最後に彼はやってきた。
メリイさんの母上、マリーさんはおめでたを聞いてものすごく喜ばれた。
私達は次の日、昼過ぎにジージを紹介にメリイさんのお家に来たのだが、
ほぼ同時にミッドランド氏とご到着された。
「まあ!良かったわね。メリイ。嬉しいわ。連絡ありがとう。
女の子なんですって?可愛いでしょうね!」
抱きあう二人。
「それでね、お母様。お願いした件だけど。
一緒に住んでくれる?」
上目使いで切り出すメリイさん。
「ええ!もちろんよ。私だけでもすぐ越してくるわ!予定日はいつ頃なの?」
「確か予定日は一月十六日ですね。」
アンちゃん。出産予定日の計算も出来るのかい?
「メアリアンさんに聞いてきました。」
あら、そう。
「来年の花見はお子様連れダナ。コノ屋敷のまわりにパイセンから桜を植えてモラッテ良かったナ。」
龍太郎君がメリイさんの肩にとまる。
さて、執事を紹介しなくては。
「それで、今日はウチの実家のツテで執事を探して連れて来ましたの。人柄は保証しますわ。」
「ジージーズと申します。ジージとお呼び下され。
旦那様。奥様。大奥様、大旦那様。
モルドール家に縁がございましてな、馳せ参じました。
早速今日からお仕えいたします。」
「そうですか。レイカさん!ありがとうございます。ジージ、宜しく頼みます。」
ニコニコのハイド君だ。
それから、ポーリイちゃんの所に、マリーさん達の護衛をしていたルシアさんが来た。
「こんにちは。お久しぶりです。お世話になります。」
「あ、お久しぶりッス。ルシアさん。心強いッスよ。」
ふうん、二人は知り合いか。
「同室だとせまいか?ま、ポーリイはそのうちエラ妃のお付きになるからな。
宜しく頼むよ。」
アンちゃんの言葉に2人のクノイチは頷く。
「じゃ、荷物運ぶわ。ポーリイ、宜しくね。」
「うん。ルシアさん。」
そして。
「で、どうよ?ゲン・ノジョーにオ・ツナ。ここに勤める気はあるかい?
後、メリイさん。どうかな?この二人が優秀なことはワタシが保証するワ。
ハイドは大丈夫って言ったよな。」
アンちゃんに呼び出されたふたりも到着した。
ハイド君やメリイさんと対面だ。
千客万来というか一度で顔合わせを済まそうとしてるな。アンちゃん。
「アンディ様。アラン様や王妃様からもお話を伺っておりますし、問題はありませんよ。」
「こっちの方が面白そうです。保養所のジイサン達はうるさいですからね。」
あー、元忍び達だ。先輩ぶって色々言うんだね。
「メリイ様。ハイド様。宜しくお願いします。」
「ええー、ほぼ同期なのに様はやめてよ。」
「はは。ハイド様。ケジメですから。」
「私も宜しくお願いします。」
「もちろんですよ!メリイ様。貴重な転生者様に、お仕え出来るのは、またとない喜びです。」
頭を深々と下げるゲン・ノジョー君。
「俺は?オレは!?」
「龍太郎様!伝説の神獣様にお仕えできるとは。光栄でございます。」
「近くで見ると、可愛いですね。」
「ヒャッホウ。イイネ。」
オ・ツナさん達の言葉に喜ぶ龍太郎君。
では、これでメンバーがそろったと。
「じゃあ、みんな引っ越してネ。
キミ達の部屋は一階だよ。
こっちが執事さんの部屋でいいか?玄関に近いからな。
夫婦忍びはこっちだ。若干広いぞ。」
アンちゃんが段取りを決めて行く。
ガチャリ。
その時、ドアが開いた。
「やあ。メリイおめでとう。
お祝いを言いに来たんだよ。
はい、これ。カレーヌ様のところの詰め合わせ。
それでね、小耳にはさんだんだけど母上も同居なさるとか?
……ねえ。俺もここに住んじゃダメか?」
「レプトン兄さん?」
メリイさんが目を見開き、
「レプトンさん?」
ハイド君がポカンと口を開け、
「まあ、レプトン。」
マリーさんが駆け寄った。
久しぶりのレプトンさんだ。
その姿は憔悴しきっていた。




