ツイノベ文化祭2019
ツイッターにあげていたものです。
暗幕をびっちり閉じた上、扉も全部閉めて、かつエアコンのない体育館は息するのも苦しい位。そんな地獄のような場所で、ソングリの子たちは三〇分間笑顔で踊り続ける。
ライトで更に暑いだろう、とか、うちわ役に立たない、とか。暑いとか。
そんなの全部忘れて、気が付いたらあっという間に過ぎていた三〇分。
※ソングリ=ソングリーダー部です。
わらわらと舞台上に集まってくる吹奏楽部の部員たちは、ワンピース、クラスTシャツ、チャイナ服。って、服、クラスの出し物のままバラッバラ。何このユルさ、と呆れている間に同じくクラTを着た先生がやって来て、指揮棒を振った瞬間。
――ジャン!
一音から、見事に紡がれていった音、音、音。
「カレシ、バンドやるんでしょ」
「そうらしい」
「何時から?」
「二時ちょうどだったかな」
「それだと体育館と中庭とエントランスと音楽室の第一と第二でそれぞれ演奏あるけどどれだろう……」
「てか、バンド多過ぎなんだよこの高校!」
(このあとバンド名を聞きだして、無事演奏を聞けました)
「せっかくかっこいいんだから男装コンテスト出ればいいのに」
「エントリーもされてないのに出られないよ」
「でも出てたら絶対一位だよ。だって、男の子だったら、絶対付き合いたいもん私」
「……はは」
男の子じゃないってだけで付き合ってもらえないなんて、切ない。
「休憩しな」と文化祭の実行委員長は音響ブースから俺を連れ出す。
「行きたいクラスある? アイス食べる?」
「両方いらねえす。つか戻りたいんすけど」
人ごみすごすぎ。暑くても体育館に籠ってる方がいい。そう思ってた俺に「デートしてよ」と委員長の衣を脱いだ彼女がかわいく口を尖らせた。
20/08/25 誤字訂正しました