世紀の?結婚式。披露宴編③
誤字報告ありがとうございます。
さて、ウェディングケーキは入刀の儀式を終えたあと、本体の一部分はカレーヌ様達の手によって生クリームや飾りをつけてデコレーションし直された。
食後のデザートとして、ロイヤルズやエドワード様達、メインの招待客に配られるのだろう。
他の人はショートケーキだよね。
さて、会食の始まりだ。
豪華なホテルのコース料理。
楽しみ♬楽しみ♪
「あら、美味しいわ。このスープ。」
「そうですね。栗?のポタージュですね。」
「ねえ、レイカ。今度久しぶりに豚汁と栗ご飯が食べたいわ。
銀杏入りの茶碗蒸しも。オホホホ。」
「アッハイ。今度ご用意いたしますわ。
ご都合の宜しい日をお知らせ下さい。」
「うーん、そうね。来週あたり早速。ね?
やはり最後は和食だわぁ。
クリームたっぷり、コッテリの料理も良いけどね。」
王妃様。ホテルのシェフがそろそろご挨拶に見えますから。
お口にチャック。
「まあ。栗ご飯。美味しいですわね。私も混ぜて下さいませ。」
「オホホホ、もちろんよ。アキ姫さま。
貴女のお国ではお米を良く食べるのですものね。」
和やかに会話は進む。
和食だから龍太郎くん達も呼ぶかな。
「それでは友人代表のスピーチをお願い致します。
新婦のご友人、ショコラ様。」
ネモさんの司会で式は進んで行く。
そうだよね、多分1番親しかったよね。そして付き合いも長い。
一緒にブルーウォーターに逃げて来たのはポーリイちゃんだが、最近付き合いは無いだろう。
ショコラさんが壇上に立つ。
「サマンサさん、おめでとうございます。
初めて会った時貴女はまだ小さい女の子でした。
ランドさんをお父さん、と言って抱きついてましたね。
モルドール一族特有の、濃い緑の目を持つ貴女。
住んでいた家を戦火で焼かれ、ひとりぼっちになって、頼りになるはずの親戚も居なくて、こちらまで逃れて来られました。
そしてメアリアンさんの尽力もあり、遠縁のランドール家に引き取られた。
本当に良かったです。
いつも明るくてクヨクヨしない、向日葵のような女の子でした。一緒に働くのはとても楽しかった。
本当の妹みたいに思っています。
マーズさんは誠実な御方。きっとしあわせになると信じています。
元気で暮らすのですよ。
たまには顔を見せて下さいね。」
最後は鼻声になるショコラさん。
私の胸も熱くなる。
「やっぱり、ショコラさんはいいっすね。包容力があって優しくて。」
おや。いつのまにか後ろにセピア君が立ってるぞ。
「フン、何言ってんだおまえ。ロージイを選んだんだろうが。」
アンちゃんが冷たい目で見る。
「 ? 」
「この女ったらしはな。ロージイの押しかけ婚約者になったんだとよ。」
「ええっ!」
びっくり。いつのまに?
気に入ってるとは言ってたけどさ。
婚約者?
……と言うか結構本気でショコラさんに粉をかけてたよね?
ロージイはやはり魔性の女?
「まだ仮ですけどね。
……ショコラさん、貴女を選ばなくてごめんなさい。」
軽く頭を下げてつぶやくセピア君。
スピーチが終わったショコラさん。
その言葉が聞こえたようだ。
ズンズンとこっちにきて、
スパンパパン!!
鬼の形相でセピア君を叩いて席に戻っていった。
同じテーブルのラーラさんが目を丸くしている。
シンゴ君は腹を抱えて笑っているようだ。
「まったくセピア。オマエって奴は。
……おめでてえ野郎だぜ。
自分が選ぶ立場だと思ってやがる。」
アンちゃんはため息をついた。
「とにかく、警備を宜しくな。」
「…はい。」
叩かれた頭に手をやってセピア君は壁際に立った。
その顔がニヤけているのは何故か。
ショコラさんに叩かれたのが嬉しかったと言うのでは無いだろうな。
「オホホホ。あちこちに恋バナがありそうね?」
王妃様。楽しそうですね。
「王家の影と、赤い髪の美魔女・占い師の恋!
怖い上役からの妨害にも負けずに燃え上がる!って所かしら。」
「…もおお。おやめ下さい。」
アンちゃんが頭を抱えている。
怖い上役か。
「……さて、次は新郎の友人代表のスピーチなのですが、
諸事情によりスピーチのみの参加です。
その為だけに来ていただきました!
その前に……キューちゃん、頼むよ?」
キュー。
キューちゃんはいきなりエメリンの所に行き、口に咥えた。
「あれえええ?私なんか美味しくありませんよっ?」
そしてひとりと一匹は消えた。
「エメリン先生?!」
少年達が絶叫する。
「大丈夫だよ。今ね、コテージに移動してもらったんだ。
10分くらいしたら戻ってくるよ。」
ネモさんが明るい声で少年達をさとす。
「さ、今のうちに貴方達も特製クッキー、いかが?」
「わあ、ありがとうございます。」
「カレーヌ様!嬉しいです。」
美人にドキドキする少年合唱団とミルドル。
現金なものだ。
ああ、じゃあスピーチするのは。
フフ、とアンちゃんが笑う。
「まあなア。マーズさんもそんなにお友達が多くないからな。友人というより、どうしても仕事仲間になっちゃうんだ。」
「なるほど?」
「最初は筋トレ仲間のワタシのところに話が来たんだよ。
だけどホラ、ワタシは新婦の親族のスピーチをしなくちゃいけないでしょ。」
アンちゃんは苦笑する。
「うん。」
「だからね、彼には気の毒だけど、スピーチだけのご登場さ。」
アンちゃんが言い終わると同時に、
「では、どうぞ!新郎の友人のレプトンさんです!」
ドアが開いてレプトンさんが登場した。
沢山のスネちゃまに守られて。