表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

三途六文の忘却

作者: 藤谷春馬
掲載日:2026/06/14

江戸の某所に、とある橋があった。

「忘れ橋」

この橋を渡ってしまうと、記憶を一部無くす。そんな噂があった。

普段は現れない。ふとした時に現れる。

そんな噂を聞きつけた幹作は早速外に出た。

興味半分、恐怖半分。

ただ、夕刻になろうと橋は現れない。

赤く染まった空には雲一つ。

気が付けば夜半。星は何も思っていない。

幹作は焦って帰ろうとした。

しかし、後ろには橋、無かったはず。

幹作は記憶違いと思い、渡ろうとした。

しかし、喧騒が聞こえる。

「なぜ私を避ける?」「あなたは誰だ?記憶がない」

そんな声が聞こえる。ただの言い争い。

幹作は橋を渡る。

ん?なぜ私はここに居る?

後ろには橋、とりあえず渡ろう。

ん?今日はこんな服だったか?

何かがおかしい。

また橋を渡りかけ、止まる。

川だ、霧でよく見えない。

しかし、はっきりと見えるものがある。

銅貨だ。銅貨が浮いている。

気味が悪くなって、橋から出た。

ん…?こんな金…持ってきたか?

銅貨六つ。六文銭だ。

そこに、顔が見えない老人が現れる。

六文銭、渡り賃だと。

とりあえず、六文渡し橋を渡る。

ん…?俺は誰だ…?

幹作は戸惑った。周囲は霧で見えない。

そこに、声が響く。

早く進め、と。

俺は何を…

見慣れない景色、白装束の人々。

赤い肌の、角の生えた人間。

幹作は、ようやく気付いた。

ここは冥土だと。

その頃、江戸ではもう噂がパッタリと消えていた。

あの橋は、なんだったのか。

賑わう江戸の街。

老人は団子を食いながら呟いた。

また一人、三途橋に人が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