表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/211

仲良きことは美しい。

 さて、これからどうするのか。

「今から母上に報告に行く。アンディ、付き合え。」

「ハイ、アラン様♡その後一杯やりましょうネ。」


アラン様は立ち去りかけたが、

「……それから、リード。」

向き直ってリード様に声をかけられた。


「何ですか?兄上。」

あら?アラン様が少し赤くなっている?


「……お、おまえが私を守ってくれるとは、思わなかった。あの緑色の光に包まれて安心したんだ。」

リード様は目を丸くして、大輪の花の様な笑みを浮かべられた。

「何をおっしゃいますか、兄上。当たり前じゃないですか。」

「……そうか、当たり前か。」

「ええ。」

美貌の王子様の笑みはまったく屈託がなかった。

「私には、出来なかったかもしれない。」

「アラン様。」

アンちゃんが眉尻を下げる。


「当然ですよ、兄上は王になる御方なんだ。かけがえのない人なんですよ。」


「……かなわないな、お前には。」

軽くため息をつくアラン様。

大人の男の色気が駄々漏れである。

「お前の子供になら、アンディの子供を任せられるよな。

私が名づけ親なんだ。知ってるだろう?よろしくな。」


はい?何ですと!


「ええ!ありがとう兄上!」

ぱあっと明るい顔になるリード様。



コラ。勝手に話を進めるなっ。


顔が引き攣る私。

あら?みんなして私を見てるよ。


「レイカさんはどう思う?」

アラン様、それ、聞く?


やべえ。アンちゃんはきっとアラン様には逆らえないぞ。

コラア!目をそらすなよ、アンちゃん!


「ほほほ、それは。本人に任せることにしてますの。」

仕方ない、釘を刺すか。

勇気を振り絞る。


「けれども先程王妃様はエリーフラワー様のお子様の方が良いかも…と。

(その後、フロル王子様の美貌にコロリといくかも、と言う話になったのはカット。)

王子様のお相手は荷が重いことも、ございますので、その辺のことをご心配をなさって下さってるのか、と。」


ヨシヨシヨシ!言い切ったぞ。怖かったけどな!


「「母上が?そうか。」」


流石にマザコンの二人だ。

あっさり納得したなあ。

「まだまだ子供だからな、いや、こちらも先走り過ぎた。すまないね、レイカさん。」

「そんな。」

王太子様に謝られると寿命が縮みますよっ。


「そうだね。ま、ウチの子は私やヴィーに似て美しいからね。きっと、恋に落ちてくれると思うよ。」

リード様、相変わらずナルシストな発言ですが、その通りかも知れません。


「うん、じゃあ行こうか、アンディ。」

「はっ。」

そしてアンちゃんと一緒にさっきの馬車で戻っていかれた。


バサバサ!


おや、龍太郎君がサードさんの前に降りて来た。

「ネエ、サードサン。メリイのトコロに行くンダロ?

ホナ、いきまひょ、いきまひょ。」


なんで、なんちゃって京都弁を使ってるんだ、龍太郎君。

でももう、元の龍太郎君だな。

(平仮名も使ってるし。)

サードさんを乗せて龍太郎君が飛び立とうとする。

「アッソウダ。リードサンも送ろうカ?俺に乗ってミル?」

「えええっ。良いのかい。龍太郎君。嬉しいよ。」


……そして、リード様とサードさんは、タンデムで帰る事になった。

「わ、私が後ろに乗りますから。」

「そうかい?すまないね?」

「リードサン。俺の首ネッコにつかまって。サードサンはホラ、ココノウロコを立てたから、ココに足を乗せテ、ココノウロコを掴ンで、ソウ。」

「こ、こうかい?」

「フフ、私の背中につかまってもいいよ。サードくん。」

「いいえええ!滅相もありません。」

顔色を青くしたサードさんを乗せて龍太郎君は飛んでいった。

「これは!爽快だねえ!」

リード様の楽しげな声が聞こえてくる。

流石だな、あの人。何でも楽しめるんだよな。

前向きで宜しい。



ネモさんが私を見て微笑む。

「じゃあレイカさん。お送りしますよ。おいで!ミノちゃああん!」

ネモさんが呼ぶと、とたんに人力?車を引いたミノちゃんが現れた。

「アネダン、ごにぢわ、だす。」

「ええ、こんにちは。ミノちゃん。宜しくね。」

「護衛に私が付き添いますよ。ハイヨー!」

ネモさんが白馬のアオに乗ってやってきた。

あれ?行きはキューちゃんに乗ってきたよね?

アオちゃんはどこから?


「呼んだら来ました。キューちゃんは忙しそうですから。ハハハ。」


……そうっすか。


横を走って付いてきてるのはヤマシロ君とリーリエさんだ。すげえ。

ピュンピュンと飛ぶように駆けてるよ。

「彼らは鍛えてますねえ。」

感心するネモさん。

ええ、ナ○トのアニメを見てるようです。


そうこうしてるうちに帰宅した。

「ではアネさん。私は息子に会って来ます。」

「ええ、リーリエさんありがとう。ヤマシロ君、シンゴ君に会って行く?」

「あ、そうですね。色々と報告しますよ。」


「ネモさんもありがとうございました。」

「いいえ、レイカさん。ウチのマーズがお世話になってるじゃないですか。

これからも愚弟を宜しくお願いしますね。」

「アッハイ。」

そこで真顔になるネモさん。

「先程ね、リード様とアラン様が仲良くなさっていて安心しました。」

「そうですね。」

あの二人の微妙な関係が少しは改善されてると良いのだが。

ランとの縁談はともかくとして。

「……どこも兄弟仲良く、と行きたいですよね。」

そしてネモさんはアオに乗って去っていった。


ああ、なんか疲れる一日だったなあ。


「レイカ義母さん、お疲れ様でした。」

ラーラさんが声をかけてくれる。

「うん。」

横目で見るとシンゴ君とヤマシロ君が難しい顔をして話している。


報連相は大事だよね。


色々なことがあった。ホントに。

ただ木彫りの職人の話をしに行っただけなのに。


精魂尽き果てて、泥の様に眠った私だった。


武者小路実篤ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アラン様とリード様の微妙な仲は確かにちょっと…と思っていました。 ブルーウォーターでの話になると余計に王妃様とリード様の仲のよさばかり目立ちますしね。 アラン様は王妃様を慕っているのに、いろいろと遠慮…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