表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
肩越しの青空  作者: 蒲公英
ピンクのエプロン
56/73

その5

園児と違うのは、お喋りしてるうちに隣の部屋に雪崩れ込んじゃうことだけど。

「昼間っから楽しいことしようって言っただろ?」

「それについての返事はしてません!」

「え?生理?」

「・・・じゃないけど」



ウトウトしているうちに、暗くなる。

「メシ、食ってくだろ?買い物行くけど、何食う?」

「あたしも一緒に行く」

服を着けて、一緒にスーパーに向かう。

男と一緒に夕食の買い物したことなんて、あったっけ。

大学時代につきあった男の部屋で、料理を作った記憶はあるけど、あれは材料を持ち込んだ気がする。

一緒にカートを押していると、顔見知りに会う。

「あれ?静音ちゃん、結婚したの?」

「してないんですー。友達と集まってるだけで、買出し係なんです」

地元だから、いらない詮索除けは必須だ。

「生姜焼き、何枚食う?」

「いや、普通にっ!」

熊に人間の普通は、通じない。


一緒に買い物して一緒に料理するっていうのが、なんだか慣れない。

昭文のアパートは古いので、キッチンはそんなに狭くないけど、全体的に背が低い。

あたしには助かる高さだけれど、全部に腰を屈める昭文は、ずいぶん大変そうだ。

「じゃ、あたしが包丁使うから、昭文がお鍋の方」

なーんて役割分担は、結構スムーズ。

キャベツを千切りする間に、昭文がフライパンの中に生姜をすりおろす。

「食器、偏ってない?」

「ああ、結婚式の引き出物で小鉢が重なったからな。後はカレー皿」

そう言えば、前回は小鉢でご飯を食べた気がする。

今回も、買ってないや。


昭文が上機嫌な顔で、食卓の前に胡坐をかく。

「いいなあ。普段はひとりで作って食うだけだから、皿ひとつで済むものだもん」

「カレーとか?」

「カレーにすると、3日間カレー食べ続け。丼モノが多いかな」

満足そうな昭文の顔が嬉しいなんて、あたしもヤキがまわったな。

一緒に洗い物もして、帰るような時間になる。


「送るぞ?」

「自転車だもん、大丈夫」

「明るい道で帰れよ。携帯も、すぐ出せるようにしとけ」

やっぱり、お母さんか、あんたは。

「何かされそうになったら、迷わず股間蹴り上げろよ」

「はいはい」

まだ何か言いたそうな昭文を残して、自転車を漕ぎ出す。

スポーツクラブのお風呂は行けないけど、今日は家で長風呂しようかなーとか思いながら。


☆は、月と仲良しですから・・・(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