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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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故郷の味覚は遠くにありて思うもの。

 流石にいきなりリード様とヴィヴィアンナ様のお宅に突撃は行かないからと、エリーフラワー様が一報を入れられた。

「リード様が快諾してくださったわ。おほほほ。」

ご機嫌のエリーフラワー様を先頭にして、キューちゃんに連れられて一同はリード様のお屋敷についた。

流石に玄関先である。いきなり室内って訳にはいかないものね。

子供たちは1人ずつ銘々の親で抱いてる。

私はラン、アンちゃんはアスカね。サファイアくんはエドワード様。


「やあ、ようこそ。連絡もらって待っていたよ。」


玄関をみずから開けて下さったのはリード様だ。

「ええっ、リード様ご自身のお迎えとは。」

驚くレプトンさん。

「おや、グローリー兄弟の揃い踏みだね。」

「は、はい。ご無沙汰しておりますわ。」

「メリイさん、体調はどうだい?さあ、みんな入って。ヴィーも待っているよ。

お子様たちも来てくれたんだ、嬉しいね。」


「リード様、先日はありがとうございます。」

「やだな、サード君。私は何もしていないよ。

タンデム楽しかったね?」

バチンとウインクをなさるリード様。

「は、はひ。」

返事を噛みながら真っ赤になるサードさんだ。

すっかりリード様にたらし込まれているぞ!


そこにピーターさんが来た。

「おう、お嬢様、お坊ちゃん方。こちらでうちの王子様達とお遊び下さいな。」


キュー。


「うん?キューちゃんも子供達と遊んでくれるのかい?

そういえばこないだは世話になったね、ありがとう。

あとでフルーツサンドを届けさせるよ。

それからジュースもどうだい?」

コーン。

「ははは、そうかい。」

キューちゃんを撫でるリード様。


「やはりリード様はキューちゃんと会話できるのでごわすな!流石でごわす。」

「うん、エドワード。何となく伝わってくるんだよ。」

キラキラした笑顔で微笑む王子様。

「ジュースはね、スイカを絞って欲しいそうなんだ。」

「正解でごわす!」


すげえ。リード様、あなたホンモノだわ。


そして応接室へ。

「昨日の土曜日からね、アキ姫さまが遊びに来てらっしゃるんだよ。」

中には麗しのヴィヴィアンナ様とアキ姫さまがいらっしゃった。


「こんにちは。皆様。メリイさん、龍太郎君もようこそ。お久しぶりですね。

メリイさん、こちらアキ姫さま。マナカ国の方ですわ。」

ヴィヴィアンナ様が横に座ってらっしゃるアキ姫さまを紹介なさる。

「こんにちは、アキと申します。龍太郎様にはお祭りでお会いしましたわね。

メリイ様、お話するのは初めてですが、宜しくお願い致しますわ。

いつもレプトン様にはお世話になっておりますの。」

アキ姫さまはニコニコと春の陽だまりのような笑顔で笑った。

「ねえみんな。アキ姫さまはこちらでの知り合いが少ないんだ。仲良くしてくれたまえ。」

「おほほほ。学校でも評判の先生ですのよ。ねえ、ダーリン。」

「まったくでござる。人格も音楽の才能も申し分無い御方でごわす。

祖国から離れてこちらに音楽を教えに来てくださっているのですからな!

知り合いもお友達も沢山できると良いでごわすな!」


「エドワード様がそこまでおっしゃるとは。よほど素晴らしい御方なのですね。

失礼、私はサードと申します。レプトンとメリイの兄で普段はグランディにおります。」

サードさんが恭しく頭を下げる。

流石に公爵様だ。他所の国の王族に対応が丁寧である。

「まあ、そうですの。いつもレプトン様からお話を伺っておりますわ。」


「え、それは。そうなのか?」

サードさんがレプトンさんを見る。

レプトンさんがさっと目をそらす。あれれ?気まずそうだぞ?


