サマーフェスと言うより夏祭りだよね
誤字報告ありがとうございました
祭りの準備は進む。ショッピングセンターの3階に準備室が出来た。
こんなとこに会議室があったんだなあ。
「こことここ。警備のチェック。ハイド、シンゴ、頼めるか?」
「はっ。」
忍び達に仕事の割り振りと、祭りの準備をするアンちゃんだ。ハイド君も動員された。きっとハンゾー君もいる。
ヤマシロ君もだ。
アラン様付きのはずだが、
「母上のご希望を叶えるのに人手がいるのなら。」
と、快く貸し出されたそうだ。
私も全体像のチェックに呼ばれている。
何しろ前世の記憶持ちだ。メリイさんは妊婦で動かせない。
色んな人でごった返している中、
「レイカ様、アンディ様。私に屋台の手伝いをさせていただけませんか。」
ザックくんだ。想定内である。
「私、料理好きなんです。」
「そうだね、こないだも包丁捌きが見事だったわ。」
「ありがとうございます!昔から弟や妹達にメシ、作ってやってたんで。」
アンちゃんが真面目な顔になる。
「おまえ、火おこしも出来てたよな。釣りもうまかった。狩りも出来るんじゃねえか?」
「はい、アンディ様。お恥ずかしながら貧乏だったから。野宿したこともありましたし、川で魚をとったり山でキノコや木の実を取ったり、弓矢でうさぎや鹿をとったりしてました。」
「…グランディの中でもおまえの実家は温暖な地方で良かったな。」
「ええ。」
「まあなア。俺もガキの頃は食うのに苦労したことあったしな。何も恥ずかしいことはねえよ。」
「え、アンディ様も?だって伯爵様でしょ。」
「フン。俺が王家の影なのは知ってるだろ?戦で成り上がったのさ。元々は平民の馬番のガキさ。
みんな知ってるがね。」
アンちゃんは配置図を見ながら会話をする。
ザックくんは目を見開く。
「…すごい。どうやったらそんなふうになれるのですか。私は姉や弟妹を飢えさせたくないんです。
それで騎士を目指したのですけど。」
「ああ、それは正しい。おまえは貴族だ。騎士になれらア。
俺らは騎士になれない生まれさ。
それにな。我ながら身体能力は抜群だからな。三羽烏の名前は伊達じゃねえよ。爵位付きになったのは俺とシンゴぐらいさ。
それもな、アラン様や王妃様のお引き立てあっての事だ。奇跡なんだよ。」
「アンディ義父さんは敵将の首をとったり、裏切り者の赤い稲妻を倒したり、アラン様を庇って切られたんだ。特別なんだよ。」
シンゴ君が口を出す。
相変わらずアンちゃんが好きだな。
「側妃の残党狩りをしてうちの里の敵を取ってくださいました。」
ハイド君も付け加えた。
「余計なこと言うな。」
あら、アンちゃん。照れてる?
「す、すごい。」
近くで歌の打ち合わせをしていた、ドンやリッキーも固まっている。
「あの。忍びになった方が稼げますか?」
ザックくんの質問にアンちゃんは配置図から顔をあげ、上目使いでジッと見る。
「その代わりな。汚ねえ裏の仕事も沢山あるんだ。
エドワードにせっかく学校で指導してもらってるだろ。
そっちが正しいぞ。その方がいいぞ。」
そこで薄く笑うアンちゃんだ。
「ま、稼ぎたいなら商売を始めたほうがいいんじゃねえか。高等科には商業コースもある。
学園を出て調理の道に進むのもアリだぞ。腕が良ければ食いっぱぐれねえ。店をひらいて姉キや弟妹も呼び寄せたらどうだ?
騎士だって忍びだっていつ命を落とすかわからねえんだ。確実に兄弟を養うならそっちも考えて見ろよ。」
「……。」
「ま、祭りを楽しめよ。屋台の忍び達に口を聞いてやるから。」
ポン。
アンちゃんはザックくんの肩をたたいて立ちあがる。
「頼むぞ、セピア。ザックの面倒を見てやれ。」
「はい、アンディ様。」
二人は去っていった。
「この配置図通りにヤグラを組み立てて。
あとは、さて。お面てこんなもんか?ねえ、レイカちゃん。」
お面の試作品を見る。
「王妃様の絵を元にしたんだけどネ。試作品が職人たちから上がってきたの。こんなんでいいかしら?」
オネエ言葉のアンちゃんが眉尻を下げている。
わあ。立派な狐面だ。
顔に赤い筋が入ってる奴だ。
あら、これは龍太郎君だね。格好いいじゃん。
それからこれはセーラームー○もどき。ピカチュ○もどき。
プラがないから紙で出来ている。紙粘土細工かな。
「あ、うん。いいんじゃないかな。有名なキャラクターだけど。でもそれを知らないこちらの世界の子供が欲しがるかなあ。」
「こちらはリード様モデルとヴィヴィアンナ様モデルです。というか王妃様の漫画のキャラに似せてますけどね。」
頭を下げて説明してくれてるのは職人さんかな。
あ。これは欲しがるかも。綺麗だ。
小さい子がかぶって、
「あたち、おひめたまなの。」って言うのが目に浮かぶ。
「あとこちらも見ていただけますか?」
職人さんが恐る恐る出したそれは。
「こ、これは!」
何故、能面がここにっ!
恐ろしくも美しい小面である。
一番有名な能面。能面と聞いてみんながすぐ思い浮かべるアレである。
うっわ、木製です。気合い入って彫られてます。
そんな夜店で売っていいクォリティじゃないぞ。
「王妃様が描かれたの?これも?」
「はい。真っ二つに評価が割れまして。怖いってんのと、神秘的だっていうのとですね。」
アンちゃんが職人さんからひょいと小面を受けとる。
「ふうん。壁にかけて飾ってさ。
この目のとこんから、覗くのにいいと思うね。見張りで。」
アンちゃんはお面を被る。
アンちゃん、そう言うの時代劇でみた。忍びのモノがお面越しに隣室から覗くやつ。
「俺、コレ買うわ。」
アンちゃんは気に行ったらしい。
「王妃様のお気に入りって言えばレストランや公宮に飾っておけるだろ。
グランディの王宮にもいいかもな。そこから覗いて警備するんだ。いくつか作れるか?」
いきなりの追加注文かい。
私はちょっと怖いなあ。
「アンちゃん。自室にはかけないでよ。」
「え?ダメ?」
きっとランもアスカも泣く。絶対泣く。
私だって夜中、絶叫しない自信はないよ。
「あとこちら。オペラ座の怪人バージョンもありますよ。」
まだこっちがいいな。
その他、リンゴアメの作り方の説明したり、金魚すくい(この世界に金魚はいない)の代わりに小魚すくいなんかの話をして、
(昔、某施設公開でどじょうすくいがあったな。)
祭りの準備は進んでいくのであった。
某・施設公開でどじょうすくいをしましてね、金魚の代わりにどじょうなんですが。子供たちがすくいました。
しばらく飼ってました。
泥に潜ったりして可愛いかったですね。




