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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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187/211

三すくみか、三位一体か。

「ネエネエ!王妃サンは今日泊まって明日カエルノ?」

「ええ、龍太郎君。その予定よ。」

「フウン。アンディサンが護衛?」

「そうだね、もう1人シンゴか、ハンゾーも同行させるか。セピアはもうあっちに行ってるし。」

アンちゃんが腕組みをする。

「ジャアサ、ジャアサ!

オイラも行くヨ。レイカさんも来なよ。そのままシードラゴン野郎の所に行コウゼ。」

「あら、まあ。早速なのね?」

王妃様が食後のデザートの、大学芋を召し上がりながら目を丸くなさる。


ウチの大学芋はサラサラの蜜を上からかけるやつではなく、ガチに飴状に、固くしたものを絡めてます。

300グラムの芋に大さじ四杯60グラムの砂糖を使ってます。

歯にくっつくタイプだね。

黒ゴマ入りだよ。アクセントになってます。


「あー、レイカちゃん。大丈夫?お義母さん、悪いけど子供達を頼みますね?」

アンちゃんがチラリと母を見る。

「わかったわ。アンディさん。」


おや、私を置き去りにして話は進んでいくが、まあ、いいでしょう!

泣く子と王妃様と神獣には勝てないこの世界。


「ねえ、龍太郎ちゃん。」

「ナニ?オッカサン。」

「龍太郎ちゃんが行くならメリイさんも行くの?じゃあ、キューちゃんに頼んだら?その方が楽でしょ。」


「ア、ソウダネ。パイセンも呼ブカ。」

「ホホホ!三大神獣の揃い踏みね!お金取れそうだわ!」

王妃様ったら。何をおっしゃるの。

「怪獣大作戦!ッテ感じダネ。東宝かナンカの映画ミタイ。」

良かった、龍太郎君は怒ってないか。


「ねえ、龍太郎ちゃん。こないだ海竜さまのお話を聞いてたんだけども。」

「ウン?」

「海竜さまは石とかを食べるのよね?」

「ソウダネ、オッカサン。」

「じゃあ、ウチのルビーを差し上げたらどうかしら。」

「エッ。そんな勿体ナイ!アイツにはズリで充分ダヨ。」

「ズリって何?」

「王妃サン、鉱山デ宝石トカ掘った跡の残土とか原石の削りカスとかダヨ。小さなカケラも入ッテタリスルネ。」

「そういえば、水晶を鉱山跡のズリから拾って来た先生がいたわね。生物を教えていた。」

「ソウダネ、一ノ瀬。田村先生カ。原石が好きだったヨネ。」


いきなり思い出の高校生ムーブになる二人だ。

一ノ瀬はメリイさんの前世の名前だよ。

みんな、覚えてるかな?


「フム。じゃあ炭鉱のボタ山のボタのことね。」

流石、九州出身の親をもつ王妃様である。

そっちに発想が行ったか。

「青春の門」を思い出すわー、ボタ山。

山○ハコの歌。


しんしゅけしゃん、オリエも大人になりましたってか!


「ソウソウ。王妃サン。その発想でアッテルヨ。

ダカラサ、パイセンにオッカサンの所のルビー鉱山のズリを運んで貰おうヨ。

きっと喜ぶゼ、アイツ。」


「まあ、そう。じゃあサンドに連絡しておきましょう。ある程度まとめて置いてってね?」



そんなもの喜ぶかなあ。



……喜んでいる。


「美味い!うまい!ウマイ!」

どっかの柱のようである。


「この時々入ってるルビーの小粒が!ジャリジャリとした本物の歯応え!」

グルメレポートはいいが歯が欠けないのだろうか。


「それに白狐殿の加護もあって素敵なスパイス!」


フン!とキューちゃんが横を向く。


つまり。

私達を運んでくれる前にキューちゃんはモルドール領に行き、


スゴゴゴッ!

吸引してズリをお腹に入れたのだそうだ。


「大丈夫?お腹壊さない?」

サンド兄がオロオロしてたとは付き添っていた母の言葉である。


その後、私とアンちゃんを連れてメリイさんと龍太郎君とハイド君と合流。

(母も流れで付いて行く事に。子供達はショコラさんとオー・ギンさんに頼んだよ。

キューちゃんと龍太郎君のおさえになるからね。)


王妃様をリード様の所にお迎えに行った。

「フフ、レイカさん。お久しぶりです。」

うわあっ、ヴィヴィアンナ様がお顔を出してくれたよ!

