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25 馬車の独裁

お気付きでしょうか。

しれっと章タイトルを変えております。

プロットをしっかり練っていなかったせいで、「あ、これ章タイトル通りの内容までいこうと思ったらこの章めっちゃ長くなる!」

ということに今更気付き、章をずらしました。

申し訳ありません。

 毎日町に残してきた者たちと連絡を取り合い、全滅が確認されれば進路を変更するという合意に至ったまさにその日の昼だった。

 連絡を取ろうと柘榴石の耳飾りを弾いたアジャットが怪訝な顔をする。


「――ん?」


 その様子に、アトルが声を掛けた。


「どうした?」

「いや――」


 アジャットはもう一度、試すように耳飾りを弾いた。ちぃん、とあえかな音がする。それからアトルに答えたアジャットの声には、焦りの色が濃かった。


「応答がない」


 ざわりと馬車内がどよめく。車内にいた全ての者の表情が、不安げな表情と険しい表情の二つに塗り替えられていく。

 アトルは、自分でも試すように柘榴石の耳飾りを弾き、通信の魔術を起動した。周囲の魔術師たちも、同じように自分でも試していっている。アジャットの耳飾りに不具合が起きたことをまず疑ったのだ。

 アトルの耳元――実際に耳で聞いている訳ではないが――で、ざりざりと耳障りな異音がする。


「どういうこと? オヤジたちに何かあったの!?」


 アリサがアトルの胸倉を掴まんばかりの剣幕で問い質し、アトルは彼女の肩を叩いた。


「落ち着け。

 ――妨害されてる感じだけど、そっちは?」


 アトルの問いを受けたのはミルティアだ。彼女は眉間に皺を刻みながら、二つに結った髪を揺らして首を振る。


「駄目ネ。こっちもぉ妨害されてる感じぃ」


 オリアたちもまた、口々にその旨を伝え合う。

 アリサの表情が一気に険しくなった。


「オヤジたちに何かあったってこと? 誰も答えないってことはどういうことなの?」


「アリサ嬢、落ち着いてくれ」


 アジャットが、緊迫した声ながらも穏やかな口調で宥めた。


「まだ事態が決定した訳では――」


「決定したでしょう!」


 ヘリオが声を上げる。彼は苛立たしげにアジャットを睨み、手近な木箱を平手で叩いた。

 その音に、寝台に座り込むレーシアがびくりと肩を揺らす。


「どれだけ甘いことを言うんです? 通信に応答しない、これはもう確実に全滅したってことですよォ」


 アトルは反射的に言い返した。


「襲われたなら襲われていると、逆にあっちが俺たちに連絡してくるはずじゃねえのか」


「これだからお子様は」


 ディアナが優雅に溜息を零した。


「連絡する間もなく全滅させられたのかも知れなくてよ?」


 アトルが言葉に詰まり、ディアナはそれを鼻で笑ってアジャットに向き直った。


「アジャット。今更合意を撤回するような無粋、あなたはしない人でしょう?」


「…………」


 アジャットは黙り込んでいる。あるいは反論を頭の中で組み立てているのかも知れなかったが、ディアナにそれを斟酌する様子はない。


「そういうことで、進路を変える方がよろしくてよ。どこに行くか、ご希望を伺いますことよ、レーシアさん」


 嫣然と微笑みかけられ、レーシアがきょとんとする。だがこの展開を黙って見ているわけもなく、アリサが怒号を上げた。


「ふざけないでよ!」


 馬車の中でディアナに掴み掛かり、アリサが瞳を燃やして絶叫する。


「勝手に話を進めないで! 私はオヤジたちと合流するの!」


 ディアナは驚いたように目を瞠った。だがすぐに呆れた吐息を漏らし、アリサではなくアトルを見る。


「お友達の躾くらい、きちんとしておいていただける?」


 その言い方に、アトルが怒りの声を上げるよりも早く、アリサが怒鳴った。


「私が話してる!」


 地団太を踏み、アリサがありったけの苛立ちをぶちまける。


「身内だけで話を進めやがって! 私がここにいるのは、あんたたちがそう決めたからでしょうが! 責任持って送り届けてよ!」


 ディアナは紅い唇に冷笑を浮かべた。その瞬間に衝撃音が鳴り響き、ディアナに掴み掛かっていたアリサが床に叩き付けられる。痛みに声を上げたアリサを傲然と見下ろして、ディアナは堂々と腕を組んだ。


