黒ひげ危機一髪
体育館には健吾だけがいた。
「健吾だけか?」
ピンポンパンポン。
「第3ゲーム、リアル黒ひげ危機一髪。」
「ちょっと待てよ。まだほかのみんなが来てないぞ。」
「涼太、いいんだ。俺とお前の一騎打ちだ。」
「…健吾?」
「見せてやる、これが黒ひげ危機一髪だ。」
そこに現れた黒ひげ危機一髪の上に乗ってるのは、黒ひげじゃなく、平山。
「平山。」
「抜けない…。」
「健吾、お前…いや、ほかの奴は?相手チームの奴もいないし、上野と大沢だって…。」
「相手チームはもともとコンピューターだからな消したよ。上野と大沢は元の世界に返した。」
「何で平山なんだよ?」
「別に理由なんかないよ。上野と大沢でもよかったんだ。そうだ、ルールはこの剣を交互に挿して、先に平山を飛ばした方が負け。」
「飛ぶって…?」
「実際の黒ひげも飛ぶだろ?」
「お前、そしたら平山地面に叩きつけられるだろ?」
「ほら、そこに1つでかいマット用意しといたから、あとは涼太が押してでも、ひっぱてでも平山の落下点に移動させればいいだろ?」
「こんなゲームできねぇよ。」
「じゃぁ、不戦勝で俺の勝ちでいいか?お前も平山も、元の世界には戻れないぞ。」
「内藤君、私のこと気にしないで、やって。」
「……分かった。」
「涼太の先行でいいぞ。」
その後交互に挿し続け、健吾の7ターン目ついに…。
パーン!
「平山!」
俺はマットを押して落下点へ…間に合わないか。
「バカが…。」
「健吾?」
「せーので思いっきり押すぞ。せーの!」
全身の力を込めてマットを押し出す。
「届けぇぇ!」
………




