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第百三十話 王妃達との歓談

 陛下達が部屋を出た後、俺達は着替え担当の人の後について行って謁見用の服に着替える。

 俺とミケと、リンさんとルキアさんとシルク様とで別れて部屋に入る。

 ここで俺が取り出した謁見用の服を見て、着付けの人の目が点になった。


「あの、サトー様? この服の生地は、もしやスパイダーシルクでできていませんか?」

「はい、そうですよ」

「こんな高級品の糸を、どうやってこんなに大量に仕入れたのですか?」


 流石に直ぐに気がついたか。

 俺とミケの謁見用の服には、大量のスパイダーシルクを使ってる。

 といっても、タラちゃん達から提供されたから原価はタダ。

 どう答えようかと迷っていたら、ミケがスパイダーシルクの全てをバラした。


「タラちゃん達が出してくれたんだよ」

「タラちゃんって、もしかしてミケ様の従魔ですか?」

「そうだよ。今日は一緒じゃないんだ。確かアルケニーだったかな?」

「アルケニーのスパイダーシルク! アルケニーから出された糸で作られた服なんて、中々信じられません。しかしこの糸の光沢は、スパイダーシルクだと納得がいきます」


 着付けの人が、俺とミケの服を持って目を輝かせている。

 着付けの人同士で、何か話しているぞ。

 そして、おもむろに俺にスパイダーシルクについて聞いてきた。


「サトー様、スパイダーシルクを王家に卸して頂くことは可能でしょうか?」

「とりあえず、今手元にあるものだけは陛下に献上いたします。何せ生産量が少ないもので」

「ありがとうございます。無理をお申し付け、申し訳ありません」


 そりゃ服飾関連の人なら、スパイダーシルクは垂涎の品だ。

 手持ちにある分を渡して、後は交渉次第かな。

 市場に気軽に流して良いものではないし。

 そうこうしているうちに、俺とミケの着替えが完了。

 まあ一度着た服だから少しは慣れたけど、こんな高額の服はあまり着ることが無いようにしたい。


 元の部屋に戻ると、女性陣も着替えが終わっていた。

 謁見用に誂えた豪華なドレスだ。

 アルス王子もエステル殿下も、謁見用の服に着替え終わって控室にいる。

 そして、初めて会う女性が三人。

 豪華な服を着てアルス王子とエステル殿下にも普通に喋っているあたり、先程の殿下の様な人々だと直ぐに分かった。


「あ、やっときた。サトーとミケちゃんも、こっちに座って座って」

「はーい」


 エステル殿下が待ちわびたと言う感じで、席に座るように手招きをした。


「サトーとミケちゃんにも紹介するね。右からエリザベスお母様とフローラお母様とライラックお母様だよ」


 確か以前リンさんが、ポチにエリザベスと名付けようとしていたな。

 ということは、俺の目の前にいるのは王妃殿下と側室の方々だろう。


「初めまして。アルスの生みの親でエステルの育ての親其の一のエリザベスです。息子と娘がお世話になっております」


 如何にも王族の奥様というべきか、とても聡明な感じのエリザベス王妃。

 銀髪の髪をきれいに編み込んでいて、着ているドレスもとてもセンスが良い。あととてもお胸が大きい。ルキアよりも大きい人を初めて見た。


「私はエステルの生みの親で、アルスの育ての親其の一ですね。フローラですよ」


 フローラ様は、ぱっと見はエステル殿下と姉妹と言われてもわからないくらいに若々しい。

 金髪のショートカットとか長身のところとかも、本当にエステル殿下にそっくりだ。

 そして何故か騎士服で剣を下げている。


「アルスとエステルの育ての親其のニですわ。ビアンカちゃんもお世話になっていますわね。ライラックですわ」


 ライラック様は茶髪の腰までのウエーブのかかった髪で、ほんわかとした小柄な女性。

 なんかアルス王子とエステル殿下の妹にも見えるが、実は既に成人した息子と娘がいるらしい。


「本当はビアンカちゃんのお母さんでもあるリリーカさんもいれば、王妃は全員揃ったのだけどね」

「ビアンカ殿下から、ビアンカ殿下が小さい頃に病気で亡くなったと聞いています」

「リリーカさんは小さい頃から体が弱くてな。妊娠したときも出産できるか随分と悩んだものだよ」

「それでもリリーカさんはビアンカちゃんを産むことに拘ってね。だからビアンカちゃんは、皆で育てようと決めたんですよ。元々他の子どもも一緒に育てていたので、全く問題はなかったのですよ」

