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肩越しの青空  作者: 蒲公英
不本意なんだけどね
32/73

その3

朝早くからバーベキューの支度して、車の運転もして、重い荷物も全部持って、しかも今はコンロの前。

「先輩、疲れないの?」

「早番の時は七時出勤だからな、朝早いのは慣れてるんだ。今日は神経使ってないし」

食材は粗方お腹の中におさまり、先輩もビールなんか持ち出してる。

「飲酒運転にならないように、一本だけな。水遊びしてれば、醒めちゃうだろ」

うん、川の冷たい水は気持ち良い。


先輩のハーフパンツから出てる足は、やっぱり筋肉質。

意外に肌理の細かい肌が日焼けして、肩の辺りが赤くなってる。

「それ以上焼けると、服が着られなくなっちゃうよ」

「うん、もうヒリヒリしてる。ちょっと、これ塗ってくれる?」

アロエのジェルを受け取り、肩から背中に伸ばす。

ずいぶん広い背中だなあ。あたしの倍くらいあるかも。

ついでにあたしも日焼け止め追加。


先輩は川にざぶざぶ入って行っちゃって、ちょっと深みになっている場所で泳いでみたりしてる。

気持ち良さそうだな、うずうずする。

「静音も泳いじゃえば?外遊びに来て、日焼け気にしたって仕方ないだろ。色白なんだから、多少は」

「シミになるもん」

「大丈夫だ、シミになったって静音は静音なんだから」

って、横抱えしないで!園児じゃないんだから!

足のつかない場所まで連れて行かれて、先輩の肩に掴まる。

敵は足がついているのか。


川の流れを身体に感じたら、本当に日焼けを気にするのが、バカバカしくなってきた。

子供みたいに遊んでしまって、ビニールシートにごろんと横たわったら、疲れていない筈の先輩が、先に寝息をたて始めた。

こういうの、いいね。

でもね先輩、あたし、さっき気がついたの。

先輩のバーベキューセット、ふたり用なんだね。

あたしの前につきあった子と、やっぱりこういう遊び方をしてたんでしょう?

もちろん、それが良いとか悪いとかじゃなくて、ただそれが、料理を教えたって人と同一人物なのかなーなんて思うだけなんだけど。

隣の気持ち良さそうな寝息に誘われて、あたしも目を閉じたまま、そんなことを考えていた。

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