「ヴィヴィアンナ様っ!お元気でいらっしゃいましたか!お会いできて嬉しいですぅ!」

「相変わらずだね、レイカさん。私もいるんだけどね。

母上を頼みますよ。」

苦笑されるリード様。


美貌のお二人に見送られてグランディに出発だ!


そして、グラッシーを見て、キューちゃんがズリを口から出したのである。

ドドドド!


「わっ、白狐殿、これは?えっ?土産!」

驚くグラッシー。

心なしかキラキラ青く光っているようなズリというか残土。


「あ、なんか美味しそう。今まで海の土ばっかり頂いてましたからね、山の土はお久しぶりですわい。」


そしてジャリジャリと頬張るグラッシー。


「ふうう。結構なお味でした。」

「良カッタな。シードラ野郎。レイカさんの実家のモノナンダヨ。」

「龍太郎さん、私はグラッシーですって。

おお、お久しぶりです。名付け親殿。

お会いしたかったんですよ。」

「アッハイ。こんにちは。元気そうね、グラッシー。」


ずいいっと私に寄ってくる。

碧い目は丸くて可愛いよ。やはりウミガメの目に似てるな。まぶたが少しかかって眠そうな感じ。


ウミガメ。シーパラダイスで良くみたな。ゆっくりと泳いで可愛いかったわ。

「可愛いねえ。グラッシー。」


「エッ。」

目を丸くする龍太郎君。

キュー?

目を大きく見開くキューちゃん。


「いやだよ、この人は。照れるじゃないの。」

ヒレで顔をおおって照れるグラッシー。

あら、赤くなってるわ。やはり神獣も赤面するのね。


そうだ。


足元に落ちてる比較的綺麗な石を拾って、手のひらに乗せる。

「食べる?」

「レイカちゃん!危険よっ!」

アンちゃんが叫ぶ。

「大丈夫よね、ハイ。」


パクリ。


私の手から石を食べるグラッシー。

あら、餌付け体験成功?


グリグリ。

私の手に頭を擦り付けてきたわ。

可愛い。懐いてるじゃないの。

「うっうっ。」

何故泣く?

「わ、私に食べさせてくれる人間なんて……今までいなかったでござんす。

みんな私にお宝をねだるばかり。」


「そうなの?ハイ。」

次から次に食べさせてみる。

「うう。美味しい。」


「レイカ、コレなんかルビーの原石のカケラが混じってない?」

母も良さそうなのを拾ってくれる。

「そうね、ハイ。」


「うっわ、流石にレイカさんと御母堂様だ。」

ハイド君の声が掠れている。

「本当にすごいのう。怖くないのかえ。」

王妃様、冷や汗かいてるんですか?


「龍の字。危険じゃないのかっ!」

「大丈夫ダヨ、アンディサン。アイツ、ナマモノ食わねえカラ。」

十個くらい食べさせた所で終了だ。


「フウ。満足、満足。

コレを原料にして神殿を建てますわい。」

お腹をポンポンと叩くグラッシー。

わあ、膨らんでるう。


「そうなんだ。頑張って!」


「ネエ、名付け親殿。」

「レイカでいいわよ。」

「レイカさん、何の神殿がいいかリクエストありませんかい。

金でも、ルビーでも、サファイアでも。

ご希望にお答えするのは、やぶさかではないでござるよ。」

「えー、特にないなあ。

あ、そうだ。普通に大理石では?盗難の心配もないでしょ。」


「欲がナイネエ。」

龍太郎君が飛んできて私の肩に乗った。


「大理石ならアンモナイトの化石が含まれたりするのかしら。」

メリイさんがつぶやく。

そうか、メリイさんは化石や恐竜好きだったな。


「化石かあ、私も割と好きですよ。」


「なるほど。腹ん中で化石は生成できませんが、エエのが海底にありましたら、嵌め込みましょ。」


「うん、楽しみにしてるね。」


そして私達はグラン湖を後にしたのだった。




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― 新着の感想 ―
いつもは前世の料理でみんなの胃袋を掴んでいるレイカさん。 とうとう料理以外でも神獣の胃袋を掴んじゃいましたね(≧∇≦)アハハ 裏表のない自然体の行動が、癖のある人たちに好かれる要因なのかもね~♪
「生ものはくわねえ」って、ちょっと違う… レイカさん、なんだかんだといって充分ゴッドマザー感出てますね。 ルビーの神殿なんか、まぶしくてまた盗難の心配をしなくちゃいけなくて面倒、大理石が一番ですよね。…
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