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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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83/211

この縁は有りや無しか。彼女は彼の毒になるのか。

 すっとアンちゃんが私の前に立つ。私をかばうように。

その横にヤマシロ君もいる。

「ヤマシロ君?」

「馬車に忍ばせといたんだ。わからなかったでしょ。」

「レイカさん、ちゃんとお送りしますよっていいましたよね?」

ニコリと笑うヤマシロ君。


「ルルゥ姫。貴女のあまり宜しくない評判があがってきているんだ。

サード君の職場の女性達をいじめたって?」

アラン様が目を細めて言う。


「そんな……」


震えるルルゥ姫。


「やはりそうでしたか。リーリエさん以外の他の三人の女性たちが日に日に元気がなくなってきて。

女性の視点からの小物のブランドを立ち上げようとしてましたのに。」

サードさんが顔を強張らせる。

「実際。最初の方はうまくいってたよね。先行で作った【何か可愛いピカピカ小物シリーズ】は売れてた。

ウチのパールも喜んでたし。」

アラン様も頷く。

小さい子用のアクセか。サ○宝石みたいなもんか。


「時々母上がキミとサード君を呼び出していただろ?

噂を見極めようとなさっていたのさ。

私も時々同席していたがね、キミの人間性が良くないことはすぐにわかった。」

「そこの、王家の影のリーリエからの報告もあったしね。」

「 ! そんな、こんなアバズレの卑しい女の言い分を!」

「王妃の影はウソをつかない。」

アラン様がぴしゃりと言う。

「まあ、このリーリエだってもとは公爵令嬢さ。実際仕事の時はちゃんとしてただろう?」


リーリエさんがきちんとした淑女の礼をする。


「ええ、こんなセクシーな姿を皆様にお見せしたのは今日が初めてですわ。

ほほほ。随分とこのお嬢様には煮湯を飲まされましたわよ。」

「キミが他の女性達にやった嫌がらせは把握してるんだよ。」

アラン様がじっと目を見て言う。

「た、大したことはしてませんわ……」


「彼女達の手柄を横取りしたり。」

「たまたま似たアイデアを出したのですわ。」

「仕事を辞めなければ彼女達の実家に、圧力をかけると言ったそうだな?他国の王族なのにそんなことが出来ると?」

「だって、私は、王妃様の姪ですわ!」


うわあ。やべえ人だ。

「キミにそんな権利はない。思いあがるな。

たかが、他国の侯爵令嬢のくせに。

キミの母と母上が姉妹だっただけだ。」

アラン様の声は氷のようだ。


震えるルルゥ様。


「後は油を階段に撒いたり。彼女達の私物に毒ムシを入れたりだったか。」

「私が気がついて処置したから良かったものの。」

リーリエさんが鼻をならす。


「そんなことしてたのか。あの三人の女性達になんの罪があるというんだ。」

サードさんが引いている。

「だって、他の三人、このクノイチもだけど、みんなサード様の婚約者候補だと思ってたから。」


「馬鹿な!私は仕事がしたかっただけだ!そんなことは考えてない!

キミだって王妃様に頼まれたから面倒を見ていただけだ!

内心お荷物だと思ったけどお嬢様の社会勉強だと思って。

他の三人はな!ちゃんと仕事の戦力になってたんだ!」

サードさんの言葉に固まるルルゥ姫。


「とにかくね、キミは自国でも鼻つまみものだったらしいね?

それを知らない母上はエリーフラワー様を一瞬でも引き受けてもらった縁があったから、キミの滞在を許した。」

アラン様が続ける。


「サードさんの相手という事でとりあえず交流をお持たせになったが、だんだんと本性がわかって来たから、お問い合わせをなさったのさ。」

アンちゃんもうんざりした顔で話す。


「爺やが何度も呼びつけられてねえ。」

リード様も、ため息をつかれる。


「ルルゥ、キミ、随分とあちらでもやらかしたみたいだね。

それで、最後は神獣様のチェックにまかせることになった。」


なんと。


「普通にブルーウォーターに送ったら流石のキミも警戒するかもしれないだろ?

だからサード君の里帰りに付いていくことにさせたのさ。

それにエリーフラワーさんにも接触したがってたしね?

――光に弾かれてなければ、対面もかなっただろうよ。」


そこでリード様はふっと真顔になって、

「母上に似ていなければなあ。すぐにキューちゃんに焼きつくしてもらうんだが。」

「リード。そうだな。似てらっしゃるな。このまま、強行突破させ、白狐様の裁きを受けさせて、消失するのは見たくないな。

自分の国に帰りたまえ、ルルゥ姫。」


なんと。話はそこまで進んでいたのか。

王妃様はこの姪っ子様を消させてもいいと思ってらしたのか。

冷たいところがおありになるなあ。


「これはキミの国からの要請でもある。改心するように導いてやってくれと。

グランディで働いても心根が変わらなかったら如何様にもしてくれと。」

「出来ればそちらで結婚して戻ってきて欲しくないと。」

うわあ。


アラン様とリード様の代わる代わるの説明に、ルルゥ姫の顔色は紙のように白い。


「そんなっ、お父様やお母様や、兄上様が?」


その目からみるみる涙が溢れてくる。


「わ、わたしはサード様が昔から好きだっただけです!

これくらいの嫌がらせ、どの王宮でもあるじゃないですか!」


「そうネ。」

アンちゃんだ。

「ま、そうかもネ。だけどさ、姫さん。このままじゃエスカレートしていったと思うよ。

それにその割にはサードさんに告ったりしてないよネ?」

「……そ、それは。やはり男性から告白してほしいじゃないですか。」


「はあっ?」

サードさんの目が見開く。


「うーん、ルルゥ姫。キミの理屈だとサード君が、キミに惚れて告白してくれるのを待ってたってことかい?」

リード様が目を見開く。

「そうです。」


なんだ、この思いこみの激しい化け物は。

まだエメリンの方がマシだぞ。

「はああっ、キミ達グローリー兄弟には、激しくて厄介な女性に好かれる呪いでもかかってるのかい?」




リード様はため息をついた。






中島みゆきさんの「縁」ですね

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― 新着の感想 ―
王妃様のは「冷たい」のではなく、王族のしての「正しく非情」なのでは? グローリー兄弟の呪い・・・キューちゃんでもはじけない?メアリアンさんでもどうしようもない?これこそ女難。
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