1/1
始めのプロローグ
ここにいない人の残り香をかぐ。
あちこちに漂うあの人の匂い。
私を選ばなかった賢いあの人の匂い。
この香りをかぎながら私は最大限の祝福を唄う。
あの楽しかった時間を思い出す。今でもあの時間にいるような気がする。
なんで私を選ばなかったのかも、その選択が間違いじゃないこともよくわかるし、正しいまでもあるかもしれない、でもそんなの関係ない。
私はあの人の隣にいたかったから居たしあの人も私の隣にいたいんだと思っていた。
結局は全く見当違いだったとしても、それでもなお最後まで寄り添っていたかった。