「子ども達も年の離れた妹に興味津々でね。結果として堅物のビアンカちゃんと、それを可愛がるみんなということになったのよ」


 王妃と側室同士が仲がよく、子ども達も仲が良いということで、みんなの結束が強いみたいだ。

 エリザベス王妃とフローラ様とライラック様は、それぞれに思い出をかたっていた。


「そういえば先程は陛下が失礼しましたわ。いきなり部屋に入り込んでお茶菓子を食い尽くすなんて、上の人がやることではないですわ」

「そうだね。後でお仕置きをしないといけないですね」

「私達も早くサトーさんとミケちゃんに会いたかったのに、抜け駆けをされた気分ですわ」

「ははは」


 そして先程の陛下の控室の乱入に、王妃様達はぷりぷりしていた。

 きれいな人がぷりぷりしていると、中々可愛らしい。


「アルス王子、エステル殿下。皆様仲が良いですね」

「そうだな。昔から母上とフローラ様とライラック様は仲が良かった。子宝に恵まれたのもあり、全員で子育てしていたな」

「そうだね。女の子ばっかりで、男の子は三人しかいないけど。子どもが好きなんだろうね」


 アルス王子とエステル殿下の言い分も良く分かる。

 今もミケを捕まえて、紅茶やお菓子を勧めたり話を聞いていたりしている。

 王城で過ごしている違法奴隷にされた子ども達も、王妃様自ら面倒を見ているという。

 未成年の子どもがエステル殿下とビアンカ殿下しかいなく、しかも今は王城にいないので代わりに子ども達と触れ合っているという。

 成人済みの子ども達はそれぞれ働いていたり貴族に嫁いでいたりと不在な事が多いので、中々会うことはないそうだ。

 と、ここでエリザベス王妃が俺にとある質問を打ち込んでいった。


「そういえばサトーさん。サトーさんが聖女サトーって本当ですか?」

「ブフォ」


 危うく紅茶を吹き出しそうになった。

 その話が既に王妃にも伝わっているとは。

 そこにフローラ様とライラック様が続いてくる。


「エステル、ミケちゃん、その辺りどうなの?」

「ルキアちゃんやリンちゃんにシルクちゃんにも、聖女サトーの事を聞きたいわ」


 おお、何だか目を輝かせて女性陣に聞いてくる。

 アルス王子は自分に聞かれないように、空気になることに徹している。


「うーん、大抵の聖女伝説は事実だよね。サトーが女装すると女としての威厳なんて吹き飛ぶし」

「お兄ちゃんがお姉ちゃんになると、とってもきれいだよ」

「エステル様の言い分も分かります。本当に女装したサトーさんはきれいですし」

「男性からみた良い女性を演じてますよね。女装したサトー様をみて、男性の方は一目惚れ状態になりますし」

「私もサトー様の女装姿にビックリさせられました。あの姿で偉業をおこなえば、聖女や女神と言われるのも納得です」


 あのー、皆さん。何で噂の真相ではなく俺の女装の話をしているのですか?

 ワクワクしながら話を聞いている王妃様も、チラチラと俺の事を見ているし。

 ここでミケが余計な一言を投入してきた。


「あ、お兄ちゃん。サーシャさんからお兄ちゃんに他にも服があるって」

「ミケ、もしかしてドレスじゃないだろうな?」

「お兄ちゃん大正解! 良くわかったね」


 何でこのタイミングで話すのかと思ったら、案の定王妃様の目が光った。


「サトーさん。謁見が終わったら着替えましょう」

「この目で聖女を見てみたいです」

「着付けを直ぐに手配しないといけませんわね」


 嗚呼、あっという間に話が纏まっていく。

 アルス王子がご愁傷さまという顔をしているよ。

 

 ガチャ。


「皆様、謁見の準備が整いました。ご案内いたします」


 助かった。

 執事さんが、謁見の準備ができたと声をかけてきた。

 それでも王妃様はニマニマが止まらないようだ。


「サトーさん。謁見が終わりましたら今度は聖女サトー様ですね」

「大きめの控室を押さえておきます」

「教会もサトーさんに会いたいと言っていたので、直ぐに呼んでおきますわ」


 更に話が大きくなっていく。ワクワクが止まらないのか、侍従に指示を出した後も夢見心地の様だ。


「サトー、母上はああなると止まらない。素直に諦めた方が良い」


 アルス王子から何とも言えないアドバイスを貰いながら、執事さんの先導で謁見会場に向かうのであった。

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