レイカの建物探訪、かな。
脱字報告ありがとうございます。
一度、メリイさんとハイド君の新居も見たいなあと思っていた。
丘の上に立つ白亜の豪邸だ。
とても目立って綺麗だよ。龍太郎君の希望だと聞く。
費用もたっぷりとかけたそうだ。
龍の宝のチカラは偉大だ。
引っ越しのお祝いは送ったけども中にはお邪魔していないのだ。
やはりハイド君も忍びだからな。回転する扉とかあるのだろうか。
(ちなみに自宅にはあった。アンちゃんが教えてくれた。
釣り天井も仕込まれてたよ。こええ。)
こないだハイド君が鯖の味噌煮のレシピを聞きに来たから、ちょっとお宅訪問をおねだりしてみたのだが。
「あ!そっか!姉さん!すみません、気がきかなくって。結構なお祝いもいただきましたのに。」
恐縮するハイド君。
そう。新築と結婚祝いに特製の南部鉄もどきの重量感ある、すき焼き鍋。
そしてたこ焼きの型、しゃぶしゃぶ鍋を送ったのである。どれも特注よ。
「しゃぶしゃぶ鍋もすき焼き鍋も、メリイや龍ちゃんが物凄く喜んでました。」
「良かった。使ってる?」
「はい。すき焼きなんかこないだも食べましたよ。
割り下を作るべきか、炒めてそのまま砂糖をまぶして醤油にするかってこだわりが強くて。
交互にやって見てるンです。
龍ちゃんはすき焼きもしゃぶしゃぶも大好きなんですよ。」
龍太郎君の時代は、牛肉は和牛とか国産牛だよね。
輸入牛肉・オレンジ解禁がされる前に亡くなったんではなかったかな?
さぞかし、更にすき焼きはご馳走であったろう。
「こないだメリイと乗せてもらったんですけど、牧場の上を飛んだとき、
アー美味ソウナ牛だ!って叫んでいて。
いやはや洒落になりませんや。」
それはそうだね。
「そしたらメリイが、龍太郎!あれは乳牛よっ!お肉を食べるほうじゃないのっ!って訂正して。」
えっ。問題はそこ?
「でも、聞こえていたんですよ。牛さんたちに。震え上がっていましてね。
――後日、ネモ様から牛肉が届けられました、
動物達から聞いたけど、お肉が食べたいそうだね?
お供えするから、うちのモーモーちゃん達を脅かさないでね。乳の出が悪くなっちゃったよ。って。」
ああら、まあ。
「ジャア、野良のウシなら攫ってキテモイイかなって言うんですけどね。
メリイがバッファローや水牛はやめて!って止めてました。」
ハイド君は困り顔である。
まず、どうやって捌く気か。そしてそれって美味しいの?固いんじゃなかった?
閑話休題。
次のメリイさんの非番の日にアンちゃんとエリーフラワー様とエドワード様とお邪魔したよ。
呼び鈴を押したら、ハイド君が出迎えてくれた。
おお、今日は麗しのエロ○カ様か。
金髪巻毛がゴージャスである。
「お待ちしてました、どうぞ中へ。
……って龍ちゃん?いきなりなんでデカくなってるの?」
「ヨウコソ♡」
扉を開けたら吹き抜けいっぱいに大きくなった龍太郎君がお迎えだ。
振り向いたハイド君もびっくりだよ。
瞬時に大きくなったんだね。
「あらあ。龍太郎君。ちょっと小さくなってよ。通れないわよ。」
「そうでごわすな。デカい図体だとお土産も一口でペロリですぞ。
小さいほうが味わえますぞ!」
エリーフラワーご夫妻の鋭いツッコミである。
「くくく。龍の字。家いっぱいにデカくなって俺らを驚かしたり、威嚇したかったんだろうなア。」
アンちゃんが笑ってる。
「チェッ。ソウダヨ、アンディサン。もう少し驚いてくれてもナア。」
「確かに家いっぱいに大きいとインパクトあるね。
良かったじゃない。大きなおウチを建ててもらって。」
「姉さん。ソウダロ?室内の方がデカいのがわかるよね。ちょっとビックリデショ。威厳アルデショ。」
「ウン。でもウチらはキューちゃんで慣れてるから。」
「ションボリ。」
「もおお。龍太郎。何ふざけてるのよ。」
二階から大階段をメリイさんが降りてきた。
吹き抜けがあると言うことは、階段も大きいのだ。
宝塚の入り口の階段のようである。
白いフワフワしたワンピースでゆったりと優雅に降りて来る姿はとても絵になる。舞台のワンシーンのようである。
「メリイ!」
龍太郎君は、いきなり鳩くらいの大きさになってメリイさんのところへ飛んでいく。
「メリイさん、ハイド君、龍太郎君、お招きありがとう。
これ、ウチとレイカさんからでごわす。」
エドワード様がダンボールをハイド君に渡す。
「あ、なんかすみません。」
「ナニナニー?見セテ?」
龍太郎君が今度はハイド君の肩にとまる。
忙しい事である。
「ウワオ。カップ焼きそばジャン!嬉シイナア!
