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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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30/306

華麗なるブルーウォーターの一族。

誤字報告ありがとうございます

 サマンサちゃんは夕方、キューちゃんに送られて帰ってきた。

「ただいま。」

「どうだった?心配してたのよ。」

母が駆け寄る。

「キューちゃん、ごめんね。付き添いありがとう。

ほら、このクッキー食べて。」


ざらざらざら。


ラーラさんのジンジャークッキーを全部、皿を傾けて神獣の口に流し込む母。

「ああっ、そんなぞんざいなっ。」

アンちゃんは狼狽えるが、キューちゃんは気にしてないようだ。

目を細めて飲み込む。

満足げに頷いた。


キュー。


淡く光って消えていく。


「気にいったみたい♬」


「……そうですね。すごいなあ。

で、サマンサ。どうだったのよ、デート。」

「うん、アンディ様。楽しかったですよ。

動物いっぱいで。

ダチョウとエミューの牧場にまず連れていって貰いましたよ。ダチョウもエミューも可愛いですね。

普通なつかないらしいんですけど、マーズさんには寄ってきて。私も撫でさせてもらいました。」


いいなあ。


「そしたら、マーズさんにそっくりの人がやって来て。」

「ああ、マーグさんか。双子の弟さんで少し背が低くて髪を反対にわけてるだろ。」 

「ハイ。その方が、こんにちは。弟のマーグです。

サマンサさんだね。ビッグな鳥達は怖くないのかい。流石だね。って。」


ああ、お見合い相手の中には動物が苦手なお嬢様がいた訳ね。


「私が可愛いですよ、鳥さん達。って言ったら、ダチョウの卵のプリンもくれました。

ハイ、コレ。お土産です。

レイカさんにくれぐれも宜しくって言ってましたよ。

マーグさんともお知り合いなんですか。」

「まあね。以前グランディで王妃様の侍女をしていたの。そこにマーズさんとマーグさんはいたのよ。侍従をしていたわ。」


「あー、それで。帰りにマーズさんの方も、レイカさんにくれぐれも宜しくって言ってました。

なんかレイカアネさんってラスボスみたいですね?」


ははは。

「それから、普通の動物園にも連れていってもらいました。

普段入らないところにも入れてくれて。

面白かったです。

それに動物がものすごく懐いていて、凄いですね!

みんなマーズさんに寄っていくんですもの!」


ほう、マーズさん。とことん自分のホームグラウンドに連れていって、勝負をかけてきたな。


「動物園の売店でアイスをご馳走になったんですけど、アイスを手渡してきた女の人が、ニコニコして、

マーズの母アリサです、ふふふ、驚いた?っておっしゃって。」


アリサさんかあ。相変わらずスタッフのふりをして驚かすのが好きだなあ。


「それで、なるほど。手が足りないんですね?

お手伝いします。猫カフェやってたから、アイスの売り子も出来そうです!って言ったら喜ばれて。

お手伝いは固辞されましたけど。

今日は良い服を着てたからですかね?」


「オマエ、それは。

……あーあ、やっちまったなあ。」

アンちゃんが頭を抱えている。



「皆様、雲の上の方達と思っていたけど、庶民的なお仕事もなさるんですね。」


いや、アリサさんのは仕込みだ。普通、国母はアイス売らない。


それに、サマンサちゃんの受け答えは百点満点だ。

アリサさんも嬉しかったろう。

地に足がついた花嫁候補だ。


…うん、もうサマンサちゃん。

あんたの将来は決まった。

ブルーウォーターの一族みんなに気に入られてるじゃないの。


「それでアリサ様もレイカさんにはくれぐれも宜しくと。やはりラスボスなんですか?」


「あっハイ。

ブルーウォーターの人達は私に負い目があるのよ。

もう気にしなくていいのにねえ。」

「 ? 」

「まあなア。そのうち誰かから聞くだろうけど、ネモさんの父親と、長男。そして三男は困ったやつらだったのさ。

次男がネモさんさ。本名はエレンと呼ばれていた。

王妃様に二段階改名された珍しいパターンでね。

アルバートからネモになったんだよ。


妻をないがしろにした父親と長男。

そしてレイカちゃんにストーカーした三男。

どうして同じ兄弟なのにあんなに違うんだろうな。」


「私がその三男セバスに理不尽な兵糧攻めをされてね、食べるのもちょっと困ったときがあったのよ。

だからアリサさんの中では私は永遠の欠食児童みたいでね。」

「ええっ。」


「食べるものがなくて、具なしのお好み焼きを焼いたことあったのよ。

粉だけをといて丸く焼くの。それにソースをつけて食べる。

そのうちアンちゃんが野菜をくれたし、エリーフラワー様も特別手当てをくれたから、何回かで済んだけど。

まあお仕事でご飯作って、お相伴してたし。」


うん?クレープに近い?でもウスターソースつけてたからな。

卵もイースト菌もなかったから、パンケーキやパンも無理だった訳よ。


「粉だけのお好み焼き!お嬢!そんなに苦労してたの?やだア、言ってくれれば良かったのに。

そ、それなのにカレーヌ様にもご馳走して?」


おっ、懐かしのお嬢呼ばわりか。


「まあねえ。そんな事もあったの。

カレーヌ様ねえ、あの時はそこまで困ってなかったよ。

え、なんで抱きついてくるのアンちゃん、涙目で。

こら、人前ですよ。」

サバおりになるからやめて、ぐええ。


「許せませんね!その三男の男!」

怒るサマンサちゃん。


「セバスチャンさんでしょ!会ったときはそんな奴に見えなかったのに!」

「お母さん、奴もそこまでわかってなかったのよ。ただ、お給料が満足に払われないように、手を回されただけ。

それにもうセバスチャンは熊に食われてるから。」

「ええっ!」

驚愕するサマンサちゃん。


「ま、それでブルーウォーターの人はレイカちゃんに頭が上がらないのよ。ローリアさんの看病をしたのもレイカちゃんだからね。

サマンサ、もしマーズさんと結婚することになっても

イジメられることはないと思うワよ。」


アンちゃんの言葉に頷くサマンサちゃん。


「うーん、またデートしてくださいと言われたから、

OKしましたけど。すぐに、結婚するかどうか決めなくちゃいけませんよね。」

「まあなア。見合いなんだから。三回くらい会ったら返事しなきゃなあ。」


「そうですよね。」

「ランクの奴はもう、いいんだろ?もしエドワードを通して一度会いたいと言ってきたらどうする?」

アンちゃんが腕組みをする。


「アハハ。まさか。明後日は観劇に誘われてます。

私、お芝居観るの初めて。凄く楽しみ。」


もちろん、ボックス席だったそうだ。


グイグイ来るな。マーズさん。

これでサマンサちゃんがマーズさんの親しい女性と、全方位に知らせまくりである。

まったくブルーウォーターの一族は仕事が、早い。




……はい、フラグは立ったら回収されるものなんである。




次の日。エドワード様が現れた。

難しい顔をして。

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