人は見かけじゃわからない。かな?
「そうだ、貴女に紹介しようと思っていたのよ。」
王妃様が手を打つと、奥のドアがあいて若い娘さんがしずしずと現れた。
黒っぽい焦茶色の髪に青い瞳。深窓の姫って感じだな。
シンプルで動きやすそうだが、高そうなドレスをお召しだ。
とりあえず頭を深く下げるわたくし。
「おほほほ。レイカ、私の姪っ子。ルルゥよ。妹の子なの。」
なるほど、王妃様に似てらっしゃるわ。
少し三白眼で大きな目。大きめの口に薄い唇。
キツそうな印象を受ける。
「ルルゥ、こちらはレイカ。私の側近よ。
あのアンディの妻でもあるわ。」
はは、アラン様がアンちゃんをお気に入りなのは良く知られているからね。
「初めまして。レイカ・モルドールと申します。」
「あ、初めまして。貴女があの。お噂はかねがね。
ルルド国のルルゥ・ブルブォンですわ。」
どんな噂をされてるのだろう。
「もしかしたらエリーフラワー様が一度ご養子に入られた?」
「ええ、そのあとすぐにご結婚なさったり、ご自分で叙勲されてゴージャス公爵となられて縁は切れておりますが。」
そこで眉尻を下げる。
「一瞬でも姉妹になったのですもの。一度お会いしたいですわ。」
「ほほほ。レイカはエリーフラワーの親友だもの。
つないであげてね?」
「それは構いませんが。」
もしかしてこの人か。サードさんのことが好きな人。
ちょっとタカビーな気がするのは気のせいか。
「サードも呼んで。」
「ははっ。」
ヤマシロ君が消えた。
「ところで、仕事はどうなの?ルルゥ。サードのところで、上手くやってるの?」
「ええ、いろいろ新鮮な驚きでいっぱいですわ。」
確か、女性のことを軽んじる傾向があるサードさんに女性達をぶつけて揉ませてると聞いたような。
「このレイカはね、サードの妹のメリイととても仲が良いのよ。」
「まあっ!そうですの。私、メリイさんとも仲良くなりたいですわ!」
「アッハイ。ではエリーフラワー様とご一緒にメリイさんのところに参りましょうね。」
そこにサードさんが来た。
「お呼びでございますか?王妃様。あ、レイカさんにルルゥ様。」
「のう、サード。メリイがおめでたになってからまだ会ってないそうじゃな。」
「はい!会いたいのですが、つわりがひどくて、レプトンでさえ会えないとか。」
「もう大丈夫よね?レイカ。」
「ええ、こないだメリイさんとご一緒に食事をしましたわ。」
「そうですかあ!」
破顔するサードさん。
「今からレイカの帰宅と一緒にブルーウォーターに行ったらどうじゃ。
ルルゥもエリーフラワーやメリイに会いたいとな。
他国の王族のルルゥがいるのじゃ。
特別ルートで帰ることを許す。」
「は、はい、有り難き幸せ。」
あれか。王家と影しか使えない秘密ルートか。
サードさん、何も考えてないようだけど、これ、王家の秘密だからね。
ジワジワと外堀を埋められていってるよ。
王家の秘密を知ったもの、王家の関係者と縁づくべし。
みたいなね?
「では、護衛は私が。アンディ様はアラン様のところでしょ。」
すっ、と現れたのは、
「リーリエさん!」
まー、立派なクノイチになっちゃって。
ピッタリとした黒いスーツに包まれた、ダイナマイトなボディ。
やっぱり、ふーじ○ちゃんだわ。
アニメのオープニングで、チーとチャックを下ろしてた、あのセクシーな衣装にクリソツである。
(テーマソングに歌詞が付いてたときね、真っかなーばーらーはー、って奴。)
「お久しぶりです、姉さん。」
貴女に姉さんと呼ばれると変な感じだなあ。
パープル婆さんに良く躾けられたのか。
すっかり忍びである。
「リーリエさん、その格好は。」
サードさんが目を見開く。
「うふん。私はクノイチ。お仕事着よ。」
パチンと、ウインクをかます。
身体をくねらせる。
匂いたつような色気である。セクシーダイナマイッ!
