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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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86/307

カーイ、カイ、掻い。愉快・痛快・龍太郎君は。

誤字報告ありがとうございます

 怒涛の夜はあけ、次の日は台風が来るという二百十日こと九月一日。


嵐は昨日きたよな。

本物の台風が来た後みたいで、今日は快晴である。

今日からは新学期でミルドルを送り出してから母が来た。

「うっかり寝過ごすところだったわー。」

ああ、穏やかな日常っていいな。

「あら、レイカあんた、疲れてない?」

「そうね。」

「昨日何かあったの?」

「うん、まあ。お母さんが龍太郎君に好かれていて助かったよ。」

「 ? 」

アンちゃんがお母さんの名前を出したら龍太郎君は正気に戻ったのだ。本当に良かったよ。


二人でカフェの前を掃除していたら、


バサバサバサ!


「オハヨウサン!」

「龍太郎ちゃん!まああ!アンディさんも。」

「アンちゃん!何と言う朝帰り!」

龍太郎君の背中に乗せられているのはアンちゃんじゃないか。

「ネモさんから連絡が来テネ。アランサンの所から、連れてキテあげたよ!」


「ばたんきゅー。モウ飲めません。アラン様あ。」


ばたんきゅーって。ぷよ○よじゃないんだからさ。

あっ。落ちないように背中に紐でくくられている。


げっ。紐じゃなくてスネちゃま(白ヘビ)じゃないか!


「今日アンディ様が筋トレに来なかったからどうしたのかと思いましたら、こんなことになってましたか。」

おっ、マーズさんだ。サマンサちゃんに会いにきたのかな。

「スネちゃまたち、ご苦労様。うん、そうか。ネモ兄に頼まれたのか、そうか、そうか。」

マーズさんが会話?している。

「ウン。オレにもツッチーを通じてネモサンから連絡来たのサ。ネモサンは王宮で王妃様に報告シテタヨ。昨日の事。

一応アランサン達以外からも事情を聞きたかったンダネ。」

龍太郎君も付け加える。

そりゃ、あの騒ぎじゃなあ。

二大神獣揃い踏みまでは王妃様も予想してなかったろう。

そして本気モードでの粛正だった。


多分、王妃様は。

「あら?ブルーウォーターに入れないわ?

仕方ない。本国に帰ります。」

くらいで済むと思っておられたのでは。



とにかく、このヘベレケの酔っぱらい(アンちゃん)を寝かせなくては。

シンゴくんやマーズさんや、セピア君が龍太郎君の背中から降ろして運んでくれた。

すみませんねえ。

「こんなにアンディ様が酔い潰れるとは。」

「相手はアラン様か。仕方ないな。絡み酒らしいからなあ。」

「アンディ様以外は、ご不興を買うことも多いらしいからな。」

……あらら。


「アランサンの方がもっとダラリトシテタヨ!オレのウロコ水で治ったケドサ。

昨日、リードサンと仲良く?ナッタノガ嬉シカッタッテ!」


なるほどー、それでアンちゃんをとことん朝までコースに突き合わせたのか。

理由が理由だけに王妃様も文句は言えないなあ。


「まあ?昨日龍太郎ちゃんは活躍したの?」

「ウン?マアネ。オッカサン。

……ちょっとだけ暴れちゃったノ。エヘヘ。」


エヘヘで済むのかな。暴れ竜だったよねえ。

死ぬかと思った、マジで。


「安心シテヨ。俺もパイセンもレイカサンには危害を加えナイヨ。」

「良くわからないけど、龍太郎ちゃんは良い子だもんね。ほら、背中出しなさい掻いてあげるから。」


「ワアイ。」


母の前では良い子ちゃんだな。


ヤマシロ君が信じられないものを見る目で見てる。

昨日、現場に居たんですものね。

ワシワシと母が背中を掻いてやる。


「ほーら、ほらほら。」

「うっ、痒いところに手がトドク!アアア……」

恍惚となる龍太郎君。恍惚の人ならぬ、恍惚の竜である。

「お腹も掻いてっ、クビの付け根も!

