本当に。みんな見た目以上に笑えない過去がある。
誤字報告ありがとうございます
そこで口を開いたのはミッドランド氏だ。
「エメラーダ先生。貴女は色恋のことを抜きにすれば、コホン、まあ、遅刻癖もあるが、素晴らしい先生だ。」
「学園長。」
エメリンの目は潤む。
「ええ、私の方にも噂は聞こえてくるの。子供達の心に寄り添う素晴らしい先生。子供たちの良いところを伸ばそうとする姿勢。」
エリーフラワー様も同意する。
「歳もあまり変わらないから、エメラーダ先生のことを生徒達は姉みたいに慕っています。
それに、ブルーウォーター合唱団。彼らは戦災孤児であちこちの国から集められまして、
寮に入って学校に通っております。」
「そうだね、そう聞いている。」
リード様が学園長の言葉に頷く。
「ここの国の言葉の読み書きも出来ない子供もいる。
それから、貧しくて今まで学ぶ機会がなかった子供も。
年齢はバラバラですが、初等科に入って勉強しております。
彼等に手作りの教材で、個別対応で言葉を教えてきたのは、エメラーダ先生ですよ。」
ミッドランド氏の声は優しい。
「だって私は国語の教師ですから。当然でございますの。」
「ほう。」
ネモさんとリード様が感心する。
「ヘエエ。アンタ割とイイ先生ナンダナ。」
龍太郎君がエメリンの前に降りたつ。
「焼きを入れるのはヤメテヤルヨ。」
「ううっ。ドラゴン様〜。私なんか食べても美味しくありませんようう。」
後退りするエメリン。
よし、擁護しておくか。
「エメリンさん。」
「レイカさん?」
「私の甥っ子もね、貴女を慕っていますよ。貴女が落としたイヤリングをお守りにして、受験に励みましたの。」
「まあ。ミルドル君が?」
振り向いて私を見るエリーフラワー様。
「あー、はい。マーズから聞いてはいますけど。」
ネモさんが頭に手をやる。
「そうです、貴女は立派な教育者じゃないですか。
失恋のひとつやふたつ、なんですか。
ねえ。誰でも色んな過去があるのよ。」
みんなをチラリと見回す。
私の発言で何となく気まずい感じのアンちゃん。
カレーヌ様のことをあてこすったのではなくってよ。
ほほほ。
レプトンさんも気まずそうだ。ラーラさんのこととかね。
エメリンの目から涙があふれる。
「ううう!レイカさーん。」
がばり。
思いきり私に抱き付くエメリン。
「もう、レプトンさんのことはいいわね?
貴女が悪いと言うより、相性が悪い。」
とりあえず乱暴にまとめてしまおう。
「は、はいいいっ。ぐすっ。」
泣きじゃくるエメリンの背中を撫でてやる。
「ヨーシヨシヨシ。」
「ナンカ、オッカサンみたいだな。」
龍太郎君が呟く。
そうね、母の口癖がうつったかも。
(キミのオッカサンではないけどね。)
「ほほほ。そうですわ。追いかけられたら逃げたくなるものですわよね、リード様。」
チラリと横目でリード様を見るエリーフラワー様。
「さ、才女殿。ま、そうだね。」
リード様。額に汗が浮かんでます。
「マア、誰にだって過去の悲恋話やトラブルはあらァな。
叶わない恋は悲しいケド、仕方ネエジャン。」
「……龍太郎君。君の言葉はしみるね。」
レプトンさんがしみじみ呟く。
「では、もうエメラーダ嬢はレプトン君に付き纏わないってことでいいかい?」
「はい。リード様。」
涙を拭いて立ちあがるエメリン。
その顔は憑き物が落ちたようにスッキリとしている。
「貴方とカレーヌ様の恋の成就をお祈りしますわ。」
深々とレプトンさんに向かって頭を下げる。
「エッ。」
赤くなるレプトンさん。
「うん、祈るだけにしてあげて。キミが何か行動を起こすと支障が出そうだから。」
ネモさんが釘をさす。
「ねえ、ミッドランド君。そのアラエル君だっけねえ?要注意だ。」
リード様が目を細めて静かに言う。
「はい。リード様。今回の一件の原因のひとつは彼の余計な口出しにある。」
がしっ。
うん?私とエメリンさんの肩を後ろから抱くのは?
フワリと柑橘系の香りがする。
エリーフラワー様の御愛用のコロンだ。
私達二人の間から顔を出し抱き寄せている。
「ほほほ。異動させますわよ。彼は研究職に戻しますわ。教育者よりもそっちが向いてるのでしょう。
新しい理科の先生と副学園長をこれから選びなおします。」
言い放つエリーフラワー様。
「そ、そうかい。才女殿。」
「理事長。かしこまりました。」
リード様とミッドランド氏も納得したようだ。
「ではこれで一件落着でいいわね。
久しぶりだからレイカさん、お茶しましょうよ。」
「はい、是非。」
「わ、私も混ざりたいです。」
「ううん。仕方ないわね。ほほほ。エメリン。来てもいいわよ。」
「じゃ、エリーフラワー様、ホテルのカフェの個室にどうぞ。」
ネモさんが内線で連絡をする。
押さえてくれたみたいだ。
「ネモ様、ありがとう。
では、これから女子会をするから、殿方とはここで。
ごきげんよう。」
「あ、ああ。」
圧倒されるリード様、レプトン様、ミッドランド氏。
エリーフラワー様には皆さん腰が引けるのは何故か。
「エエ〜女子会ナノ?ソウナノ?
オレも混ザリタイのに。お茶とスイーツしばきたい。ダメ?ペット枠ナシ?」
「マア〜ワタシもダメかしら。」
「ほほほ。神獣様とオネエ様も、今回はご遠慮してくださいな。ほほほ。」
キッパリとハッキリと断るエリーフラワー様である。
龍太郎君はともかく、アンちゃん悪ふざけだよ。
「ま、じゃあレプトンさんを龍の字、送っていってくれるかい?これで解散…」
「いえ、アンディ様。溜まった仕事を片付けに参ります。リード様、すみませんでした。」
「もう体調は良いのかい?真面目だねえ。じゃチャチャちゃんはワタシと帰りましょうか♡」
アンちゃんが声をかける。
「ぶにゃおん。」
アンちゃんがチャチャちゃんを抱こうとすると、アンちゃんから逃げた。
「えええ!何でぇー?」
そして龍太郎君にしがみつく。
「あ、ウン。オイラが送ルヨ。アンディサン。」
「ウウウウ。」
あら。アンちゃんが血の涙を流してる。
龍太郎君は飛び立った。
「さあ、私達も参りましょう。レイカさん、エメラーダさん。」
「あっハイ。アンちゃん、先に帰ってて。」
「はあい。了解。しくしく。」
さあ、女子会だ。
サザンのtsunamiからですね。




