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肩越しの青空  作者: 蒲公英
不本意なんだけどね
30/73

その1

梅雨があけて、本格的に夏仕様のお天道様が威張っている。

「森林公園のプールにでも行く?」

「日焼けするから、やだ」

「夏は日焼けするもんだろ」

「それは10代まで!」

日傘を広げながら、ファミリーレストランの駐車場を歩く。

「じゃ、デイキャンプ。川で少し水遊びして、バーベキュー」

紫外線量から言えば、どっちこっち言えないと思うけど、ちょっと心惹かれるプランだ。

「水着にならなくて、いい?」

「いいけど、着替えは何枚か持ってるほうがいいよ」


そんなわけで、簡易バーベキューセット(先輩が、ガスの小さいセットを持っているという)と、肉・野菜入りのクーラーボックスを車に積み込み、場所取りのために朝6時に出発する。

場所自体は近いので、駐車場に入ったのは8時少し前、管理人さんが出勤してきたのと同時に入場する。

「眠・・・」

木陰にレジャーシートを敷いて川の音を聞いていたら、やけにのんびりした気分になった。

「朝早かったもんな。今日は頭を空っぽにする日にしよう。眠いんなら、寝てもいいし」

デイキャンプ場はまだ、人がまばらだ。

これから何時間かで、人が溢れるんだけど。


午前中の涼しい日陰で気持ち良くウトウトする。

汗だらけで起きて川の水に足を浸すと、なんかとってもリゾート気分。

気が付くと、まわりにたくさんのビニールシートや日よけのタープがある。

お財布も携帯もいらない場所、身一つって気楽だ。

ひょいっと身体を掬われて、水の中に投げ出されそうな予感に怯えて、先輩の首にしがみつく。

「力が強いからって、一方的に他人を水の中に投げ込むのは、反則っ!」


しがみついた先から、笑い声が漏れる。

「やめてーって叫ぶんじゃないんだ?怖がりながら、文句を言う」

足から水の中に降ろされて、膝下くらいの水深に安心したところで、肩を突かれた。

ばしゃんと派手な水飛沫を上げて、転ぶ。

「卑怯者っ!安心させといて水浸しにするっ!」


大笑いしながら手を差し出した先輩に、盛大に水を掛けてやる。

どうせびしょ濡れなんだから、構うことはない。

「悪い、シャツの色が薄かったな」

先輩が自分の着ていたオリーブ色のシャツを脱いで、あたしの頭に無理矢理通した。

あたしの薄い空色のシャツが、水に透けて下着の色が――

「このっ!」

あたしにはワンピースサイズの熊のシャツ。

「とりあえず、帰りに着替えるまで、それ着とけ。まだ水遊びするし」

「先輩は?」

「何枚も持って来てるし、ドカタ焼けの解消しないと」

背中にまでついた筋肉と厚い胸から、思わず目を逸らした。

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