ウヒョヒョヒョ〜。

クスグッタイ!ケド、気持ちイイ!」

「はいはい。」

相変わらずの猛獣使いの母である。

変な声を出して身をよじる龍太郎君。

「ウホッ。」

やめなさい。別のジャンルになってしまう。



「凄え。」「ああ。」「何と言う光景だ。」

みんなの視線を釘付けだね!


ことん。

ウロコが落ちる。

「アア、カユカッタ。取れかかってタンダヨ。

コレ、レイカサンにあげるよ。昨日怖がらせタお詫びダヨ。

フレッシュだからニ日酔いにもテキメンさ。」

「ありがとう!」

白銀に輝く手のひら大のウロコをもらって、アンちゃんのところへ行った。


「うう、アタマが痛い……」

あら、気がついたのね。

「ほら、アンちゃん。採れたてホヤホヤのウロコ水よ。飲んで。」

「えっ、産地直送かあ。頂くワ。」

こないだとは逆だな。私がアンちゃんを介抱している。

「アーもう三十路だもんネ。若くナイワ。」

何を言ってる。つぞ。

私の中の59歳が怒ってる。

そう言うのはね、お茶碗のご飯粒が見えなくなってから言うものよ。


「うん、スッキリしてきた。」

「もっと水分を取りなよ。」

アルコールは水分をとって外に出さなきゃね。

「ふふ、レイカちゃんに介抱してもらうなんて。6年前には思わなかったワね。」

こないだの話を思い出す。

「そうね。最初に会ったのは女子寮に野菜を届けに来てくれたときだっけね。」


着替えを用意する私。何しろアンちゃんは昨日の服のまんまなんだ。

ああ、上着にほつれが。龍太郎君の怒りの嵐から私とアラン様を庇った時のだな。


「そうねえ。でも私はその前から見てたわよ。何しろ王妃様がお側に置いてる新しい侍女ですものね。」 

なるほど。

「ほら、新しい下着もシャツも出したから。着替えて。」

「ま!エッチ♡」

……ははは、脱力するからやめて。


「小さくて、茶色の髪でちょこちょこ働いて。子リスのような子だなぁと思ってたの。」

「え、そうなの?」

私は小柄のアンちゃんより更に背が低いんである。

「ちっちゃい子みたいで可愛いと思ったわ。」

クスクスと笑いながら着替えるアンちゃん。

「それは、どうも?」

「ハハハハハ!そうだよね。子供みたいな見かけなのに、中身が枯れてる。そのギャップに、俺、やられちゃったのよね。」

思わず赤面する私。褒めてるんだよね?


アンちゃんが上機嫌だからまあ、いいか。


「さて、明日かそこらか、近いうちにエリーフラワー様にお会いしなくっちゃな。子連れで。」

「なんで?」


アンちゃんが片眉をあげて薄く笑った。


「ランとサファイア君を交流させなきゃな。フロル王子様にばっかり会わせたら不公平だろ?」


なるほど。

昨日の夜アラン様と、どう言う話をしたのかは知らないけど。


だけどまあ、公平にいくことにしたんだな。


しかし、なんでランばかり?アスカは?


「ランはねえ、レイカちゃんに似てるんだと。感じが。」

アンちゃん、私の心が読めるの?

「アスカはオレ似らしいよ。メアリアンさんが言ってたんだ。」

「ええ?双子でしょ?そんなに見かけ変わらないよね。」

「オーラがね、そうなんだって!わかる人にはわかるんだろうなあ。

リード様もヴィヴィアンナ様もそう言うのがわかるって以前おっしゃってた。

きっとフロル王子様もわかるんだろうよ。」


そして軽くため息をつくのだった。


「うーん、アンちゃんに似ても、リーダーシップがあって、部下シンゴくんとか、上司アランさまとか、お友達エドワードさまに好かれると思うけど。」


「フフ、良い事言ってくれるワね。」

アンちゃんはニンマリとした。


ふう。機嫌がなおってよかったわ。




タイトルネタ。「怪物くん」の主題歌からですね。



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― 新着の感想 ―
レイカ母の猛獣使いっぷりには感嘆のみ。 そしてやっぱり王妃様はそこまでとは思っていなかったんですね。 私の年代だと、「俺は、怪物君だ!」の主題歌のほうが・・・ パーマン・オバQもそうなんですけど、ア…
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