンカ殿下は周りの苛烈さに、若干ではなくかなりひいていた。

 そのお陰かは分からないが、冷静さを保っていた。

 念の為に、門番二人から背後から攻撃されないように魔法障壁を張っているが、どちらかというと返り血を浴びないように張っているというのが正しいのかもしれない。


 僅か五分で、三百を超えた魔獣や魔物は駆逐された。

 そして、血まみれのままの状態で、残った門番二人に近づく皆さん。

 門番は、二人抱き合ってガタガタ震えている。

 

「もう終わりかい?」

「それとも、これからが本番かな?」

「「ひいー!」」


 うわ、血まみれの白龍王夫妻が門番に睨みを効かせている。

 これでは、どっちが悪人か全く分からないぞ。


「とりあえず拘束して、王城に送りましょう」

「尋問を受けさせて、何か情報を引き出させるのじゃ」


 俺とビアンカ殿下が他の人に提案すると、門番は助かったといった表情になった。

 尋問対象が少なくなるのは良くないから、龍の皆様やエステル達も納得してくれた。

 タラちゃんに拘束して貰い、直ぐに二人を王城に送った。


「あれ? 王妃様?」

「そろそろ誰か連れてくるかと思って、皆で待っていたのよ」


 王城内の収容所に行くと、何故か王妃様達が待っていた。

 そして、門番を見て一言。


「「「丸々と太っていますわね」」」

「「ひいー!」」


 そうか、さっき報告のあった子どもの事もあるから、太った門番が許せないのだろう。

 そのまま門番は、留置所に引きずられていった。

 あーあ、これでは更に酷い生き地獄を味わう事になるぞ。

 そんな事を思いながら、再び人神教国へと戻った。


「サトー、どうじゃったか?」

「王妃様達が、喜々として門番を留置所へ引っ張って行きました」

「成程、ある意味地獄が待っているな」

「全く同感です」


 戻ると直ぐにビアンカ殿下が様子を聞いてきたが、感想は俺と同じだった。

 さて、熱烈な歓迎を受けたので、こちらも熱烈な対応をしないと。

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