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ツイノベ いろいろ

ツイッターにあげていたものです。

あげ忘れていたものもいくつかまぎれています。

 線路越しに目があった。知らない子だ。なのになぜだろう、目をそらせない。

 遠くで踏切の警告音。彼女がゆっくりと笑んだのを見た。あ、と思った瞬間、激しい音を立てて列車が視界を遮る。長く。


 向こう側が見えた時にはもう、彼女の姿は消えていた。


 #手癖で恋に落ちる瞬間を表現してください



 お澄まししてデートに来てた君が僕の目の前でコケた。ワタシ、ヒールの靴なんて履きなれてますって顔してたくせに、露わになったその足には、踵も指もばんそうこうだらけで。彼女は顔が真っ赤で。


 あっ、キュン死。


 #君・僕・死で文を作ると好みがわかる



 刃と毒と蜜とばら、全部混ぜたら君の出来上がり。


 #君・蜜・毒で文を作ると好みがわかる



「願い事なんかない」

 そう嘯く君の分まで、星に祈る。

 これから先、笑えることばっかりありますように。君が泣くのは自分の肩先でありますように。

 この恋が、ずっとずっと続きますように。


 #君・星・願で文を作ると好みがわかる



 帰り道、いつも二人でおしゃべりをした。テストの結果、先生の物まね、今日の給食、他にもたくさん。もう少しこうしていたいけど、5時になれば流れる『野ばら』。

 角であの子が先に手を振る。

 またね。また明日ね。


 #夕や黄昏という文字を使わずに夕方が来たのを文学的に表現してみてください



 こぼれちゃうんです。どうしてもこぼれちゃうんです。

 あなたを見ていると、

 小さな星のかけらだとか、

 色とりどりの金平糖だとか、たくさん。

 甘くて胸がちくちくするんです。

 一粒でも、気付いてもらえませんか。

 手に取ってもらえませんか。

 かりりと歯を立てて、味わってみませんか。



 彼女が僕の手を引くのはいつも二人で来ていた海だ。

「夢の中ならどこにだって行けるのにね」そう笑う唇には淡い赤、髪を梳く指には華奢な環。今を生きる彼女は、学生服のまま時を刻まなくなった僕には少し眩しい。


 恋を重ねながら、彼女はまだ僕に会いに来る。夢から醒めたら忘れるくせに。



 低く飛び交う燕。奴ら人の頭を掠めるもんだから邪魔でしょうがない。網で捕えてやろうかとふざけたら、婆ちゃんに「阿呆」と一喝された。

 あれは夏の空気をめぐらせているんだ。飛んでもらわにゃ、夏が来ない。

 そう言われてまじまじと見れば、確かに一飛びずつ、空の青が濃くなっていた。



 星を拾った。今さら光るでもない、よくある抜け殻のやつである。つまんねえもん見つけちまったなと手の平の上で放って遊んでいるうちに、そいつはパッと散った。身の内の水分がまるでなくなった花のようだった。


 煙になる時、それは甘い香りがした。昔捨てた女の匂い。



 花の刺青を刻んだのは、恋がまだ生きていた頃。死んでしばらくすると、彫ったところから本物の芽が出た。それは皮膚を大地にして根を張り、健やかに伸びている。私を養分に育つものはそのうち私を食い尽くしてしまうのだろう。

 ちょうどいい。

 これで私も、あなたが捨てた私を棄てられる。



 気が付いたらここにいて、道行く人を眺めている。命と肉体はとうになくした。記憶も、自分の中から薄れつつある。でもなんだか、この場所を離れてはいけない気がするのだ。

 いつか誰かが私に「ここで待っていて」と渡した言の葉ひとつを、耳がうっすら覚えているから。

 ↑

 対になっています

 ↓

 あの言葉に、あなたが縛られていなければいい。

 自分のことはどうか忘れてください。命を散らした後では、そう告げる術もない。


 あれからもう随分経つのに、あなたはまだ、あの場所で待っている気がして、自分はそれだけが心残りで、魂が現世から離れられないのです。



 この恋の行方について疑う君は、いつか私から終わらせるって決めつけてる。繋いでいる手、わざと緩めてみたりさ。そんなことしなくていいのに。すきだよ、どこにも行かないでって言えればいいのにね。

 言えない君が緩めた手を強く握るよ。試さないで。ただ好きでいて。



 終売になる煙草の銘柄に、思い出す人がいる。

 わたしもあなたも、まだまだ若葉の頃でした。二人で真夜中の街をよく散歩しましたね。もう会うことはないでしょうけれど、煙草も終わってしまうけれど、どうかお元気で。

 長生きしてね。

 さようなら。

 

 ↑わかばの終売に寄せて



 ラジオでかかった懐かしい歌に、ゆるゆると心がほどけてゆく。ちいさく口ずさむ声、猫背の後ろ姿、大事にとっておいたそんなものがメロディにのせてあざやかに再生される。

 悲しいこともたくさんあったけれど、終ったあの恋の残像には、わたしをまだ幸せにする魔法が残っているのだ。



 あの口癖を時折使う。「あの人の」という但し書き付きのフレーズを思い出すのも苦しかったのに、痛みは端から擦り切れて、今ではもうただの言葉。

 ああ、こうやって終わるのか。こんな風に、忘れてゆくものなのか。惜しむ事すら思い出さずに。

 

 第4楽章の最後の音が空気にとけてゆくように。

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