子供の世界は、スモールワールドかしら。
誤字報告ありがとうございます。
十一月の半ば。
カレーヌ様やエリーフラワー様と一緒に、リード様のお屋敷に呼ばれた。
「ウチの孫達と貴方達のお子様達と遊ばせたいのよ。」
もちろん、言い出しっぺは王妃様だ。
「おほほほ。お邪魔しますわ。」
エリーフラワー様はここの双子の王子、エドガー王子様とフロル王子様のなんちゃって乳母をしていたし、
(週に2回程お乳をあげてその後は勉強を教えている。)
ミネルヴァちゃんはエドガー王子の婚約者である。
勝手知ったる他人の家なのである。
もちろん、双子の王子の妹、ディアナ姫も懐いている。
「皆様どうぞ。お久しぶりですね。」
護衛のピーターさんが中に入れてくれた。
子供部屋には、すでにネモさんの妻のローリアさんが来ていた。お子様連れで。リナちゃんだ。
「皆様!ご無沙汰してます。お元気でしたか?
レイカさん!会えて嬉しい!」
はい、私はローリアさんが元夫のDVでズダボロになっているときにお世話をしたのだ。
それ以来友情を感じて下さっている。
「ローリアさんはお忙しいのですから。」
現在の夫のネモさんが、フットワークが軽い分だけ、彼女も忙しいだろうなあと、推測される。
きっと子育ては彼女がメインなんだろう。
そこへ。
「ふふ。皆様良くお越し下さいました。」
ヴィヴィアンナ様がお子様を連れて来られた。
ふわりと微笑む麗人。花の香りが立ち込める。
「…!……!!」
「レイカ、しっかり!」
カレーヌ様が私を揺さぶる。
いかん!あまりにヴィアンナ様が素敵過ぎて。
お会いするのが久しぶりで、
意識が飛んでた。
(例えるなら、いきなり柚○光さんや、明日○りおさんが現れたと思ってほしい。煌びやかな衣装と男役のメイク付きで。それくらいのインパクトである。
もちろん月○かなとさんや、和希そ○さんなど他の方でも良い。)
豊かなプラチナブロンド。ブルートパーズの様な瞳。ラフな肩出しブラウスに(室内は暖房は効いております。)スリムな長いお御足にフィットするデニムパンツ。お似合いです。
どうしてもねえ、子連れはね、パンツスタイルになるわよね。
「ほほほ。相変わらずね、レイカ。
さて、みんな来てくれてありがとう。」
王妃様がお見えになった。
「さあ、子供たちを遊ばせましょう。」
お子様達は。
エドガー王子、フロル王子、ディアナ姫、リナちゃん。
はい、ここまでは絶対怪我をさせてはいけないお子様達です。
下手したら首が物理的に飛びます。
もしかしてここ、ブルーウォーターかグランディの後継者になる可能性があるのですからね。
そして、ミネルヴァちゃん、サファイアくん、ビレイーヌちゃん、うちのランとアスカ。
こちらはうっかり髪とか、服を引っ張ったり、汚しても、
「あら、ダメよ。」と、
「いいの、お互い様よ?」ですませられます。
とりあえず、柔らかいオモチャで遊ばせる。
大きなプレイマットには街の絵が描いてある。
そこにいっせいに小さな馬のおもちゃを走らせる男子たち。
うん、競馬っぽいぞ。
女の子は、お人形をもったり、ボールで遊んだり。
「きゃっ、きゃっ。」
「はい、はーい。」
「これ、どうぞ。」
とても可愛らしい光景である。
と言うか、お姉ちゃんのミネルヴァちゃんにみんなが群がっている。
あ〜。大変そう。
「キューちゃん、ここにいる?出てきて?」
キュー。
ミネルヴァちゃんの大変さをみかねた、エリーフラワー様の呼び方に反応して白狐様が現れた。
おお、モフモフの尻尾でじゃらして…いや、あやしてあげている。
子供好きだなぁ。
「ウチにも時々きて、リナと遊んでくださるのですの。」
なるほどね。リナちゃんは茶色の髪に薄荷色の瞳。
ネモさんにそっくりだ。
角度によって眼が煌めくところも。
チラリと、ローリアさんを見ると頷かれた。
「リナはネモに似ていますの。動物がものすごく寄ってきます。
…お昼寝してたら、いつの間にか、へびが横でとぐろを巻いていまして。
その横には、ネズミや猫なんかも。
お互い捕食する、されることも忘れてじっとリナを見ているんですのよ。」
「ひええ、でも護衛してるんですよね?それ。」
「たぶん、、それで、あまり外に出してませんの、目立ってしまいますし、自分で上手く調整できる様になるまで。」
うわあ。流石である。ネモさんみたいにリアルなブレーメンの音楽隊が出来るようになるだろう。
「子供が何人もいると賑やかでいいのう。」
王妃様はにこやかに微笑んでいらっしゃる。
「ええ。」
同意してらっしゃるのはヴィヴィアンナ様だ。
カレーヌ様とエリーフラワー様は微妙な微笑みを浮かべている。
「これはねえ。」
「ホントにねえ。」
二人で目配せして頷く。
「 ? 」
ウチの娘達は積み木で遊んでいる。
二段ずつ積んでいく。塀をつくってるのかな?
