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第百七十二話 王都に向かったふりだったけど……

「では、行ってくるよ」

「「行ってらっしゃい!」」


 謁見の日の三日前に、俺達は王都に向かったふりをする。

 ちなみに今回の謁見は、俺とエステル殿下とビアンカ殿下に、リンさんとミケとレイアが対象となる。

 御者はオリガさんがやってくれるという。

 本当は、当日にアルス王子やルキアさんにヘレーネ様とかも一緒に行く予定だ。

 バルカス様とテリー様は別口で行くらしいので、王都で合流予定。

 何でも、改革派の貴族を紹介したいらしい。

 だが、俺がその貴族を覚えられるかとても不安だ。昔から、人の名前を覚えるのが苦手なんだよな。


「あ、お兄ちゃんいたよ」


 おっと、本来の目的を忘れてはならない。

 ミケがめざとく斥候を見つけたようだ。

 不自然にならないように、だけどわざとらしくならないように話をしながら馬車を走らせる。

 どうやら斥候は、俺達が王都に向かって出発したと連絡したようだ。

 ついでだから、少し馬車を進ませて途中の街によってみようとなった。

 暫く天気も良かったので、路面状況も全く問題ない。

 馬も走りやすいのか結構スピードを出しているが、前の様に暴走しているわけではないので皆も気にしていない。

 あっと言う間に、最初の街に到着。

 

「ここは穀物とかが取れるんですね」

「そこそこ人も多いし、賑わっておるのう」

「一杯野菜も売っている。ゴレス領の野菜も売れるかな?」


 小領地の中では比較的大きい子爵領なので、周辺領地から野菜や果物が沢山集められて販売されていた。

 だけどこれから作る野菜はかぶっていないし、商機はありそうだ。

 休憩をして市場で色々買い込んで、次の街に出発。

 のどかな田舎道が続いていて、特に危険な事もなく進んでいく。

 馬車の中で子爵領で購入した物を食べながら喋っていたら、次の街に到着。


「ここは近衛騎士の見回りできたことあるよ」

「王都に近いので、まさに宿場町って感じですね」


 男爵領とのことだが、宿場町と言う感じで活気がある。

 色々な人種の人もいて、とにかく人が多い。

 エステル殿下も来たことがあるというので、長居せずに次の街に向かう。


「あれ、あれってお城だよ!」


 そんなこんなでどんどんと街を進んでいたら、三時くらいには小さく王城が見えてきた。

 あれ? ゴレス領から王都までは、三日はかかるはずだよね?

 途中あまり休んでいないとはいえ、だいぶ早くついたぞ。


「それで、ついでに王城に寄ったと。呆れたものだな」

「流石に王城にきて、そのまま引き返すのは失礼かと」


 王城のいつもの控室に向かったら、案の定お菓子を食べていた陛下が待っていた。

 ちなみにレイアはちょうどタイミングがいいと言うことで、普段用のと謁見用の執務官服のサイズ合わせをしている。

 暫く待っていると、何故か王妃様に手を引かれているレイアがやってきた。


「ほほー、よく似合っているな」

「ええ、とっても可愛くできているわ」


 陛下も王妃様もよく似合っていると、レイアの事を褒めていた。

 パンツスタイルの服で、色は白を基調にしている。

 それに濃い青色のジャケットの様な服を羽織っている。

 レイアの髪の色にもあっていて、とても似合っている。


「パパ、似合っている?」

「ああ、とってもよく似合っているよ」


 レイアも嬉しそうで、ジャケットをひらひらさせていた。

 あんまり遅くなっても仕方ないので、ここでゴレス領に戻ることにした。

 斥候の人に見つからないようにお屋敷の裏庭にワープしてお屋敷の中に入ると、マリリさんが待っていた。


「おかえりなさい。遅かったですね」

「次々に街に行ったらいつの間にか王都に着いちゃいまして、陛下にあってレイアの服をあわせてました」

「はー、まああの馬なら可能ですね。子ども達も待っていますので、食事にしましょう」


 王都に行くふりが本当に行ってしまったけど、特に問題もなかったし王都入った記録も残せたし良しとしておこう。

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