表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
肩越しの青空  作者: 蒲公英
熊には乗ってみよ
25/73

その5

先輩とお酒を飲みに行ったのは、その後のことだ。

先輩の勤め先には男の保育士さんが何人かいるみたいだけれど、仕事を離れてお酒を飲むことはあまりないと言う。

「保育士同志って、お酒の席でどんな話するの?」

「普通だよ。仕事の話とバカ話、半々。男同士だとシモネタに走るし」

「ロリコンの保育士とかっていないの?」

「産婦人科医が助平だと思うか?」

まあ、それはそうだけどね。


あたしは実は、結構強い。

色が白いのが幸いして、顔が上気すると、周りの人は酔っていると思ってくれるから、あんまり無理強いされないお得なタイプだ。

だから普段なら、潰れることも記憶をなくすこともない。

先輩がどういうタイプの酔い方をするのか、じっくり観察してやろうと思う。


土曜の晩に待ち合わせて、居酒屋に行く。

気を張る相手じゃないし地元だしで、ジーンズ着用だ。

「なんだ、この前みたいに女の子っぽい格好じゃないんだ」

ああ、柏倉と待ち合わせしてた時のことか。

「先輩と会うのに、おしゃれなんかしません。普段ジャージで歩いているような場所だし」

ちょっとがっかりしてるかな。でも先輩だって、Tシャツにジーンズじゃない。


途中で顔馴染みとばったり会ったり、知らない店ができてるなんて言い合ったりで、地元のお気楽ムード満載。

これでデート仕様じゃ、却っておかしいんじゃないかと思う。

チェーンの居酒屋に腰を落ち着け、まずはビールで乾杯。

「何に乾杯?」

「とりあえず、はじめて一緒に酒を飲むってことに」

メニューを広げた先輩は、あたしの食べる量の三倍くらいを、一度にオーダーした。

「まずは、こんなとこかな」

「え?余るくらい頼んだじゃない」

「篠田の倍の身体を維持するんだぞ。しかも、ガキ相手の肉体労働だ」


あたしの弟も、あたしに較べれば食べる量は格段に多い。(大きくならなかったけど)

会社の宴会では誰が何を食べてるかなんて知らないけど、男の子とご飯を食べに行っても、よく食べるなーくらいの感慨はある。

だけどこれは・・・うーん。次々と運ばれる料理を見ながら、驚嘆する。

身体の大きさが違うって、使うエネルギーも違うってことだ。

「篠田、ずいぶん食が細いな」

「あたし、熊じゃないもん」

ビールからチューハイに切り替えた先輩は、機嫌良く笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