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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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84/306

神獣の怒りは大地の怒りかもしれない。

 その時。


バサバサバサバサ!


羽音がして目の前が暗くなった。


「ネエ?ナニを揉めテルノ?

アンディサンのツッチーや、白狐のダンナが、五月蝿えンダケド。オイラに見に行ケッテ。

入国ノ結界ノ所でトラブルだからってさ。」

「龍太郎君!」

「龍の字!」

「神龍様!」

「あれ、龍太郎君。来てくれたのかい?」


上から私、アンちゃん、アラン様。

そして余裕ある発言はリード様である。流石です。


龍太郎君はハゲタカ大の大きさだ。


私達の上を旋回している。威圧をかけてるのは何となくわかる。

リーリエさんやヤマシロ君の顔色が悪い。


「圧をかけてくるなあ。怒ってるぜ、アイツ。」

アンちゃんも冷や汗をかいてる。


ケロリとしてるのはリード様だ。土地神の加護か。

「様子を見に来てくれたんだね。」

にこやかに微笑んでおられる。

他はみんな引き攣っていると言うのに。


「リードサン。アラ、サードサンもいるのか。

ヨッ、ヒサシブリ。」

龍太郎君はリード様の肩に乗って来た。


近くに来た龍太郎君にルルゥ姫は後ずさる。

怖いんだな。

「よっ、寄るなっ!邪竜!こっちへ来るでない!

この呪われた生き物がっ!」


うわっ。このバカちんお嬢様がっ!

死んだわ、アンタ。


「……ホウ。邪竜トナ。コノ女ハ何者ダ?」


龍太郎君の目が赤く光って細くなる。

怖いよう!


「先刻カラ嫌ナ気配ガシテイタ。腐ッタ魂ノ臭イダ。」

ウロコを逆立てる。声が地を這うようだ。

シュー、シューとヘビのような息を吐いている。


こんなに怒ってる龍太郎君見た事ない。

(だって、セリフにひらがなが一個もないぞ!)

神が降臨した感じだ。声にエコーがかかっている。


「我ハコノ国ノ守護神ナリ。メリイ並ビニソノ親族ヲ守ルモノナリ。」

目を見開く。凄い圧力だ。みんなの上を飛び回る。

赤い炎が薄く全身を包んでいる。


――これが神龍としての龍太郎君か。

羽ばたきで小石が舞い上がる。

「女、懐ニ何ヲ隠シテイル。何ヲコノ国ニ持チコモウトシタ?」


「 ! 」


胸の前で手を交差させ、そのまま身体を丸めるルルゥ姫。

やばいモノを隠してるのがバレバレである。

「失礼。」

リーリエさんが白蛇をルルゥさんの胸元に落とす。

「きゃああっ、何をするのっ!」


白蛇を叩き落とすために手を動かした隙にリーリエさんがルルゥ姫様の胸元に手を入れて取る。

茶色の小瓶が2つだ。

(ちなみに白ヘビはオモチャだった。)


「ちょっと!」


「ああ、これは。媚薬に毒薬?」

アンちゃんが受け取ってしげしげと見る。

「しっ、知らない!毒薬だなんて!ただちょっとお腹を壊す薬よ!」


「…カレーヌ様のお菓子に混ぜるつもりだったのか。」

アンちゃんの声が硬い。

「自作自演でカレーヌ様の店の評判を落とすつもりだっただろうが、コイツは強い薬だ。殺鼠剤だよ。

仕事がらよく使うから間違えねえよ。」


アンちゃん?お仕事がらって。レストランのネズミを退治するとかだよね!

動物園でエサを狙う害獣駆除とかかな?きっと!

(人間相手じゃないよね?)


「ふん、自分の命を落としてちゃ世話ないな!」

「……そんな。国から取り寄せたのに。」

「キミ、嫌われてるね?」

リード様、ばっさりですね。


「ナンダト!我ノ名前ヲ冠スル、コンドラ本舗の評判ヲ落トシメルツモリダッタノカ!

店ノ菓子ニ入レテ無辜ノ民ノ大量殺害ヲ、クワダテテイタナ!」

毒入り危険菓子、食べたらあかん事件を思い出す。

 

怒りの為またひとまわり大きくなった龍太郎君。

目から赤い光が放たれる。


ビカ!ドガシャン!


え!今落ちたの雷っ?雷も扱えたのっ!?


「アラン様!レイカちゃん。身体を低くして馬車の中入ってふせてっ!」


怒りが渦巻いている。ゴオオオと地鳴りまでする。

神獣の怒りは天変地異も起こすのかしら。


ガシャン、ガシャンとカミナリがあちこちに落ちる。


ひえええっ。やめてえええ。

「ニゲルナ。我ノイカヅチヲ受ケヨ。クサッタ魂ノオンナヨ。」


コントロールがさあ!私達に当たりそうだよう。


「やめてっ!無礼者!

わ、私を誰だと!

私は!グランディの王妃の姪でっ、リード王子、アラン王子の従姉妹でっ。」


泣きじゃくりながら発言するルルゥ姫。


ほう、これで口が聞けるとは。


「そ、そしてサード様の婚約者ですわっ!」

「ウソだあっ!」

サードさんが叫ぶ。

「龍太郎君、私にそんな気は一切無いんだ!」


「ダロウナ。コノ女ハ白狐ニモ拒否ラレテイル。

コノ国ニハ入レナイ存在ダ。ソレガ、メリイノ兄ト縁ヲ結ブツモリダト?

