愛犬『シャンジ』
俺はシャンジっていう犬を飼っていた。
犬種はゴールデンレトリバー。
綺麗な毛並ですごく可愛かった。
シャンジと出会ったのは夏の雨の日の公園だった。
母と喧嘩して雨にも関わらず傘もささずに家を飛び出てその公園にいった。
びしょびしょで雨にうたれながらベンチに座っていた。
そのベンチの下に凄く小さいシャンジがいた。
俺に戸惑っていたのか、びくびくしながら吠えていた。
まだ五歳だった俺はシャンジがたまらなく可愛かった。
母と喧嘩した事も忘れすぐさまシャンジを連れて家へ帰った。
母は驚いた。びしょびしょになった俺がびしょびしょの小さい野良犬を抱えて帰ってきたから。
この犬飼いたい。母は無理よと一言。予想していた。この頃の俺はすごくませたガキだった。
この犬飼わないなら僕も捨てて。そんな事を言っても母は無理よと一言。俺はびしょびしょのまま泣きわめいた。シャンジは吠えていた。そんな俺に母も参ったのか飼う事になった。
俺はすぐさまシャンジと名付けた。理由はなかった。
その日から俺とシャンジの生活は始まった。
シャンジがこの家の家族になってから俺には弟ができたように楽しくなった。
母も最初は反対していたが、何だかんだ言って可愛がる。父は初めから可愛がっていた。
俺とシャンジは本当に仲がよかった。
寝るときも一緒。遊ぶ時も一緒。
シャンジが人間だったらなんてよく考えた。
その考えもシャンジと散歩すればやっぱり犬でよかったと思う。
それから10年。
シャンジはこの家にきて10年。俺は15歳。
その時でも仲良しだった。友達と遊んで疲れてる時も、テストで疲れてる時も、散歩はさぼった事はなかった。
そして20年…。
俺は25歳。シャンジは生きていたら20歳。
死んでしまった。23歳の時に…。
長く生きた。
俺にとって…弟が死んだみたいな悲しみだった。
枯れるほど涙を流した。
シャンジの好きだったおもちゃ、よく遊んだボール…シャンジとの思いでがつまったものは、シャンジと一緒に埋めた。
たった一つ首輪だけは俺がもらった。
安らかに眠ってくれ…
最高の犬だった。
俺の愛した犬…シャンジ