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ツイノベ文化祭2018

ツイッターにあげていたものです。

 でっかい身体、色黒で筋肉質、脱毛ナシでメイクはど下手。よくそれで女装コンテスト出たなおい。

「だってお前が俺の事カワイイカワイイっていつも云うから」

 ワンピース姿のまま彼が背中を丸める。結果は最下位。

 ばかだね。

 君をかわいく思えるのは、世界でただ一人私だけなのに。



「似合う?」

 振り返るセーラー服姿はそこらの女の子より綺麗だ。素直に「うん」と返す。

「じゃあ先に優勝のお祝いもらっておくね」

 赤い唇が近付いてくるのを見ながら私も目を閉じる。――誰かが慌てて扉の前から逃げた足音に、二人で小さく笑った。

「百合だと思われたかな」

 多分ね。



 中庭での書道部のパフォーマンスを四階から眺めた。

 自分よりうんと大きい白紙に対峙する人は始めからそこに文字が書いてあるみたいに、迷わずすいすいと筆を運ぶ。

 最初から最後まで見たよ。

 君が緊張した面持ちで、最初の一筆を入れたのも。終ってから泣いた君を、彼がハグしたのも。



 ホームメイキング部の販売の列に、男一人で並んでると視線が痛い。しかも四回分。

 最初は、彼女お勧めのクッキーを。

 二度目は、彼女の作ったトートを。

 三度目は、家族に頼まれた赤飯を。

 四度目は、ブックカバーを手に並んだ。

 ――会計にいる彼女に、今度こそ告白できますように。

 


 クラスの模擬店の宣伝で、校内をもう一人の当番の男の子と歩く。――あ、元彼と今カノ……。俯くと、「行くよ」と手を繋がれた。

 そんなにすたすた歩かないでよとか、なんで手繋ぐのとか思いつつ必死についていく。必死過ぎて、元彼たちのことはすぐ忘れた。

 

 それが、付き合うきっかけでした。



 いつもより静かな図書室に、あの子がやってきた。

「――なにも今日まで来なくても」

「文化祭で人がいないから来るんです。わかってないなあ先生」

 片思いを隠さず通いつめて。――どうせ『年上の司書の先生』に一過性の熱を上げているだけ。分かっているのに、いつの間にかもらい火をしていた心。



 実行委員で駆けずり回ってる間に文化祭が終わってしまった。

「トルネードポテト食べたかった」

「来月のお祭りで食おーぜ」

「吹奏楽部聴けなかった」

「クリスマスコンサートいこーぜ」

「彼氏作りたかった」

「立候補すっぞ」

 何を言っても拾ってくれる幼馴染が「あとは何がお望みだ?」と笑う。

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