おおおおーっ。
お城の護衛の騎士団にざわめきが広がる。
こら、あんたたちがハニトラにかかってどうするよ。
「オホホ、リアルなふー○子ちゃんだわ。やっと見れた。」
扇子で口元を隠しながらオホホ、ウフフと御満悦の王妃様だ。
「ではリーリエよ、レイカとルルゥのガードをするように。」
「はっ。」
「おまえも久しぶりに息子にあってくるがよいぞえ。」
「は、ははっ!」
その時のリーリエさんの表情は妖艶なクノイチから1人の母になっていた。
確かうちの子とあまり変わらないはずだ。
「五月生まれでしたね?二つかしら。うちの子よりひと月程早くお生まれになったわね。」
「ええ、そうです。ご存知でしたの。」
確かパティさんとこのガルディくんも同じくらいの生まれだったはずだ。
「お名前は?」
「ディルですわ。ミミ義母さんが付けてくれたのです。」
「グランディの昔の英雄王の名前じゃな。ミミらしいのう。」
王妃様がポツリといった。
皆様、覚えてるかな?説明しましょう。
ミミ様とは、グランディ王の従姉妹であり、王様が大好きだった。
しかし、王様には全くその気がなかった。
ミミ様のルックスが、ささらなかったというふざけた理由である。
王様はリード様によく似た美形である。
モテまくっていた。
王様の好みにドンピシャだったのは、ルルド国の姫、今の王妃様のルララ様である。
彼女も王様に昔も今もベタ惚れなのである。
自分に秋波を送り、ルララ様に嫌味を言うミミ様をうっとうしく思った王様はミミ様に外国への縁談を用意した。
それでミミ様は他所の国に嫁いだが、夫が亡くなって出戻ってきたところをリーリエさんの父のメリダ公爵と結婚したのである。
いや、籍は入ってなくて内縁の妻だったかな?
そのメリダ公爵はリーリエさんを使って良からぬことを企み、粛正されたのであった。
(妊婦のリーリエさんを使ってハニトラをかけて、王家に托卵を目論んだのだ。)
リーリエさんも処分されるところを、妊婦であるし、セクシーなクノイチに育てたいという、王妃様の一言で助かりましたという次第。
そしてブルーウォーターへと馬車は進む。
「うふふ。サード様とご一緒出来るのは嬉しいですわ。」
隠し通路を通って走る。走る。
「はあ。」
ルルゥ様のアタックに気のない返事のサードさんだ。
彼女がしなだれかかるのを何気にさける。
「ところで、レイカさん、うちのレプトンはどうしてますか?」
ここで私に話題を振らないで欲しいなあ。
ほら、ルルゥ様がむっとして私を見た。
「ああ、お元気でいらっしゃいますよ。先日もヴィヴィアンナ様のところでお会いしました。」
「まあ、レイカ様はヴィヴィアンナ様とも仲がよろしいの?」
目をパチクリするルルゥ様だ。
「はい、まあ。」
「カレーヌ様とも仲良しですよね?」
何でそんな話を振るかな?サードさん。
「カレーヌ様って!」
ほら、ルルゥ様の目が吊り上がる。
カレーヌ様のことを知っているんだなあ。
「まだ、彼女に未練がおありになりますの?」
うわあっ、ルルゥ様の声が低くなったぞ。
なかなか怖い人?もしかして?
そこでブルーウォーターに馬車はついた。
しゅううううっ。
馬車から降り立つ私達。
青い光があたりを包み込む。
キューちゃんの洗礼だ。
王家の隠し通路でも発動するのだな。
「ううううっ、頭が割れるように痛いですわ、、、。」
女性のうめき声が。
ええ?やはりリーリエが弾かれたの?
違った。
そこにはルルゥ様がうずくまっていた。
ええっ、このお姫様悪者だったの?
キューちゃんチェックに弾かれた?
「やはり弾かれたか。」
そこに現れたのは、
「アラン様!とアンちゃん?」
「先まわりしてたのヨ。」
2人とも難しい顔をしている。
飲み会というのは嘘だったのね?
では?では王妃様もグル??
アンちゃんを見ると頷いた。
「我が従姉妹姫よ。
残念ですが貴女は、このブルーウォーターに入ることはかないません。」
そして、輝く美貌を纏ってリード様が現れた。




