彼女達に何が起こったか。
誤字報告ありがとうございます。
うろ覚えでした。思い込みって怖い。
素晴らしい日曜日だった、マーズさんの式。
その五日後、栗ご飯と豚汁と茶碗蒸しを食べに王妃様がいらっしゃった。
「リードはね、来れないみたいなの。業務がたまっていてね。
海竜様騒ぎと、結婚式にも協力したでしょ。」
なるほど。
「母上とゴハン食べたカッタ!ってスネないノ?」
「まあ。龍太郎君。夜泊まりに行くから大丈夫よ。」
「ソッカ。まあ、オッカサンに会いたいのはワカルカラナア。」
そして龍太郎君はメリイさんの肩を飛び立ち、母の肩に乗った。
キミが言うオッカサンは前世の母ではなくて、ウチの母なのかーい!
「あら、龍太郎ちゃん。もうすぐ出来るから待ってて?」
「ウン。」
そして今度はハイド君の上に乗って、
「ハイド、オッカサンやレイカサンを手伝イナヨ。」
「厳しいなあ!龍ちゃんは。」
ハイド君は今日はアム○・レイタイプのカツラである。
もう晩秋だものね。カツラ無しではキツかろう。
龍太郎君は栗ご飯が食べたくて、メリイさんとハイド君を連れて来たのだ。
「一緒にイレバ、ダイジョーブ!」
100人乗っても大丈夫!みたいな言い回しだったよ。
彼らにとっても王妃様は転生仲間。
さっきからその手の話で盛り上がっております。
「大きな栗の木の下で、ってお遊戯やった?幼稚園とかで。」
「やりました!」
フリをしてみせるメリイさん。
「幼稚園と言えば、運動会とかの行進のとき365歩のマーチは流れなかった?」
「ありましたね!懐かしい。」
「一歩進ンデ、二歩戻ルンダロ?いつまでも進まネエ!って突っ込んだヨネ!」
「それは、三歩進んで、ニ歩下がるよ、龍太郎。
うろ覚えだったのね。
確かに牛歩だわね。」
一歩ずつではね。
「チーターかあ。
水前寺清子に石立鉄男。あの頃のドラマ懐かしいわね。おほほほ。」
懐かしい。「薄汚ねえシンデレラ」とかね。
「さあ、出来ましたよ。」
「ま!美味しそう。」
ツワリが終わったメリイさんはまた健啖家に戻ったようだ。
「うん、もしお腹が張ったらゆっくりしてね?」
母も豚汁を出しながら言う。
「龍ちゃん、天ぷらも欲しいだろ?揚げてきたよ。」
ハイド君が天ぷら盛り合わせを持ってくる。
エビ、ナス、カボチャに椎茸。
龍太郎君のだけ大盛りである。
「ウン!秋の懐石って感ジダネ!」
「オホホ。レイカもアンディもハイドも一緒に食べましょう。」
「「「はい、王妃様。」」」
給仕は母とショコラさんに頼もう。
「そうそう、こないだも言ったけどレイカ、グラッシーに会いに行ってあげて。
会いたがってたわよ。」
「アッハイ。本当ですか?」
「モグモグ。ホントだよ、レイカサン。」
龍太郎君がエビ天を頬張りながら言う。
「結局、シードラゴン島の人達はグラッシーにシメられたの?」
「らしいネ。オイラはいなかったケド。白狐のダンナも一緒にシメたって。」
「……ええっと。詳しく聞きたいんですけど。」
「アンディ、説明してあげて。」
「はっ。まずね、ララっていう娘がいたよね。
国境近くのホテルに入院していた。
パティさんのブレスレットを自分のだと間違えてた子。」
「うん。」
「彼女はあの時、記憶はまばらだったけどさ、城の侍女、リラ・メルヴィンの妹ララ・メルヴィンという事がわかった。」
「リラ・メルヴィンはベテランでね、仕事が出来る侍女なのよ。
アランからの信頼も厚くて。」
王妃様が茶碗蒸しの銀杏を嬉しそうにほじくり出しながらおっしゃった。
「そうなんですか。」
「リラ嬢はロージイの指導係で良く面倒を見て、その後も気にかけていたそうなんだよ。
そしてね、ロージイの長兄、ラージイ君は。」
アンちゃんが緑茶を飲んで続ける。
(メリイさんにはお白湯を出しております。)
「アラン様の側近で仕事が出来るヤツだ。
彼はリラ嬢を気に入ってるみたいでね。真面目で仕事が出来る彼女のことをね。」
「オホホ!まあ、そこにも恋バナが?!今度詳しく聞かなくっちゃ。」
「ははは。宜しいのでは。」
アンちゃんがニヤリと笑って、真顔になって続ける。
「だいたい、あちらの兄妹は元々優秀なんだ。頭の回転も早い。
外国語だってすぐ覚えてる。事務仕事は完璧だ。
性格云々は置いといて、だな。」
アンちゃん、ロージイ嫌いだもんな。
「メルヴィン姉妹だけどね、その優秀な姉と比べられて、ララは少しひねくれたんだ。悪い仲間と遊んだり、男にだまされたり、偽物のラピスラズリのブレスレットを売り付けられたりしてたんだが。」
「うん。」
「その頃からシードラゴンの奴らに目をつけられていた。
そしてリラ・ララ姉妹がロージイに面識があるとわかって、彼女に会うために利用されたの。
ララはロージイのクラスメイトだった。」
「ふうん。」
世間は狭いな。
「姉妹が住んでるアパートにシードラゴンの奴らは五人で押しかけて、リラを殴って縛りあげ、ララにロージイとの取りつぎをしろ、と。
リラは人質だと。」
「ひどいわ。」
メリイさんも眉をひそめる。
「なんでロージイに会いたかったの?」
「粗悪品ブレスレットを売り捌きたかったのさ。ロージイを広告塔にしてね。
彼女がブレンドしたお茶なんか、凄い売れ行きだよ。
ロッキー王子はララと2人のお供をつれてロージイ兄妹が経営するホテルに押しかけた。
そして御自慢の美貌で口説こうとしたけど、酸いも甘いも噛み分けてきた彼女には通じ無かったと言うわけなのよ。」
「へええ。」
「で、ロージイの次兄、ケイジの通報でセピア達がロッキー王子を捕縛、オレとラージイ君はリラ嬢を助けだして、ホテルに連れていったの。」
「あら、アンちゃんもセピア君も大活躍?」
「まあなア。」
アンちゃんは満更でもない顔をした。
「それにさ、セピアはロージイの押しかけ婚約者になったと言ったよね。
ロッキー王子はロージイに目をつけてるんじゃないか、と噂だったからさ。
セピアはロージイは俺の婚約者だ!手を出すな!と
跳ね除けた。そのために建前の?婚約者になったんだ。
……アイツはよくわからない。本気かもしれん。」
「ソノあと、シードラゴンの五人をグラッシーにアワセタンダネ。」
龍太郎君はうなずいた。
「オホホ。アランとリードも同席したの。面白そうだから、私も行ったのよ。グラン湖に。」
「ソコニ、パイセンも来タンダネ。エドワード様付きで。」
なるほど。
少女に何が起こったか。
懐かしいドラマのタイトルです。