「なにか誤解しているようね。教えて差し上げますと、お嬢さん。あたくしたちの扱っている問題は、あなた方の楽しい家族ごっこが代償というには高すぎるものでしてよ。安く済んだことを感謝なさいな」


「てめえっ!」


 激昂の声はアトルのものだ。前に出て魔術を行使しようとするアトルの腕を、素早くアジャットが捉える。


「よせ!」


「うるせえ! こうまで言われて黙ってられる理由がねえ!」


 激怒して叫ぶアトルが撃ち出そうとした衝撃波を、アジャットが無言で相殺し、ディアナを見ながら低く言った。


「――きみは、ミラレークスの指定魔術師だ」


 アトルの動きに合わせて身構えていたミルティアもまた、その言葉に頷く。リーゼガルトは御者であるためここにはいないが、いればやはり頷いただろう。


「立場のある者が、ここで感情に任せて合意を破っていいと思うか?」


 アトルに睨み付けられながら、ディアナが優雅に笑いつつ、アトルの行動に対して身構えたディーンやオリアたちを片手で制する。


「アジャットはさすがね。おつむが他の方たちとは段違いだこと」


 アリサは起き上がって、その場の全員を睨み据えた。


「――最低。どいつもこいつも! 連れ出された私が馬鹿だったわ!」


 ディアナが呆れ果てたと言わんばかりの仕草で両手を肩辺りまで持ち上げる。


「あのねえ、お嬢さん。吠えて何とかなる問題じゃなくってよ、お分かり?」


 アリサは魔術師相手に物怖じせずに、ディアナの整った顔を目掛けて唾を吐いた。

 ――空気が凍った。

 そんな中、ディアナが呟くように驚きの声を上げる。


「――まあ」


 唾はディアナの顔に届かなかったものの、ディアナの顔に酷薄な笑みが浮かぶには十分過ぎる所業だった。

 アトルは背筋を戦慄が駆け登るのを感じた。ディアナは樹国の魔術師、しかもかなり腕の立つ方に分類されるはずだ。非魔術師であるアリサを殺すことなど造作もないこと、想像するまでもない。


「ディアナ、落ち着け」


 アジャットが強張った声を出すのと、アトルがアジャットの腕を振り放してアリサの前に立つのは同時だった。

 アトルと顔を付き合わせる形になって、ディアナは艶やかな笑みをなお浮かべる。


「あなたが代わりにあたくしの相手をするの、お坊ちゃん?」


 黙って事態を見ているレーシアが目を見開き、息を呑んでいる。

 窓から差し込む日の光に、ディアナの緑色の目が煌めくのを睨みながら、アトルは極力声を抑えて言った。


「――非魔術師相手に手ぇ上げるのか、樹国の連中は。見上げた根性だな」


 アリサが針で刺されたように全身を強張らせ、ディアナは唇を吊り上げた。くっと目を細め、彼女が囁く。


「レーシアさんの目の前であったこと感謝なさい。そうでなければその子、一瞬で挽肉にしていてよ」


 恐らくその声はアリサには聞こえなかっただろう。

 怒りに震えるアリサに、ジャディスがディアナよりは穏やかに声を掛ける。


「――お嬢さん、きみはレーシアさんの命を救った功労者だ。こちらとて無闇に危害を加える意思はない。だが、それは我々にとってレーシアさんが如何に大切かという証左に他ならないこと、分かるね?」


