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ツイノベ定期演奏会

ツイッターにあげていたものです。

 司会をする事になった。観客との掛け合いがあるけど、こんなのドンビキでは?

 予想は当たって、「こんにちは―!」の声に反応はない。凹んだ私の耳にやや遅れて飛び込んできたのは、低音&爆音の「コンニチハ―!」

 来てくれた野球部ご一同様、ありがとう! 夏の応援は任せとけ!



 頼れる部長、実は超ビビリ子だ。

「観客席にいるのはジャガイモ……」

「そうそう、その調子で男は全部イモだと思っててな」

「は?」

 怪訝な顔した部長の横を通って担当パートの席へ。かわいくてかっこいい女をどっかのジャガイモに掻っ攫われないように、今日のソロがんばろーっと。



 部員とお揃いのTシャツ姿で指揮棒を振る彼。ルックスはごく普通で、いつも優先するのは音楽で、私はちっとも構ってもらえてない。分かってたけど。音楽教師を恋人にするって、そういう事だって。それでも。

 音を束ねる姿は、悔しいけどかっこいい。今日はその背中に釘付けです。



 休憩時間中、舞台ではサックス、ロビーではフルートがアンサンブル演奏を披露するってアナウンスが入った。人々がぞろぞろと移動する中、私一人だけ動けない。

 ……ロビーに友人、舞台に好きな人、どっちを聴いたらいいの???

(結局被らずに演奏したので両方聴けました)



 午前練の後、誰かの「今日吹部の演奏会だって」って一言で、暇な俺らは市民会館へGO。

 坊主の集団でサーセン。花とかなくてサーセン。

 

 俺は、でかい楽器に埋もれそうになりながら演奏してた同じクラスの子ばっかみてた。


 あれから彼女の音がずっと、耳の奥で響いてる。



「お兄ちゃん、私結構頑張ってたでしょ」

「ああ、うん」

「客演の先生すごかったねー」

「ああ、うん」

 いつもは饒舌な兄だけど、今日は何を聞いても「ああ、うん」。おまけに、「なあ、お前と同じパーカスのあの眼鏡の子、名前なんていうの」

 ……演奏、きいてないねこりゃ。


 ちなみにいつもの兄↓

「クラ、音の入りがばらばら」

「ペット、ベル下がってる」

「ユーフォの低音はきっちり出ててよかった」



 コンクールメンバーから漏れた先輩は定演が最後の舞台になる。悔しいだろうに「俺たちで盛り上げような!」って笑って、明るく場を盛り上げたその人は、誰よりもぴかぴかして見えた。

 

 まだ終らないで。そう思っても、客電が付いてしまう。

 笑顔の先輩を見て、私が泣けた。


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