引け!
ん、今なんと言いました?ごめん、だと。え、じゃ終了ですか、もうすでに「完」の文字が小林さんの頭にはあるのですか。
…いやいや、待て待て。本田 一也17歳、まだ押してもないだろ!早い早い。ここからだろ!
「うーん、本当にダメ?もうちょい考えてくれても…」
少し情けない聞き方になったが、繋いだぞ。よし、こっから…
「うん、ごめん。付き合えないや。」
な、なんだと。我が兄よ、あなたのアドバイスは無駄に終わるかもしれん。壁だったら良かった、押し続ければ動くかもしれないという希望があるから。だがこれは…地面だよ地面。母なる大地を押すようなものだ。無理無理、勝てるわけないって
「あの、本田くん?話し終わったなら、帰りたいんだけど。」
俺の頭のフル回転も気にせず、小林さんはそう聞いてきた。
…待てよ。もうすでにフられたようなものだ。ならとことんいってみても…いいのでは?
「どうしても、どうしてもダメですか?本当に好きなんです!」
「うん、本田くんは友達って思ってるから。」
「友達ってことはそれなりに好意は持ってくれてるということじゃない?だったら恋人もありでしょ!」
「いや、そういうことにはならないでしょ。」
「でもぉ、やっぱ告白されて意外と意識しちゃったりとかぁ、ありませーん?」
「うん、わたしはないかな。」
「まぁまぁ、とりあえずどこ行こうか?一旦場所変えてさ、楽しくしゃべってみようよ、ね?」
「いや、遠慮しとくよ。」
「…こんなにも、こんなにもあなたを思っているのに!あなたは僕の愛を受け止めてはくれないのか!ああ、なんたる不幸だ!」
「本田くん、劇団とか入れそうだね。」
な、なんて手強いんだ。最初は少し笑ってくれたりしたけど、今は面倒で哀れなやつという眼差しだ。ど、どうする。
「えっと、さ。もういいかな?」
「待って!もう少し!」
考えろ、考えろ…まだ何かないか。この現状を一変させられる一手は!そして、兄貴の言葉を思い出す。
押してダメなら…引いてみろだ!
「うーん、まぁそうだね。俺も少し熱くなりすぎたかもしれない。ここは頭を冷やすよ。」
「そっか。じゃあまた明日。バイバイ。」




