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世紀の?結婚式。披露宴編⑤

誤字報告ありがとうございます。

 お色直しかあ。確かサマンサちゃんは水色のドレスだったかな。

「薄荷色のドレスだよ。マーズさんの眼の色だね。」

アンちゃんが口元を上げて笑う。

あら、また口から出てたかしら。


「オホホホ。レイカ。相手の目や髪の色のドレスを纏うというのは、良く『なろう』であるわよね。

または自分の色のドレスを贈るのも。」

「ええ、王妃様。そうですね。」

「でもま、若くて可愛いサマンサならそう言うパステルカラーっぽい色も似合うわよ。」

「ですね。」


「さあ、皆様。ご歓談とお食事をお楽しみくださいませ。」

ネモさんの言葉に食事が進む。

子供達はウチの親やランド兄夫婦、サード兄も見てくれている。

(ごめんね、私は王妃様のお相手をしないといけないのよ。)


「そういえばリード。孫達は元気なの?」

「ええ。母上。エドガーもフロルも。ディアナも元気です。」

「オホホ。この後お邪魔するわね。」

「ええ、ええ!喜んで。」

ぱあっと明るい表情になるリード様。


ディアナ姫様かあ。

とてもお可愛らしいお姫様なので誘拐を恐れてお外になかなか出さないと聞く。

お元気なのね。


「最近ね、ディアナが兄達と同じ格好をしたがるのですよ。男兄弟しかいないと自分も男だと思うのですかね。」


えっ。


「小さな男装の麗人というのですかね。ヴィーそっくりなんです。」


ごほっ。


「レイカちゃん!大丈夫?何かを詰まらせちゃったの?」

アンちゃんが背中を撫でてくれる。

「けほ。ごめんなさい。フォアグラが喉に。」

「はい、お水。」

「ううっ、ありがとう。」

「オホホホ!レイカ。想像したわね?ミニサイズのヴィヴィアンナを!」


はい。王妃様。そしてあまりの可愛さにむせました。


「ハハハ。レイカさん。相変わらずだね。

でも男装?をしていれば姫狙いの誘拐犯の眼を逸らすことができるだろうし、簡単な護身術も習うのに良いだろうからね。それに男の子のカッコの方が動きやすいし、逃げやすいだろ?」

「まったくその通りですね。」


「王妃様、リード様。ご歓談中失礼致します。

ウチのシェフが、ご挨拶したいと。」

ネモさんがシェフを連れて現れた。

「グランディの華の中の華、ブルーウォーターの青き星の御方様。

そしてマナカ国の慈愛の姫様。

尊き御方達にご挨拶申しあげます。」

恰幅のよい料理長が頭を深々と下げる。


「オホホ。美味しくいただいていてよ。」

「うん。絶品の料理だね。目にも舌にも嬉しいよ。」

「ありがたき幸せ。

今回は最高の材料をネモ様が用意してくださいました。」


「ほう。それは素晴らしいの。」


ネモさんが薄荷色の目を煌めかせる。

「いいえ。大したことは。

そうですね、シーフードはイルカのイルちゃんや、シャチのシャッチー君なんかに頼んで追い込み漁をしてもらいました。」


えっ。すごい。凄すぎる。



「ネモ、そなた人間かえ?」

王妃様の目がまんまるになる。


「ははは。王妃様、御冗談を。

それから、ガチョウさんやウシさんの牧場にですね、楽団を招いてここ半年ばかりクラシカルな音楽を奏でてもらったのです。」


……それってさあ。

ウシにモーツァルトを聴かせるとチチの出が良くなる的な?


「その牝牛さんの生クリームや、ガチョウさんのレバー。ウシさんステーキをお楽しみくださいませ。」


「…オホホ。」


なるほどねー。肉質も良くなるのか。

ディックさんとリード様の手がピタリ、と止まった。


あっ、繊細なんだね。


私や王妃様とアキ姫様はフォアグラが乗ってるビフテキをパクパク食べている。

アンちゃんもだ。


「まあねえ。私は『いのしし村』でイノシシのショーを見て、猪鍋を食べた事があるわよ。」


「伊豆のでしょ?王妃様。私もあります。でもあのテーマパークはもう無いんですよね。」


「まあ、残念。ウリ坊かわいかったし、黄金のイノシシ像も良かったわよ。」


確か土肥金山の近くだったかな。


「美味しいわよ、シェフ。ネモありがとう。

マーズの為にそこまでするとは流石じゃ。

楽団も良い稼ぎになったであろうの。」


「ええ、牧場を訪れるお客様にも素晴らしい音楽は好評でしたね。」


美しい音楽が美しい自然に響き渡る。そこには可愛い動物。美味しい料理。

いいじゃないか。


おや。スタッフが花の鉢をひな壇の下に並べ始めたよ。

バラかな?この季節に?