流しにお湯を捨テルトキに、ガコン!って音がスルンダヨネ。」
うん。流しに水道の水を流しながらやろうね。
「食品開発課の新作ですね!試作品が出来たのですか。
あらァこちらは、シーフード味。そして味噌味のカップ麺。」
目を輝かせるメリイさん。
「ホラホラ!龍太郎君。ビッグサイズの焼きそばもあるよ。令和でね、売り出されてたのー。
ペヤン○から。メガ盛りでね、4000キロカロリー超え。
今回それを再現してみました。
粉物大好きな龍太郎君ならペロリでしょ。」
「ウワア。素敵ー!!ゴッツァンです!」
大喜びだ。
「喉に詰まるカンジで口の中イッパイに詰め込んで食べチャウゾ!」
やめなさい。
(はい。良い子はマネしないでね。すぐに大きさを変えて喉をデカくできる龍太郎君だからできるワザです。)
「ここさ、プラがないから紙容器でしょ。
一応、耐水性のやつをつかってるけど、容器がフニャフニャになる前に食べるか、別容器に移すかしてね。
大量だから。ま、不具合を教えてね。」
「オーライ。」
尊い神獣をモニターにする私だった。
「さあ、それでは中をご案内しますね。」
うわあ、うわあ、と喜んでいる龍太郎君をほっといて、ハイド君が案内してくれた。
室内は美しいクリーム色の壁紙に彩られ、吹き抜けの上にはステンドガラスがはまっている。
どっかの教会のような。
まあ、龍太郎君という神獣がいる、聖域か。
一階は食堂とキッチンと応接室。そして倉庫。食料品がびっしりだ。
それぞれに色違いの小花柄の可愛い壁紙がはってある。
「こちらに使用人の部屋が二つあるんですが、今のところ誰もいません。こっちが忍びの控え室でクノイチのマリ・ポーリイちゃんがいますよ。
あと空き部屋も。」
「あー、ポーリイ久しぶりだな。」
アンちゃんの声に頭を下げるクノイチ。
あら、なんか大きくなったね。
「オッス。姉さん。ご無沙汰してまッス。」
相変わらずオッス言葉のポーリイちゃんだ。
「あ、そうだよね、久しぶり。元気だった?
今こっちに移ってるのね。」
「ええ。サマンサは元気っすか?」
「うん、たまにこっちも手伝ってもらってる。今度遊びにおいでよ。」
「はい、是非。」
「基本護衛ハ要ラナインダケド。俺とハイドが居ルシ。」
龍太郎君がアンちゃんの肩に乗って来た。
「まあ、連絡用員かな。後は家事もな。
ホラ。龍の字、ナッツいるか?」
「アリガト。アンディさんから貰うナッツは格別ダナ。」
アンちゃんからナッツを貰って喜ぶ龍太郎君。
ハイド君が腕組みをしている。
「これだけ大きな屋敷ですからね。管理する人間は必要です。」
「やはり執事とか?」
「まあそうですね。基本私が家にいますが、留守居や掃除婦も欲しいですよ。」
「求人を出して見るでござるか?龍太郎君に怯えないことが条件でござるな。」
「ほほほ。そうね。それに夫婦で住み込んでもらうとか良いと思うのよ、誰かいないかしら?」
エリーフラワー様は頭をかしげる。
「ネエ。チュパカブラの夫婦は?アイツらなら強いゾ。」
「龍ちゃん、それはちょっと。」
ハイド君が狼狽える。
うん、悪いけど会話が成り立ちにくいからなあ。
人間の方が良いよね。
「まあ、求人を出してみようか。」
アンちゃんが頭をかいている。
「さて、二階もご覧下さい。私たちの部屋、そして巨大バスルーム。
これは龍太郎君も水浴びが出来るようにですよ。
あと客間と二つと図書室。空き部屋、作業部屋。趣味部屋。」
作業部屋には簡単な実験道具も置いてある。
趣味部屋には、岩石標本が沢山だ。
水晶の丸玉もある。
おや、龍の宝がいっぱい。各種剣に宝箱。
金細工。そして龍太郎君のウロコ。
「ねえ、ここも壁抜けの仕掛けや吊るし天井があるの?」
「いいえ、レイカさん。一応侵入者は弾かれますからね。」
「俺も焼クシ。」
エヘン。
背中をそって得意気なポーズをとる龍太郎君。
物騒なセリフだけど可愛いね。
「アトね、ここの暖房は、セントラルヒーティングに
シタンダヨ。」
更に得意ポーズを取る龍太郎君。
「何それ、くわしく!」
食いつく、エリーフラワー様。
こうして楽しくお宅訪問は終了した。
今日からしばらくは毎日更新します。
建物探訪といえば渡辺○史さんですかね。