女、我ヲ本気デ怒ラセタナ。」


もう、怒ってたじゃん!今まで本気じゃなかったんかい!


ゴオオオ ……


龍太郎君の口が開く。

えええ?その奥に炎が見えるじゃないか。

 

しゅうううっ。


あっ。波○砲を打つ前のヤマトのようになってる!


「龍太郎君、落ち着きたまえ!」

リード様のまわりに緑の光が見える。

これは土地神の加護か。


「そうだ!落ち着くんだ。ここで無差別に炎を吐いたらレイカさんやサードさんまで危険だぞ!

彼女等が怪我でもしてみろ!

レイカさんのお母さんや、メリイさんに泣かれるぞ!

龍の字っ!!!

それに、レイカさんは転生者仲間だろうがっ!」


巻き上がる土と荒れ狂う風の中、

アンちゃんの絶叫が響く。


「ヤマシロ、リーリエ!その女を遠くへ蹴り出せ!

そしてそこから離れろっ!」

アンちゃんが私とアラン様の上に覆い被さるようにしてかばう。

「きゃあっ!何するのっ!」

馬車の中に逃げ込もうとしていたルルゥ姫を、ヤマシロ君が捕まえて、リーリエさんが長い足でキックして転がすのを見た。

泥だらけになって、コロコロと転がって行くルルゥ姫。


あー、そこ少し坂になってたんですねえ。



リード様が私達の所へ来た。

「兄上!私の所へ!この緑の光はどうも守ってくれるようですから!」

「……リード。」

リード様がアラン様をアンちゃんの下から連れだして自分の後ろに隠す。

リード様を包んでいた緑色の光が二人にピッタリと被さる。

緑色のラップで包まれているようだ。


その時。青い清浄な光が満ちる。


キューウウウウウウウウ!


「落ち着くんだ、龍ちゃん!」

ネモさんがキューちゃんに乗って現れた。


「白狐様にネモ公殿!」

アラン様がホッとした声をあげた。


「キューちゃん、龍ちゃんの首根っこを噛んでおやり。」


ぐわああああっ。


キューちゃんの目が赤くなって口が裂けた!

ものの○姫に出てくるキャラのようです!

うわああっ、これは現実なのかっ。

怪獣大戦争だ。

キューちゃんが龍太郎さんの首根っこに噛みつこうとした瞬間、


「アア!ワカッタ!パイセンやめてっ。

…あっ、少し噛まれたっ。いてえ。チカラが抜けてイクヨ。」

龍太郎君のまわりの炎が消えた。

そして風も止まった。


「さっきのアンディサンの言葉デ我に返ったヨ。

オッカサンやメリイを悲しませるワケにはいかないヨ!」

そして二人の王子様を見て聞いた。

「ネエ、コノ女。始末してイイ?一応身内なんでしょ。」


「うん、いいよ。」

リード様、あっさりだ!


「構わない。キミ達神獣様がなさることには誰も文句は言えないし、私もとても腹を立てているんだ。」

アラン様も頷く。


「……」

無言で震えるルルゥ様。


「ドウスル?パイセン?このまんま結界に弾かせて消しちゃう?」


「ば、化け物。化け物達に守られたこんな国なんて、滅びればいいわ!」


「凄いね、キミ。この期に及んでまだそんな口がきけるとは。」

ネモさんが感心している。彼の周りにも緑色の光が見える。


しゅっ!


「ああっ?」


いきなりキューちゃんがルルゥ姫を咥えた。

そして姿を消した。

何という早ワザだろうか。

「……ああ、これで終わりだな。」

ネモさんの薄荷色の瞳が煌めく。


「……聞くのも怖いがどうなったんですか?ネモさん。」

「うーん、龍太郎君、キミならわかるだろ?レイカさんに説明してあげて?」

「エッ。ウウーン、どこまで言エルカナ。自分を化け物扱いされて、パイセン切れテタヨ。

モウ、彼女ニ会うことハ、ナイ。

今、ライブでボロ雑巾になってるトコロが伝わってクルヨ。」


「あ、もういいです。」


「一件落着かあ。王妃様が隠し通路を使わせて下さったから、この揉め事は外には出ないハズだ。」


まわりを見回すアンちゃん。


確かに鎌倉の切り通しみたいな所だものね。


「キューちゃんはねえ。ニワトリを食べたことがあるんだ。その気になればね……」

「シンディを飲みこんだこともありましたね。」


……なんかネモさんとアンちゃんが呟いていたけど聞かなかったことにした。


王蟲ですね。大地の怒り。

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― 新着の感想 ―
怒りの大地に、「そのもの青き衣をまといて・・・」の代わりに、青い光をまとったキューちゃんとネモさんが訪れたと。 シリアス展開なのに、レイカさんの解説がなんとも・・・で、龍太郎君が怖くなかった私。
ごめんなさい…シリアスな展開なのに、ヤマトの波〇砲が目に浮かんでしまって…発射されなくて良かった。 マジギレ龍ちゃん、怒りの神獣様モードでは、平仮名が無くなることが判明。 正気に戻って良かった良かっ…
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