 アリサはジャディスに目を向け、彼をも睨み付けている。ジャディスは厳つい顔に一切の表情を浮かべることなく、端的に伝えた。


「あの町に戻りたければここから降りて、自分の足で歩いて戻るといい」


 アリサは瞬きすらせずにジャディスを見据え、それから場にいる全員を見渡して、ジャディスの言葉に反論がある者がいないことを見て取っていった。

 それから最後にアトルを見て、初めてその睫を震わせた。アトルもまた、ディアナに半身で向き合って、顔をアリサに向けていた。


「――アトル」


「…………」


 アリサは唇を噛んだ。


「オヤジたちがどうなってるか分かんないんだよね?」


 アトルは息を吸い込み、短く答えた。


「……ああ」


 アリサは縋るように尋ねた。日の光が窓から差し込んで彼女の横顔を照らし、菫色の目で滴が煌めいている。


「アトルのオヤジたちでもあるよね?」


 アトルははっきりと頷いた。窓際でレーシアが目を見開く。


「ああ」


「息子なら、ちゃんと戻って無事を確かめるのが筋だよね?」


 アリサの問いに、アトルが頷く。それを見て、アジャットが呻くような言葉で割って入った。


「待て、アトル青年。きみが合意を破ってでも町に戻ると言うなら――」

「勿論、彼にもここから出て行ってもらうが」


 ジャディスが素早く言い、睨み付けるミルティアに苦笑した。日常そのものの、困ったような顔で。

 アトルは息を吐き、アリサに目を向けて無表情に呟いた。


「俺は、レーシアの傍を離れる訳にはいかない。――ゼーン親父も、そうしていいって俺に言った」


 アリサの顔が悲痛に歪んだ。


「アトル!」


 だが樹国の者たちは、まるで茶番でも見ているような態度だ。それに収拾を付けると言わんばかりにディアナが手を叩いた。


「じゃ、お話は纏まったみたいだから、お嬢さん――」


「アリサは!」


 ディアナを遮り、アトルは声を荒らげた。振り返ってディアナに向き直り、険しい表情でアトルが続ける。


「一緒に育った俺の兄妹だ。こんな所で一人にさせられない」


「我侭が過ぎるのではなくて!?」


 ディアナが痺れを切らし、何かを振り切るように手を横に振り切って伸ばす身振りと共に、苛立たしげに目を細めた。


「レーシアさんから離れたくない。かと言ってその小娘を外に放り出したくもない? ではあなたがその小娘を説得するのね?」


 アトルは相手を挑発するように鼻を鳴らしてディアナから視線を外し、わざとらしくゆっくりと窓際――寝台の上に座るレーシアに近寄った。

 だが、そのことで挑発されたのは何もディアナだけではなかった。


「――もう最低、もう無理!」


 アリサが頭を掻き毟り、叫んでレーシアを指差したのだ。


「私はその子が誰なのか、欠片たりとも知らないの! なんでそんな子のためにこんなことに巻き込まれないといけないの、意味分かんない! ――あなたたちも!」


 アリサは矛先をアジャットとミルティアに向けた。


「いきなり出てきてアトルを連れてって! 何がしたかったのよ! もう耐えられない、私は――」


「アリサ、黙れ」


 アトルがレーシアの前に立って口調に力を籠めたが、アリサはこの半月ほどで溜まりに溜まった不満と鬱憤を吐き出し続けた。



「あなたは、自分がどんなに他人に迷惑掛けてるか考えたことある? 想像したことある? 自分のせいで怪我したり死んだりした人がいるってこと、ちょっとでも悪いと思ってる!?」



