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彼女の帰還  作者: Tro
#8 海賊の海
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#8.2 海賊の海

働きづめのエリカである。珍しい。

ブリッジにココナとリョウが仲良く手を繋いで登場だ。その様を直視できないヒロ。だが、チラッとココナの笑顔を見て現実を知る。リョウが手を上げてエリカに合図している。


「やあ、助かったよ。あ」


船内にレッドアラーム響き渡り、スクリーンに警告が出た。戦士に休息は、無い。海賊船が接近してきたようだ。


ブリッジの窓は分厚いシェードで覆われ、暗くなったブリッジに大きなレーダーが表示された。海賊船は一隻。こちらに急速接近中だ。


レーダーの横に、その海賊船が映し出される。古い木造船で動いているのが不思議なくらいだ。”ほね” と書かれた旗を掲げている。間違いなく海賊だ。甲板には人影は見えない。幽霊船か。だが、よく見ると細い何かが動いている。映像を拡大してみよう。何と、骸骨が忙しく動いている。衣服が無いところを見ると、全員裸のようだ。


この映像を見て、ココナがリョウの腕にしがみ付いている。リョウは大丈夫だと言わんばかりの態度だ。ヒロは、どうした。ヒロは骸骨を見て驚くばかりだ。エリカは不敵な笑みを見せている。


海賊船は昔ながらの大砲で、こちらを攻撃してきた。玉はまだ届かないが、落下地点で水しぶきが上がる。


「進路変更、海賊船へ迎へ」


エリカの号令のもと、大五郎Sが進路を変える。船員達は一様に驚く。


「どうするつもりだ、エリカ…さん」


ヒロが叫ぶ。どうするこうするも、全てはエリカ次第だ。この船に乗った時から運命は決まっている。


「近代戦と言うものを、教えてやる」


船が海賊船に真っ直ぐ向きを変えた頃、エリカの号令が轟く。


「魚雷発射準備、1番発射」


確かに、この船は客船ではなく戦艦のようだ。スクリーンに魚雷の軌跡が映る。固唾を飲んで見守る船員達。当たるのか、外すなよ、当たれよ、当たった。海賊船の土手っ腹に命中した魚雷で炎が立ち上がる。みるみる海賊船は傾き、骸骨が海に飛び降りていくのが見える。どうやら勝利のようだ。


海賊船は旗だけ残し沈んだ。

船員達の歓喜の声がブリッジに響き渡る。が、何と海賊船が再浮上してきたぞ。さすがは海賊。その負けん気だけは褒めてやろう。


ブチッジに船員達の戦慄が走る。沈没した船が浮き上がる、まさしくオカルトだ。超常現象を目の当たりにした船員達は阿鼻叫喚。科学の力では太刀打ちできない。あとは神に許しを請うだけだ。


その祈りが天に届いたのか。海賊船は浮上したものの、後退していくではないか。


「魚雷発射準備、2番発射」


追撃するのはエリカの得意な戦法だ。

今度は二度目なので、同様に当たるだろうと油断している船員にガツーンと、スイートポテト号(仮)が攻撃を受けた。


その衝撃でココナが悲鳴と共にリョウに抱きつき、それをチラ見したヒロがエリカを見る。エリカは堂々としたもので、ビクともしない。船員の誰もが魚雷の行方など関心がないようだ。


魚雷はしっかりと命中し、前回と違い海賊船を粉々にした。

これでもう、再浮上する”もの”が無くなったわけだ。


スイートポテト号(仮)を攻撃したのは、敵の空軍部隊だ。それが爆弾を落としていった。だが、この船は頑丈だ。これくらいでは壊れない、はず。


◇◇


海賊船を粉砕した冒険団+リョウの前に、またまた新たな敵が現れた。海賊船団だ。先程の一隻は、ただの様子見程度しかないようだ。船団の数は、数え切れない程、または数えるのが面倒になるくらいの数だ。水平線にずらっと並んでいる。


