It's my life.
常識というものは今まで生きてきた人生の偏見と差別と知らない事や知りたくない事を排除した結果を寄せ集めたものの総称だ、と人は言った、私はあの瞬間まで私はその考えに否定的であった、私が人を辞めた瞬間まで。
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私が住むこの街、JBは今日も騒がしい。
このJBという街は政府が世界中心となる観光地を、という目標の元に作られた海上都市であり、私が住む国が世界中の一部の人から注目されるようになったきっかけの一つでもあるアニメーションやゲーム、漫画などの世間一般からオタク文化と呼ばれる物に力を入れた街である。
日常の中に非日常を、架空世界と現実世界の境界の破壊を、という目標のもとに街の至る所にアニメやゲームのワンシーンを再現できるような謎の教会や聖堂のような建物にしか見えない飲食店や、吸血鬼の住処と呼ばれる洋館風のクラブなどがあり、多くの観光客や暮らす人々を楽しませている。
その為か日が昇っている昇っていない、曜日や日時関係なく通りにはその文化を楽しむ為にやって来た人々が通りに溢れている。
そんな街で私は企業に依頼されて書類や荷物を運ぶ、良く言えばメッセンジャー、悪く言えば企業のパシりのような仕事をしている。
この仕事に就いた理由は至ってシンプル、面倒な就職活動を早く終わらせて給料が欲しかったからである、大学を卒業しようとしていた私には学生時代になりたくてもなれなかった、けれども将来お金が出来たらなりたいものや、やりたい事が沢山あった、給料が入って好きな物が買えるようになったらギターを買ってバンドをやろう、パソコンを買って友人とゲームを作ろう、そんな子供のような事を考え仕事を始めた私だったが現実問題、仕事をしていくと帰ってくると疲れて何もする気力が起きないで食事をして入浴し寝るだけの生活を送ることになった、そんな私が転職もせずにこのJBにいる数少ない理由、それは隣人の女性の為であった。