用語解説
○アシャト大陸
舞台となる大陸。
年号はアシャト暦××年。
現在は412年。
○百年戦争
百十年前、宝国が周辺各国に対し宣戦布告なしの大量虐殺行為を仕掛けたために始まった戦争。百年にも及ぶ、史上最多の死者を出した、歴史の上でも最も悲惨な戦争。
・宝国 ジフィリーア王国とルルセット王国に挟まれる、大陸最小の国の一つにして、大陸最強の軍事国家。
・樹国 リアテード皇国とルーゼル王国に挟まれる、大陸最小の国の一つにして、大陸最高の宗教国家。その宗教はアロ・フォルトゥーナ。「あるべき定めのために!」というのが合言葉。
○トニトルス
雷兵とも呼ばれる。人に似た姿と獣の姿、二通りの姿を持っている。
人に似た姿では、金色の肌を持ち、トーガを着て、多く槍を構えている。
獣の姿は雲気を纏う金色毛皮の豪奢な姿で、吟遊詩人たちに讃えられてきた。
空を飛べる。
人のことは狩りの獲物と思っている。
○カエルム
空人とも呼ばれる。透き通るように薄青い肌、金色の目を持ち、姿かたちは人間によく似ているが、彼らには硝子細工のように見える白い翼がある。
空を自在に行き来するもので、種族として元素系の魔術に優れている。その技量は人間の比ではない。
過去、その翼が高値で取引され、人間に襲われ続けた歴史があるために、彼らは人を敵と見なす。
○アニムス
思念跡とも呼ばれる。意識の残像で、多くは、死ぬ間際のもの。
生きていたときの行動をひたすら反復したり、恨みのある者の所に行って祟ったりする。
対処法さえ知っていれば恐れることはないらしい。
幽霊ですね。
○魔力
多くの人が持っている、この時空に存在しないはずの、純粋な「力」。
大抵は弱く、意思の力にも負けてしまうが、宿主の生命の危機には反応して火花を散らすくらいのことはする。逆に意思の力を吸収できるような強さを持つ魔力はまあまあ稀。
○属性
念動系、元素系、精神系の三つがある。
魔力に付与して、魔力によって引き起こす現象の形態を指定する。
精神系の魔術は二つ同時に使用してはならない。
精神系の魔術を駆使すれば他人の魔力も使えるが、それは全ての国家が法で禁じている最低の行いである(親告罪)。
○術式
属性を付与した魔力をこれに当て嵌めて初めて「魔術」が完成する。
術者の望む事象を限定し、魔力によってそれを引き起こすためのもの。
属性を付与する作業と術式を付与する作業は明確には区別できるものではなく、術式の中に属性を付与するための命令が含まれていると考えられる。
未熟な魔術師あるあるに「属性は付与できたけど術式に上手く当て嵌められなかった!」というのがある。その場合起こるのは属性を付与された上での魔力爆発で、周囲にいるベテランが対抗属性で被害を抑えてくれることを期待できる。
しかし、属性すら付与していない魔力を爆発させると、周囲も自分も大惨事になる。
○魔術師
上記の「魔力、属性、術式」を使いこなす稀少な人々。
魔力法協会は現在これの人手不足に喘いでいるが、そんなのどこも同じことである。むしろ全世界に支部を持つ魔力法協会が魔術師を独占し過ぎだろ、という指摘もある。
非魔術師相手には無敵の戦闘力を誇る。
作中では結構出て来ます。
稀少な人たちが沢山出張ってくるほどに、事態が深刻かつ大規模ということです。
○魔力法協会
全世界に支部を持つ、魔力の監督係みたいなことをやってる組織。
民間人は多くミラレークスの支部で魔力を測り、魔術師になれるくらいの魔力が検出されると、魔力の三大禁忌を教え込まれる。
○魔力試金石
単に試金石と呼ばれることも。
触れるものの魔力に反応して透ける性質を持つ、漆黒の石。
個人所有は不可能なくらいに高価。ミラレークスが大量に所持しており、人はこれで魔力を測る。
触れたものが含有する魔力が大きければ大きいほど透明に近付くが、完全に透けさせるには数百人分の魔力が必要と言われている。
めちゃくちゃ硬い。
○三大禁忌
・精神系を二つ以上同時に使うべからず。
・属性を付与しない魔力を爆発させるべからず。
・他の生物の魔力を侵すべからず。
○冒険者
他の小説では主役級の彼らですが、本作では脇役です。百年戦争の余波で働き盛りの壮年層が不足し、物資も不足しているので誕生した何でも屋さん。
○アルナー水晶
アルナー山脈産の水晶。
術式を溜めやすい性質なので、唯一この水晶だけには、魔力だけではなく魔術をも溜めておくことが出来る。
魔術師でなくとも魔術が使えちゃう便利アイテム。なので、すごく高価い。
仕込まれている術式によって値段は上下するが、安いものでも庶民の二箇月分の給料が飛んでいく。
これを部品として用いられている銃は、遣い手の魔力に反応して術式の指定する現象を飛ばす優秀な武器である。
○宝具・封具
この世に宝具は四つ、封具も四つ存在する。
〈動〉の宝具は事象を起こし、〈静〉の宝具は起こった事象を否定するための事象を起こす。
封具は事象を、起こる前に否定する。
その影響は甚大にして、一度発動されれば、大地を歪め空を屠るとも言われている。
製造の仕方も見た目も、何もかもが謎である。
○〈器〉
一人で、その身の内に数百人分の魔力を宿す人間。
魔力が緩衝材となるため、宝具・封具と〈糸〉と呼ばれる絆を繋ぐことが出来る。
しかし、その宝具・封具の力を使おうとすると、呼び出したことにより力を増した宝具・封具の影響をもろに受けるため、本人も倒れてしまう。
なお、宝具・封具の力を呼び出す際には古風な歌を歌う。
また、宝具・封具に殺されないよう、自分の意思で魔力を使うことは、「殆どの」〈器〉にとってご法度。
○宝樹玉
玉虫色の宝石。
〈器〉にとっては時に命綱ともなる、宝国で生産されていた、宝具・封具が〈器〉に及ぼす影響を削ぐ効果のある石。
ただし、〈器〉でない生物が服用すれば毒となる。
○エンデリアルザ
〈器〉の責任を束ねる人物。
トニトルスとカエルムを呼び、使役することが出来る。