さあ、これをどう見るかだ。

大船団で仕掛けないと、冒険団+リョウを倒せないと考えたか、はたまた、ただの暇潰しか。どっちだ。おそらく、どちらでもないだろう。海賊の考えることは常人には分からないのだ。おっと、面倒なのでリョウも冒険団の一味としよう。これですっきりだ。



さて、攻撃を受けても微動だにしなかったエリカだが、そのプライドは傷ついたようだ。目には目を、歯には虫歯を。相手が飛んでくるのなら、こっちも飛ぶ。そこで急遽、飛行部隊を組織することをエリカは決めた。


「志願する者はいないか」


エリカは船員達の心の奥底を覗き見る。その眼差しは悩ましい。


「僕が、やります」


リョウが手を上げた。

断っておくが、エリカはただ”志願する者”としか言っていない。何の志願なのかは、当たってからのお楽しみだ。ヒロが”バカなやつだな”と思った瞬間、ココナが『私もやります』と名乗りを上げた。ヒロが ”失敗した” と思っても後の祭りだ。


「良かろう。許可する」

「ありがとう、エリカ」


リョウが笑顔でエリカに礼を言ったので、エリカが送る言葉を授ける。


「潔く、散って参れ」

「えっ」


エリカはリョウ達を後ろの部屋に行くように指示したが、その前にシロを呼び出し、大五郎Sとハイタッチを交せた。これは何かの御呪いか。それと、いつからエリカの後ろに部屋があったのは分からない。


リョウ達が部屋に入ると、ちょっと豪華な椅子が前後に並んでいる。前にリョウ、後ろにココナが座った。二人が座ったところでシートベルトのようなものが椅子から飛び出し、二人の体を縛りつける。ココナの椅子だけ前に安全バーのようなものがあり、それにシロがしがみついた。次にヘルメットが落ちてきた。ココナの頭にはスポっと嵌ったが、リョウは頭で弾いてしまい、どこかに転がっていった。


これで準備は整ったようだ。リョウ達の周りが折り紙のように畳まれ、狭い空間ができあがる。そして、その全体が持ち上がり、天井付近が扉のように開いた。あとはガキーンガキーンと音がして完成だ。


青い空に千切れた雲。点在する敵の飛行物体。そこに向けて完成した戦闘機が角度70くらいに傾き、ドカーンと打ち上げられた。二人の悲鳴は二人以外には聞こえない。安心した。ちなみに戦闘機の名前は、ポテト・ファイターだ。そういえばヒロが操縦した救命艇にも名前があった。あれはポテト・セイバー。もう登場しないが。


ポテト・ファイターには全自動ワクワク機能が搭載されている。未経験でも十分、空の旅が満喫できる。敵機の背後に回り、ここでは球数に制限のあるミサイルではなく、レーザービームで敵をやっつける。照準の精度を上げるためにシロが頑張っている。大五郎Sとのハイタッチはこのためだったようだ。リョウは臨場感を高めるための効果音担当だ。敵に狙われ銃撃されるが、ポテト・ファイターは華麗にスルーする。リョウの叫び声がココナの闘争心を煽るのに十分過ぎるくらいの効果を上げている。ガンガンとビームを撃ちまくった。ココナの笑みが怖いくらいだ。


◇◇


ヒロはブリッジでミサイル攻撃担当だ。

こちらも全自動ドキドキ機能搭載で1024か所同時照準が可能だ。あくまで照準だけで、ミサイルは24発までしか同時発射できない。ミサイルは制限時間内なら無制限だ。その制限時間とはどのくらいなのだろうか。


無数に出現した海賊船団に対してミサイルを連発する。全自動なのでヒロは見ているだけだ。少しもドキドキしない。ミサイルの当たった海賊船はレーダーから消え、数が減っていく。それを満足そうに見ているエリカ。暇そうにしているヒロだ。


スイートポテト号(仮)、略してポテート号はココナの活躍により、あれ以来、攻撃を受けていない。万事うまくいっているようだ。


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