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肩越しの青空  作者: 蒲公英
比較してみたり
17/73

その2

あたし自身は埋まっていたのに、雑踏からポンと飛び出た頭を見つけた。

大きい人ってどこにだっているし、髪が短めな人だって珍しくない。

大体、平日の晩に保育士が繁華街を歩いてる筈は・・・あるんだね。

しかも、ジャージやジーンズじゃなくて、ワイシャツ姿で。


絶対に見えないと思ったのに、熊はまっすぐ私の所に歩いてきた。

「篠田?どうした、こんな所で会うとは思わなかったぞ」

「先輩こそ、なんで平日にここにいるの?」

「今日は休みだったんだ。子供たちが好きな絵本の作家が個展やっててな。他にもついでがあったから、出てきたんだよ」

「あたしに、よく気がつきましたね」

「そりゃ見慣れた頭頂部だから。で、篠田は?」

えーと。何て答えて良いものか。


「篠田さん、お待たせしちゃって」

迷っているうちに、答えにくい待ち合わせ相手が到着する。

「ふうん?」

あたしに合わせて屈めていた腰を伸ばして、先輩は柏倉さんを見下ろした後、あたしを見下ろした。

まずいまずいっ!別に先輩に義理立てするつもりはないんだけど、これはあきらかに気まずい。

何も知らない柏倉さんは、曖昧な笑みで先輩に頭を下げた。


「あ、じゃあ、先輩、またねっ!」

とにかくその場を離れなくてはならない。

柏倉さんの腕を引っ張るように動き出すと、後ろから先輩の声がした。

「篠田っ!」

振り向くと、ニヤニヤ笑いじゃない先輩が、憮然とした表情でこちらを見ていた。

「忘れんなよ」

忘れてませんて。ただ、あたしの意思はそこにはないんですって。

・・・でも、怒った?怒らせた、あたし?

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