各テーブル場には綺麗な切り花が並んでいるけども。

更に?


「ネモ様。ご準備できました。」

「はい、ありがとう。」

ネモさんはひな壇に近づく。


「見事な冬薔薇ふゆそうびじゃの。」

確かに。綺麗な大輪のピンクのバラだ。

「温室で今日の日に合わせて育てました。」

流石。緑の指を持つネモさんだ。


「皆様。余興をひとつご覧にいれましょう。

またキューちゃんにお願いしたいんですけども。

リード様。お力をお借り出来ますか?」


「うん?私に出来ることならなんでも。」

立ちあがる麗しき王子様。

「私と一緒にキューちゃんに触れて下さいませ。」


キューちゃんはひな壇の前のバラの鉢の前に横たわる。


リード様に向かってお手!をするキューちゃんだ。

「はは。可愛いね。」

反対側でネモさんがキューちゃんの尻尾にくるまれている。モフモフで姿が見えないぞ!

気持ち良さそうだな!


すると。


キューちゃんが緑の光につつまれた!


その光はネモさんとリード様から出ているようだ。


リードさま尻尾ネモさんからそれぞれ緑の光が出て、背中で合体している。

「ああ。土地神の光だ。」

アンちゃんの声は掠れている。


そして緑色に光るキューちゃんは立ち上がった。

ぶるるるっ。と身震いをしている。


「リード様、ありがとうございました。」


ネモさんの言葉でリード様は離れて席に戻って来た。


しゅううう。


キューちゃんがひな壇の前の、鉢植えのバラの花びらを残らず吸い込んでいく。

「えええっ。せっかくのお花が!」

アキ姫さまが悲鳴をあげた。


ぱあっ。


そして吐き出した。緑色の光とともに。


花びらは舞い散る。四方八方に。


ぽんっ。


なんと。音と共に花びらの一枚一枚がまたバラの花になったではないか。

幻想的で夢のような光景である。



「こ、これは。」

「きれえ。」

「まほうなの?」

子供達も大喜び!


ふわふわとバラの花が。

萼から上の花の部分が。

くるくるとまわりながら、空中を漂う。

まるで、生きているかのような。


子供たちも大人たちもキャッチして花を捕まえる。

「取ったー!」

それはまっくろくろすけを捕まえる、メ○のごとし!



しゅうううっ!


キューちゃんが今度は青い光を吐く。

おや。

さっき丸坊主になったバラの花の茎がズンズンと伸びて。

立派な木になり、また大輪の花を咲かせたではないか!

「花さかじいさんなの?

キューちゃんじゃなくて、ポチ?」

王妃様、気持ちは分かります。


バラの木は伸びて形を作っていく。

横でネモさんが手でハートを作っている!


その通りに枝は組み合わさっていき、真ん中にハートの形の空間が出来ていく!


「ええっ。あのサイン?ラブ注入?」

「あっハイ。そうかもしれませんね。」


その後は青い光が満ちる。

木の枠で出来たハートをくぐって新郎新婦が現れた。


「ははーん。あの後ろの壁は回転するワケね。

ウチやシンゴの家のからくりみたいに。

それで光で目眩ししてる間に出てきたのか。」


夢を壊すネタバレをする、黒い悪魔のアンちゃんだよ。


「さあ!お色直しを済ませて新郎新婦が戻って参りました!皆様盛大な拍手を!」


パチパチパチパチ!


ひときわ大きな拍手をしているのはエメリンか。

その顔は上気している。

「ほう。ステキ!ステキ!って喜んでるな。」

アンちゃんが笑う。


……これ、普通じゃ、ないからね?エメリン。



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― 新着の感想 ―
薔薇の花舞う美しい情景に、なぜか餅撒きを思い出してしまった・・・ 至れり尽くせりの披露宴、バブルの頃ならネモさんの演出は引っ張りだこになりそうです。 前からひそかに、ブルーウォーターの食物について、…
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