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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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39/212

情けは人のためならず。良い事をしたら自分にかえってくるんだね。

誤字報告ありがとうございます

 さて。まず執事の件なのだが。

父母がすぐヒデージに聞いたそうだ。

「ジージーズが良いでしょうな。あいつは私より十五は若い。ドレド様より歳下です。

勤めていたお屋敷が戦火で焼け、今は図書館に勤めている本好きです。

もし、教育者であられるミッドランド氏が同居なさるのでしたら、お役にたてると思いますぞ。」


ジージーズはグランディの図書館で非常勤で働いているとの事。

キューちゃんチェックもなんのその、即、呼びつけられた。


二日後には父母の家に来たよ。 


「お久しぶりです!旦那様!奥様!

レイカお嬢様!あんなにお小さかったのに。大きくなられて!

初めまして。ご夫君のアンディ様。

おお!ランド坊ちゃんも?お懐かしい。

こちらが奥様になられるのですか?

お会いできて光栄でございます。ホッホッホッ。」


うわあ。ヒデージをそのまんま若くした感じだぞ。

「ジージとお呼び下さいませ!」

「アッハイ。ところでね、知り合いの所で執事をして欲しいのだけど。」

用件を切り出す私。

「ホッホッホ。願ってもないこと。図書館の非常勤が今回更新できなくて、少し困っていたところでございます。失業してひと月になりますかね。」


え、それは困ってしまってワンワンでは。

というか焦らないの、このジージ。


「先日のグランディ戦で執事として勤めていたお屋敷が焼けましてな。国境沿いでしたから。

命からがら逃げ出しましたが、ご主人様ご一家をお助けするのがせいぜいで。」

恋仲だった女中頭も火事で失ったのだという。


「ご主人様ご一家はご親戚を頼って行かれました。

私はなんとか図書館の非常勤の仕事につけまして、糊口をしのいでおりましたが今年は更新が出来なくて。

今回のことがなければ、修道士になって死んだ仲間達や父母の菩提を弔おうとも思っておりました。」


「水くさいのう。ジージーズ。何故この兄を頼らなんだ。」

半泣きで抱きつくヒデージ。


「うん、あのなア。感動のシーンに水を差して悪いケドネ。

そこの屋敷さ。ドラゴン居るんだわ。平気かしら。」

会話に入り込むアンちゃん。


「はい!お話は聞いております!ここの守護神様ですね。

御ドラゴン様は私の命の恩人でありますから、誠心誠意お仕えいたします!」


「そうか?実はここに来てくれています!

さあ!どうぞ!

神龍ことファイアードラゴンの龍太郎君です!」


さあっ!とカーテンを引くアンちゃん。

窓の外に飛んでいるのは我らが龍太郎君だ!


「ア!ドモ。ご紹介に預かりマシテ。」


ガラリ。


器用に窓をあけて入って来る龍太郎君。


「あら、龍太郎ちゃん。来てくれたの。ちゃんと閉めといてね。野良猫入ってきちゃうから。」

「ウン。オッカサン。」


あああ。威厳もなんもありゃしない。


それに何だろ。

「あとぜき」

と言う言葉が頭に浮かぶんだけど。


「おおおっ。御ドラゴン様!お会い出来て光栄でございます。ギガンド戦の時、敵から逃げ惑う私を助けてくださいましたのですよ!覚えてはいらっしゃらないでしょうが。

線状に炎を吐かれて、敵を駆逐されました。

それで私はご主人様のお坊ちゃまをお救いできたのでございますよ。」

涙を流し、ひざまずいて感謝するジージ。


龍太郎君はアンちゃんの肩にのって頭を捻った。


「うーん、そんな事もアッタカモ。ネモサンに頼マレテ、ハゲタカ君達と働イテいた時かな。

あの頃、マダ名乗って無かったカラ、ドラちゃんって呼バレテたんだヨネ。」


なるほど。そうやってグランディの民を救ってきたんだね。

大空を飛ぶ龍太郎君の勇姿は味方には頼もしく、敵には脅威であったろう。


「おおお!その金色に光る目!

裂ける口元からのぞく、鋭い歯!あの日のままでございますな!まさしく荒神!

そしてお美しい御姿、完成された造形でございますね!」


確かに、私も龍太郎君のフォルムは美しいと思う。伝説の竜そのもの。


「ジージとお呼び下さいませ!心からお仕えいたします!」

「アッハイ。俺は龍太郎。ヨロシクナ。」

龍太郎君。私の口癖が映ってるよ。ジージの熱い思いに押されているようだ。

受け止めてあげてくれたまえ。


「トコロデ、オッカサン。」

「なあに龍太郎君。」

「メリイのおめでたのことを聞イタンダロ?」

「そうそう。良かったじゃないの!女の子だって?

きっと可愛いわよ!」

「…ウン。ソウダナ。」

今度は母の肩に乗る龍太郎君だ。


「ねえ。メリイさんの血統は続くのよ。それが決まったの。良かったじゃないの。

愛情を注げる相手が増えるってことは、

自分が好きな人が増えるってことは、しあわせなことなのよ。」


「アア、ソウカ。」 


母は龍太郎君を撫でてやる。

目を細める龍太郎君。


「ソウダネ。」


身体の凝りと一緒に心の凝りも取れているようだ。


「女系に限るわよ。間違いなく血が繋がってるもん。

ねえ、メリイさんの娘の娘の、そのまた娘も守ってあげるんでしょ。」

「ウン。」

ちょっとだけ涙ぐんでる龍太郎君だ。


「少しダケ寂しカッタンダヨ。メリイがドンドン大人にナッチャッテ。俺、取り残されるみたいで。」

「ああ、そうだったの。」


ポンポン。


母は背中を撫でてやる。

「不思議ダナ。オッカサンにポンポンしてもらうと、気分が軽くナルヨ。」

「ヨーシヨシヨシ。」

「ウウウ。オッカサン。」

龍太郎君が背中から母に抱きついた。

はたからみると、ヨウムやオカメインコが背中に下がってるようである。

可愛いだけである。

「あらあら。」

おんぶの格好で母は龍太郎に手をやる。


そうだよね。前世では彼はまだ10代の少年で事故死して母親と別れた。

その次の転生では孤児だったと聞く。死ぬ直前に日本を思い出して、ドラゴンと一体化した。

お母さんに甘えたい年頃なんだろうなあ。


父をチラリとみたが、背中にぶら下がってしゃくり上げている龍太郎君を見てもらい泣きをしている。


「ほら、龍の字。お義母さんの服が伸びるじゃないの。」

事態の収拾をはかるのはいつもアンちゃんだ。




「これで執事は決まったワね。あとはマリーさんとミッドランド氏に話を通すか。」


本当。執事だけでも決まって良かったわ。



くま○ンが音楽に合わせて踊っていたのを以前イベントで見ました。

あとぜき♪という言葉で閉めていた歌詞。ものすごく印象的でした。

ドアを開けたら閉めての熊本弁なんですね。

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