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夢の一端②電車

夢で見たシリーズその2。もとはツイッターにあげていたものです。

 気が付いたら屋根も看板も椅子もない駅で、いつ来るともわからぬ電車を待っていた。静かすぎるほど静かなそこに現れたのは、電車ではなく車。驚きつつよく見ると、単線の線路は駅の手前の緩いカーブで道路と合流しており、駅の少し先で線路は線路に、道路は道路にと、本来あるべき道に分かれていた。

 やってきた電車は、トロリーバスのような短い一両編成。自動ドアなどと云った気の利いたものもなく、停車したところで車両のお尻から乗り込む。立っている人はおらず、老婦人も青年もみな静かに腰かけていた。

 電車は新緑の中を往く。若い緑が、どこまでも続いている。


 円を描くようなルート。壁のように続いていた立木が突然途切れ、開けた場所になっている。途中、海の気配を感じる所もあった。

 一五分程揺られ、元の駅に戻ったので下車する。乗る時も降りる時も切符のやり取りはなかった。「今度は自分が」と入れ替わりに連れが電車に乗る。

 それを見送り、駅から歩いて小高い丘の広場へと向かった。そこにいるよと云っていた筈の人を探すが、誰一人姿が見えない。駅に戻ると先ほどの電車が停車しているが、連れの姿もない。静かな車内に、老婦人が青年の世話を焼く(どうやら親子だったようだ)声だけが聞こえている。

 その駅で同じ電車を何度迎えても、連れは乗車していなかった。気が付けば老婦人、青年、若い女性と、乗っていた人の姿が一周するごとに一人ずつ欠けていると気付く。途中に降りる駅はない。


 もう一度乗り込むこともなく、私はただ駅で待っている。

 誰も現れはしない。


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