何を言ってるんだ、レプトンさん!


「うふふ。仲良しで宜しいですね。こちらこそ宜しくお願い致しますわ。」

優しく微笑むアキ姫さま。


「ネエネエ!そちらの国には日本のウタが伝ワッテたんだりスルンダロ?他にもナンカ聞いてナイ?あちらの事。」

龍太郎君が口を出す。

「ええ、私も是非聞きたい。」

「そうですわねえ。後は食べ物らしいんですけど、

けえらんという、何か甘いもの。」

「あら、それは鶏卵素麺かしら?やはり福岡名物の?」

グラグラと煮えた飽和砂糖水に卵黄を、穴が空いたオタマ?からおとして素麺状にしたものだ。

めちゃくちゃ甘い。本当、洒落にならない甘さだ。

しかし、それがクセになる。平戸名物カスドースと同じカテゴリーにはいる。

あれも激甘なんだよね。


「うーん?それは何色ですか?」

「キレイな黄色よ。」

「言い伝えでは白かったような。」

「ああ、ソレナラ鶏卵素麺とは違うなあ、けえらんカナ佐賀県唐津の。けいらんとも言うナ。」

「龍太郎君くわしいね。私も九州の従兄弟と唐津に行った時食べた事あるわ。長四角にまいた?筒状の薄い餅の中に餡子が入ってるのよ。」

「ソウソウ。オイラの父さん転勤族で、一年ダケ唐津に住んでタノサ。」

「え、龍太郎が名古屋にいたっていったのは?」

「ナゴヤはナゴヤデモ、肥前名護屋ダネ。愛知県ではナイナア。」

なんかミルク○ーイの漫才聞いてるみたいだな。

(肥前名護屋とは秀吉の朝鮮出兵の名護屋城があったところである。ちなみに佐賀県である。)



「マナカ国の昔の転生者は福岡の人みたいダケド、唐津に近いホウノ福岡カア。糸島トカナ。

マア福岡空港カラモ唐津は近いシナ。」


めちゃくちゃ詳しい龍太郎君だ。


「アア、唐津と言えばさ、イカの活き造りがタベタイナア。ゲソ揚げモ。」

「そうなの。それなら作れるわよ、新鮮なイカが獲れれば。」

コリコリして美味しいよね。

「嬉しい!白ごはんで刺身といきたいですわ!」

メリイさんも乗ってくる。

「日本酒モイイヨネ。」

この辺では生の魚を食べる文化はない。

まわりが引いてるけど構いません。

カツオのたたきは王妃さまに出したけどね。


「そうだ、馬刺しモイイヨネ!」

とことん九州の味覚である。こんどは熊本か。

「…え、頼むからアオを食べないでくれたまえよ、龍太郎君。」

リード様が引き攣っている。


「うふふ。イカの天ぷらは美味しいですわよね。それは我が国に伝わっていましてよ。」


アキ姫さまが相槌を打たれる。

感じのいい人だ。生モノの話からさりげなく話を逸らされた。


「そうだ、今度餡子をいれたお餅を作りますよ。

白玉粉は試作中ですけど、普通の大福なら。

梅ヶ枝餅は白玉粉が出来たら作りますから。」

「そうですね、アキ姫様。レイカさんのレストランで

今度食べさせてもらったら?メリイさんや龍太郎君も一緒にね?ああ、付き添いでレプトンさんも。」

ヴィヴィアンナ様が薔薇の様に微笑まれる。


「は、はひ♡」

おお、今度はアキ姫さまが顔を真っ赤にして噛んでいる。

「ええ!ヴィヴィアンナ様、お餅は餅米が手に入り次第ですけど、イカの天ぷらならすぐに。」

「ウン。オイラがいいイカをトッテクルよ!」


なるほど、それならすぐだろう。


「龍の字。クラーケンなんかをうっかり獲ってるなよな。」

アンちゃんが苦笑した。


まさかあ?いないよね?クラーケン。


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