オタッキーな俺の再来
ーー知らない天井だ......
人生で1度は言ってみたいセリフランキング第63位を俺は呟いた。
ベットから飛び起き周りを見渡す。50畳ほどある大きな部屋......内装もどこの王家の寝室ですか? と質問したくなる程の代物だ。
何故こんな豪華な部屋で寝ているのか、その事を理解するのに数秒かかった。
「あぁ......転生したんだな......俺」
俺が今いるのは大陸の離れにある大きめの島国。ジャップ国である。ジャップ国とかクソ雑魚そうな名前をしているがこの国を治めるのはムサシ・サタン。人間達からは通称魔王と呼ばれる存在だ。
ムサシ・サタンの三男坊コジロウ・サタンというのが今世での俺の立ち位置のようだ。まさかの魔族である。しかも魔王の息子。
前世で人間の最大の敵である魔王の息子にされるような悪行した覚えねぇよ。社会的に立派な社畜をしつつクールが変わる度に全ての深夜アニメを毎週録画で予約し見るのが趣味のか弱い人間だったよ。
前世では立派な社会人オタクしていた俺が魔王の息子など到底無理な話である。前世でンゴwしか言ってなかったし。
まあそんな事は置いといて俺は5歳にして前世持ちの魔王の三男坊になったというわけだ。これはついに俺も異世界で俺TUEEEE!!! できる時が来てしまったのか?スターをバーストしてストリーム出来てしまうのか?おっおっ
そんな馬鹿なことを考えていると扉がノックされた。
「坊ちゃん、夕食の用意が出来ました。」
どうやらこの家の使用人のようだ。使用人いる家に生まれるとか前世の俺ならニート一直線じゃんね。
「分かった、すぐ行くよ」
俺は軽く返事をして家族の集まる食事部屋へ向かった。
ーーーーーーーーーーーー
「遅かったじゃないかコジロウ」
「貴様この我をほんの数秒でも待たせるとは何事だ!」
「リョウマ兄さんうるさいですよ。頭まで筋肉ですか?」
食事部屋に入ると三者三様の反応を見せた。遅かったなと注意してきたのは俺の父親ムサシ・サタンである。
黒髪を後ろで束ねており前世の外人に見せようものなら、oh!ジャパニーズサムライ!と言われても仕方のないような様相である。目付きがとても鋭くにらめっこでもしようものなら眼光で死ねるね。
「父さんごめんさっきまで寝ててさ。」
「貴様!我を待たせた理由が寝坊など言語道断だぞ!」
俺の言い分に噛み付いてきたのは長男のリョウマ・サタン。
見た目は某アニメのギルガメッシュよろしくな様相だ。わかりやすくいうとパツキン王子だな。こちらは自分が世界の中心であるとでも言わんばかりの物言いと思考をしているようだ。脳内お花畑野郎の脳筋野郎だな。知能よりパワーとか言い出しそうだ。てか俺が遅刻してきて待ってた時間が数秒とかこいつも遅刻してんじゃねえか。
「リョウマ兄さんも遅刻してんじゃん」
「我はいいのだ」
「良いわけないでしょ。いい加減にしないとそのおめでたい頭に花植えますよ」
リョウマ兄さんに辛辣な言葉を放ったのは次男のシンサク・サタンだ。
藍色の髪の毛に何処の図書館の秘書ですか?と聞きたくなるような賢そうな顔をしている。体はあまりごつくないが魔王の息子だし弱いとは思えないな。魔法とか使うタイプなのだろうか。
「シンサク!貴様我に向かって何たる口を......」
「リョウマ、黙れ」
「けど父さん!シンサクが我に侮辱を......」
「お前も遅刻したのは事実だろう。これ以上ごちゃごちゃ言うな」
さすが現役魔王。ただの家族の会話なのに圧がすげえぜ。ブラック企業の圧迫面接とかがアリンコ並に見えるわ。
「こちらが今日の夕食になります」
使用人が運んできたのは高級懐石料理よろしくなメニューである。見るからに高級そうな肉や魚ばかりを使用したものばかりである。
それが普通かのように家族は食べ進めていく。いや前世の記憶が戻るまではこれが当たり前で何の疑問も持たなかったけどさ。前世の貧乏くさい性格が復活した今の俺ではパクパクと食べ進めるのにはすこし躊躇してしまう。
「どうしたコジロウ。食べないのか?」
「いや少し考え事をしてただけ」
俺が食べるのを躊躇している父さんが疑問に思ったのか問いかけてきた。いや問いかけてきたっていうかあの顔で言われたら強制されたようなもんだけど。怖い上司に俺の酒が飲めねえのか?って言われたら気分だわ。
「父さん、前世の記憶とか持ってる人っているの?」
「ああいるぞ」
「やっぱいないよ......いるの!?」
「前世の記憶を思い出す年齢は様々だが大体500人に1人くらいはいる」
「けっこういんじゃん......」
どうやら前世の記憶持ちの俺TUEEEE!!!はこの世界では不可能のようである。ちくせう......まさかこんな最初に躓くとは......。いや逆に考えるんだ。今通じる相手がいないオタク趣味を分かち合える友に出会える可能性があるということだ。そう思うとなかなかにいいな。
俺の大好きだった国民的筋肉魔法少女アニメ『マッスル村山』に登場するヒロイン『トマミ』ちゃんについて語れる同士が出来るなら前世持ちがいっぱいいても大歓迎だ。むしろ10人に1人くらいいてもいいや。
「なんだコジロウ。お前前世の記憶でも思い出したのか?」
「そうみたいでさ。さっきからちょっと混乱してるんだよね。食事が進まないのもそのせい」
「ほう。前世のお前はどんな奴だったのか聞かせてくれぬか?」
「オタクだったよ」
「オタク?なんだそれは」
「好きな人のために大切なもの(金)を捧げる存在」
「なかなか立派な前世だったようだな。それでこそサタン家の三男に相応しい」
嘘は言ってないよ。愛するトマミのために毎月の安月給から食費をギリギリまで削り捻出したお金を全て新しく出るグッズを買い揃えるために使っていたのだから。俺こそがトマミが生み出した愛の超戦士だったんだよ。
そんな前世の俺の記憶に思いを馳せながら家族での食事の時間は過ぎていった…...
ーーーーーーーーーーー
部屋に戻った俺はこれからどうするか考えていた。
魔王の息子として生まれたからにはある程度の戦闘力は必須になるだろう。周りから狙われる可能性があるからというよりは父さんが強くなろうと努力しないのは許さないだうろう。
明日からこの家の剣術が得意な人にでも師事するか。ファンタジーな世界に転生したら剣術を極めてまたつまらぬものを斬ってしまった.....とか言ってみたかったしね。あと魔法も使いたいな。できれば特大のメラとか放って、メラゾーマだと!?とか言って相手に今のはただのメラだとか言ってチビらせたいな。
そんなこれからの生活にワクワクしながら俺は記憶を思い出して初日の夜を過ごした.....
ちなみに魔法少女のトマミは17歳である。
ピチピチのキャピキャピだね