 矛先を向けられて、レーシアはアトルの陰に隠れながら目を見開いた。ひょこりと顔を出し、首を傾げて呟く。


「あなたたちのオヤジさんの命を救った覚えならあるけど」


「それもあなたのせいで怪我したんでしょう!」


 激昂したアリサを冷静に見詰めて、レーシアは真面目に返した。


「私は、あなたのオヤジさんのお腹を突き刺したことなんてないけど?」


 アトルは思わず状況を忘れ、振り返ってレーシアに注意した。


「レーシア、今のはまずい」

「え?」


 レーシアがきょとんと目を丸くする。アリサは地団太を踏んだ。


「なんで? なんでそんな風に言えるの? なんでアトルもその子を庇うの!」


 レーシアは、なるほど庇われてはいけないのだな、と合点した顔で、座ったまま位置を横にずらしてアトルの影から出て、首を傾げてにっこりした。


「あのねぇ、アリサ」


 そう言って、レーシアは滔々と説明を始めた。


「私はね、別に私のために争ってくださいなんて頼んでないの。私がとても貴重な化け物だから――」

「レーシア」

「あ、アトルごめん。――とにかく、私がとても貴重だから、みんな私の身柄が欲しくて争ってるの」


 自分のことを化け物と呼んだレーシアを睨むアトルに、レーシアは不承不承という様子で口先の謝罪をする。


「あなたのオヤジさんが怪我をしたのは、あなたのオヤジさんのお腹を刺した人のせいよ。それで、その人からしたらあなたのオヤジさんは善人か悪人かなんて分かんない、関係のない人だわ。その人にも責められる謂われはないわね」


