恋だった。
灰谷爽冶さん、奏多悠香さんとツイッターで「痒いと痛いは同質」と言うお話をしていて、そこから盛り上がって遊んでいただきました。
花*さんはツイノベで参加とのこと。
こういうのも失恋っていうのだろうか。
自覚がないまま、恋をしていた。恋だと気付いた時には、もう両思いになるルートは塞がれていた。あの人の隣には、生涯を誓ったパートナーが、いる。
あの人を見ると、胸がむずむずした。かきむしりたい位。その正体を知ろうともせずに、私はただ掛けてもらった言葉と、それに返したかわいげのない言葉を、何度も何度も思い返した。交わさなかったその先の会話を、いつしかシミュレーションまでして。
ばかみたい、って思いながら止められずにいた。そのごっこ遊びは、楽しくて、あったかかったから。
ご結婚おめでとうございますとあの人に伝えれば、今まで見た中でいちばんの笑顔でありがとうと返されて、胸が痛んだ。
もう連日飲み歩いたらだめですよと笑ったら、彼女を怒らせると怖いからね、とおどけた顔を見せられて、こんな時なのに胸が躍った。それからしみじみと悲しくなった。
直に触れて掻き崩したい、胸の奥の奥の奥。エイリアンの触手か医療機器でもなければ届く事のないところ。
そこが、いつまでも熱を倦んで、ぽってりと腫れている。いつになったらその熱は引くのやら、見当もつかずに途方に暮れてしまう。この気持ちに、未来はないのに。
かゆい。いたい。かゆい。いたい。どっちつかずの感覚は、瞬きをするたびにぶれる。
傷なのだ、と認識した途端に痛みにすり替わるくらいに、それは今日まで感情の態を為していなかった。あいまいすぎる境界線。それでも。
恋をした。
恋だった。あれは。終わってしまったけれど。好いてはもらえなかったけれど。
自覚した途端に、涙がこぼれた。