おや。材料になる積み木が手元に無くなったようだ。
持っていくか。
その時、フロル王子がうちのランに寄っていった。
彼ももう4つだ。足取りもしっかりだ。
そして両手にもってる積み木を渡す。
「ハイ、これえ。いいよ。」
使っていいと言ってるのだろう。
そこへ、
「ちょっとまったあー、でーちゅー。」
懐かしいねるとん紅○団みたいなことを言って、
サファイアくんが現れた!
「はい、あい、これ、どぞ!」
ランに自分の積み木をグイグイ押し付けている。
え、なに。モテモテ?
「ほほほほ。ランちゃんはモテモテじゃのう!」
「アッハイ。そうですね?」
「ふふふふ。フロルはいつもおっとりしてますよ。
自分から寄っていくとは珍しいです。」
そうなんですか?ヴィヴィアンナ様。
確かに。
エドガー王子はミネルヴァちゃんにベッタリだけど。
「まあ。おほほほ。サファイアも。ランちゃんを気にいったのかしら?」
「エリーフラワー様。ランとアスカはそっくりですが、
子供達は見分けてるのでしょうか?」
「どうでしょうかね?」
もちろん親の私にはわかる。今日は色違いのリボンをつけてるが、それを外すと他人にはわかるまい。
「ランちゃんは赤いリボンなのね?レイカ。」
「ハイ、王妃様。」
「うふふふふ。やはり紅い牙だから?」
「アッハイ。お察しの通りでございます。」
名前は柴田昌○さんの有名ヒロインから来ている。
「おほほほ。そのうち髪が逆立って赤くなったりして。」
「ふふふ。アスカの方はいきなり等身が変わる奴ですよね!」
はい。名前の由来は「アンタ、バカァ?」ではなくて、和田慎○先生のスーパーお手伝いさんだ。
(名付け親は公式ではアラン様だが、本当は王妃様である。)
そう、どっちかと言うとランはおっとり、アスカはテキパキなのだ。
楽しく前世トークをして帰宅した。
「うーん、マズイかしら。でもごり押しはしないわよね。」
「ええ、うちの子とも仲が良かったし。」
帰りの馬車の中でカレーヌ様とエリーフラワー様が真剣な顔をしていた。
「 ? 」
「あのね、レイカさん。多分ね、」
エリーフラワー様が子供達に聞こえないように声を落とす。
「今日はね、フロル王子と女子達の相性を見てたのよ、王妃様はね。」
「そう。もし、うちのビレイーヌや、リナちゃんが気にいられたら、速攻で婚約の打診があったはず。」
な、なんですとー!!
「あの後も積み木を取ってきては、いそいそとランちゃんに渡してたじゃない。」
「ええ、カレーヌ様。うちのサファイアも運んでましたよね、対抗して。」
それで全ての積み木がランの所に集結していた。
ええ?でもそれくらいで?
「でもさ、レイカはさ。お子様の結婚の自由をもぎ取ってるじゃない。それに貴女には王妃様はごり押しをしないわよ。」
カレーヌ様も声をひそめて続ける。
「うん、それくらいなら、相手はうちのサファイアにしてちょうだいよ。ね。おほほほ。」
「エリーフラワー様、ありがとうございます。
ウチじゃ王族のお相手は無理ですよ。」
「でもね、レイカ。ヴィヴィアンナ様の身内になれると言ったら?」
カレーヌ様の口元には薄い笑みが浮かんでいる。
あ、それはちょっと良いかも?
……じゃなくて!
「無理無理無理!」
そしてカレーヌ様は真顔になって続ける。
「でもね?アンディの子なら、アラン様も文句は言わないわよ。もし、王族に嫁いでもね?」
げえええっ。そっちもあったか!
「ま、大きくなったらさ、自分で選べば良いのだし。これから触れ合いも増えるから。
おほほほ。サファイアと沢山遊んであげてね。」
「アッハイ。エリーフラワー様。」
ホント。親が思ったようにはならないわよね、この問題は。
私は頭をかかえて、双子の娘達を見るのであった。
タイトルネタは、イッツ・ア・〇〇ールワールドから。
某・アトラクションで流れる歌詞は、
「小さな世界」ですが、別バージョンでは「子供の世界」と言う訳詩もあったような気もします。
ちなみに名前をあげた、元宝○の方は実際に私がブロマイドを買った方達です。