 レーシアは両手の掌を、音をさせずに合わせた。傲慢ですらない日常の声で、淡々と自分の考えを述べていく声に、迷いは一切ない。


「今、町に残して来た人たちがどうなっていたとしても、それはそのことを為した人のせいよ。それでやっぱり、その人からしたら残った人たちは何の関係もない――」


「レーシア、もう黙れ」


 アトルがレーシアの頭を押さえて言い、倫理観の欠片もないレーシアの言葉に顔を顰めた。レーシアは不満げな顔をして、それでも唇を閉じる。


 アリサは激情に震えながら、レーシアを睨み据えてぽつりと言った。


「――なんでアトルがその子と普通に付き合えるのか、私には分かんないよ」


 アトルは目を伏せた。


「別に、それでいい」


 それから目を上げ、樹国の者たちを見据えた。


「――俺はレーシアと離れる訳にはいかない。アリサを一人で放り出す訳にもいかない。ついでに言うと、オヤジに何て言われてようが、俺はオヤジたちのことが心配だ」


 ミルティアが訝しげに眉を寄せ、アジャットと視線を合わせる。ディーンとベティ、オリアがアトルの挙動に注目しつつ身構えた。ヘリオとジャディスが苛立たしげに腕を組む。

 そんな中、ディアナが大仰に溜息を吐いた。


「だったらどうすると? 本当に、なんて我侭なのかしら」


 アトルはそれには答えず、レーシアを振り返って、自身も寝台に腰掛けて視線を合わせた。


「なあ、レーシア」


 レーシアが首を傾げる。


「なに?」


「前に俺に言ってくれたこと、覚えてるか?」


 覚えていなければアトルの脳内計画は全て頓挫する。

 だが、言いながらアトルがレーシアの手を握ると、レーシアは察してにっこりと笑った。


「もちろん。――私のこんな魔力(もの)、いつでも好きなときに使ってくれていいの」


 にやりと笑って、アトルは空いている方の手でレーシアの肩を優しく叩いた。


「ありがとな、レーシア」


 レーシアがくすぐったげに微笑む。それに応えて握った手を軽く擦ったアトルは、彼の考えを読み切れずに訝しげにする一同に向き直って堂々と言った。


「この馬車は今からあの町に取って返す!」


「なんて話の分からない坊やなの!」


 間髪いれず、ディアナがいっそ驚嘆したように言った。ヘリオも目を疑うという顔をしている。他も大体同じ反応だが、ディーンだけが顔を強張らせた。


「……まさか……」


 アトルは感じの悪い顔でディーンを見て、あからさまに見下した表情を浮かべる。


「まあ、これが信頼の差だよな」


 ディアナが訝しげにディーンを見て、オリアがおずおずと尋ねる。


「ど――どういうことです、ディーンさん」


 アジャットが、唖然とした声を出してディーンの答えを遮る。


「まさか――アトル青年――」


 アトルはにっこりした。その隣で、レーシアはやや得意げにしていた。


「そういうこと。俺は今、レーシアの魔力を使える状態だ。つーわけで、俺に逆らったらどうなるか分かるよな?」


 慣性に流されるレーシアが、しっかりとアトルにしがみ付いて得意げに囀った。


「目に見えてるわよね。私の魔力、すごく強いもの」



 馬車の進行方向に関する主導権が、駆け引きに基づく合意から、独裁に移った瞬間だった。



「な――有り得ない、三大禁忌をそう易々と!」


 ヘリオが嫌悪感を丸出しにして叫び、ベティがレーシアの様子に悲鳴を上げる。


「レーシアさん!? 何をされるか分かっています!?」


 あっけらかんとレーシアは頷き、愕然とした各人の表情に神妙な表情になり、言った。


「アトル以外にはこんなことさせないわ。大丈夫」


 何が大丈夫なのか、と皆が思ったことだろう。


 アトルはレーシアの手を握りながら耳元で揺れる柘榴石の耳飾りを弾き、リーゼガルトに軽い口調で伝えた。


「一悶着あったけど、大丈夫だ。

 ――何が何でもあの町に戻るってことに纏まったぜ」



 レーシアの魔力は当代エンデリアルザを凌駕する最強のものである。ゆえに、その魔力を魔術師が使うとなればその威力は推して知るべしと言える。そもそも、ここにいる魔術師たちはアトルがレーシアの魔力を使ったときのことを既に一度見ている。


 三大禁忌に触れることを目の前で宣言され、硬直した魔術師たちだったが、最初に我に返ったのはアジャットだった。


「――アトル青年、無茶が過ぎるぞ」


 その言葉にはっとしたようにディアナが重ねて糾弾する。


「レーシアさんを何だと思っていて!?」


「てめえらに言われたくねえよ」


 アトルが真顔で返し、ディアナもそれには言葉に詰まった。

 それを横目に見て、ミルティアが溜息を零して手を叩いた。


「じゃぁ、取り敢えず、あの町にぃ戻るってぇことでいいのネ?」


 アトルは頑として頷いた。譲るつもりは毛頭ないのだ。


「ああ、そうだ」


 それでいいんだよな? とアリサを振り返る。予想に反して、アリサは固い顔をしており、笑みの欠片もそこにはなかった。余程今回のことが腹に据えかねていると見える。

 アトルの断言に、まずジャディスが両手を挙げた。


「レーシアさんが協力する気に満ち溢れているようですから、出来ることはありませんね」


 ヘリオが忌々しげに頷き、他の者も顔を見合わせながら諦めの表情を浮かべ始める。

 ディーンは心底から腹立たしげにアトルを睨んだが、ここにいる全員を相手取ってなお、レーシアの魔力量からすればアトルに分があることは明らかだ。そのことを弁え、ディーンは無言を貫いた。

 ディアナはアジャットに近寄り、ぼそりと囁く。


「とんでもない坊やですこと」


 アジャットはそれを無視して他所を向き、ディアナは少し悲しそうにした。


 アトルとしては出来ればレーシアの魔力は使わないまま、威嚇力として用いて押し切りたいので、魔術師たちが矛を収めて譲る素振りを見せてほっとした部分があった。

 とはいえ――


「問題は、おちおち安心して寝られないってことか……」


 考え深げに呟いたアトルの言葉に、レーシアは拳を握って気合を見せた。


「頑張って徹夜する」


「いや、おまえは寝ていいよ」


 アトルはあっさりと言って、一刻も早く目的地に着くことを願った。









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