心配ないのか。最後に必ず勝つのかしら。
色んな願掛けってあるよね。
例えば受験の時トンカツを食べるとか。
はい、今日はミルドルの受験の日です。
二月五日です。梅もほころび始めているよ。
「え、えーと。エリーフラワー様印のフクロウ鉛筆はどこにいったかな。あと、お守りも。」
大人気の合格祈願グッズである。受験生シェア85%を誇ると言う。
「みんな同じの持ってると思うから、名前書いておきなさい。」
「うん。お祖母ちゃん。」
「ハイ、これ。カツサンド。お弁当ね。」
「ありがとう、レイカ叔母さん。」
カツサンドをミルドルに届けに来た私。
「行ってらっしゃい。」
馬車は走り去っていった。
「ハイ、沢山作ったからお母さんたちも食べてね。」
リビングに入ると、もうアンちゃんがカツサンドを食べてコーヒーを飲んでいた。
「どうも。お義母さん、お義父さん。
お先にいただいてます。」
相変わらずの傍若無人である。
「ま、学校までの護衛にはシンゴを付けときましたから。大丈夫でしょう。」
激甘である。
若手ナンバーワンの忍びをそんなことに使っていいのか。
「馬車の上に潜んでましたよ。アイツにとっても義理の従兄弟ですからね。
校内に入ったのを見届けたら帰ってきますよ。
学校には何人か忍びやクノイチが潜んでいます。
でも、エリーフラワー様が午後面接をなさるから、キューちゃんもどっかにいるでしょ。
安心、安全。迷子になっても大丈夫。」
そう。午前中がペーパーテスト。午後は面接なのだ。
「ホラ、ラーラ。カツサンド、これシンゴの分な。
後で食わせてやれ。
で、ドギマギにヒデージ。
こっちが君らのカツサンドだ。
レイカさんの料理はサイコーだぞ。」
「ほほう。私らのも。フォッフォッ。」
相変わらず気配りの人のアンちゃんである。
五日後。
当たり前だがミルドルは合格した。
本人も父母も狂喜乱舞である。
早速、ミルドルは、里帰りしてサンド兄夫婦に報告しているのだ。
「テストの出来も良かったでごわすしな。
午後の面接の時も私らの顔を見てあがったりせずに、ちゃんと受け答えもできてましたしな!」
エドワード様はウチに来て、ネコとうちの娘達をあやしながらそう言った。
ミネルヴァちゃんとサファイア君も来ていて、
「猫たん。」
とご満悦だ。
「まあなア。エリーフラワー様やエドワードは伝説の人なんだからな。
顔を見たらあがっちゃうさ。12かそこらのガキならな。」
アンちゃんが、娘達の頭を撫でながら、ネコカフェの書類をランド兄とチェックしながら言う。
足元にはタマちゃんが来てくれているぞ。
ありがとう、タマちゃん。
そこへ父が顔を出した。
「何か必要なものを揃えてやらないとね。
制服とか。」
「ええ、今度エリーフラワー研究所の縫製部を通して、作って下され。ご案内はここに。」
「そういえば、縫製部のトップの女の人。
なんて言ったかな。元気?凄くお世話になったの。」
「うむ、ヒルダですな。お針子としてのスピードと腕は超一流でごわすよ。
その下のスタッフたちも凄腕でしてな。
七人おりますが、七人のお針子とか、神セブンと呼ばれており申す。」
な、なるほど。
「あとですな。各部門のトップは六人衆と呼ばれておるでござる。
縫製部門のヒルダ。学校部門のアラエル。
宝飾品部門のフリーゼ。病院部門のビート。食品部門のソルティ。そして、開発部門はメリイさん。この六人ですな!」
まあ。いつのまにか、メリイさんもお偉くなって。
「アラエルさんは学校部門なの?理科の先生をやってるのは聞いたけど。」
「うむ、副学園長でごわすよ。
拙者は騎士コースの指導者ですがな。」
ほほう。
「それをまとめるのが、エリーフラワー様ね。」
アンちゃんも感心している。
「早くわたち達がお手伝いをできるようにならなければ。お母様の。」
立ち上がるミネルヴァちゃん。
「良いですか、サファイア。頑張ってお勉強に励みまちょう。」
「うん、おねたま。」
「おおう、ウチの子達は、偉いでごわす。」
目を潤ませるエドワード様。
「まったくネ。」
アンちゃんも優しい目で見ている。
「アンディさま!」
「え、なあに?ミネルヴァちゃん?」
いきなり声をかけられて驚くアンちゃんである。
「お願いでしゅから、ランちゃんとサファイアを婚約させてくだちゃい!」
口をポカンと開けるアンちゃん。
「ええええええ。」
「あら、そうか。もし、フロル王子様とランちゃんが結婚しても、どっちにしても私の義妹になりまちゅね。
なら、ヨシ!」
「ええええええええええ。」
私の口もポカンだよ。
「こら。何を言うのでござるか。こればっかりはランちゃんの意志でござるよ。
強制してはなりませんぞ!」
「だってえ。」
スカートを摘んでモジモジするミネルヴァちゃん。
「ランちゃんもアスカちゃんも好きなの。妹になってほちい。」
それはとても、有り難いけども。
「うん、ごめんね。まだこの子たちは小さいし。
そう言うお話は学校に入ってからで。ねっ。」
とりあえずこの場をおさめる私。
「わかりまちた。」
うん、わかってくれた?
「つい、サファイアに味方したくって。」
「うん。」
「フロル様と戦うには顔面力が足りないと思いまちて。」
「…いや、あのね。」
「大丈夫です!きっと最後に愛は勝つですわ!
心配ないからね!ですわ。
キューちゃん、カモン!帰りまちゅわ。」
キュー。
神獣を呼びだし、KANの歌みたいな事を言ってミネルヴァちゃんとエドワード様とサファイア君は去っていった。
「何か凄かったな。やはりエリーフラワー様のお子様だよ。」
「ほんとね。」
まったく。うちの娘たちがどうしてそんなにお気に召したのか。
ま、学校に上がれば視野も広がるでしょう。
(だといいな。)
KANさんの「愛は勝つ」ですね。
山田邦子の番組で使われていたような。替え歌も。




