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世紀の?結婚式。続きます。

 さて、誓いの口づけの後、王妃様の有難いお話も済んで、楽団が演奏を始めた。

音楽と共に退場し、チャペルの入り口で新郎新婦を待つことになる。

この後にフラワーシャワーだか、ライスシャワーだかをするんだろうなあ。


秋の昼間。寒く無くて良かったよ。

その前に親族は中で記念撮影だよ。一同祭壇の前に並ぶ。

ゲストの王族の皆様もだ。

ピーピチチチ。

さっきの歌うトリさん達がやってきた。

肩に乗って華を添えてくれるらしい。

メルヘンの世界だ。

私の肩にはオカメインコだな。ルチノーだ。

可愛い。


「アンディ!アンディ!」


ルリルリちゃんがアンちゃんの肩に乗ってきた。

「やあルリルリちゃん。さっき大活躍だったね。」

「ウン。ナッツ!チョーだい!」

「ええっと、これは晴れ着だからなア。多分…持ってないの。」

アンちゃんが眉尻を下げる。

(袖口にナイフを仕込んでたのは知ってるけどね。)


「ケチ。」


「無い袖は振れない…ああ、あった。ハイ。」

…あるんだ。アンちゃんが一粒、胡桃を出す。


「ねえ、ルリルリちゃん。ナッツは私が沢山あげるから。

マーズに乗ってやってくれないか。写真の時だけでも、ねっ?」


手を合わせてルリルリちゃんに頼むネモさんだ。

1番華があるトリだものね。今日の主役のひとりに乗って欲しいよねえ。


「イヤッ。」


あら。

「ええっ、イヤなのかい。なんで。」

狼狽えるネモさんだ。

「アンディがカワイソウ。ホカノトリ、アンディにノラナイ。」

「……ルリルリちゃあん。そんな忖度いらないヨオ。」

ガックリと項垂れるアンちゃん。


「オホホホ!アンディ好かれているのう!

スズメの恩返しじゃ!」


肩に羽衣セキセイインコをのせた王妃様が扇子で口元を隠してお笑いになる。


うーん。多分少し違う。そしてルリルリちゃんはスズメではありませんよ。


しかしネモさんのお願いを断るとは。ルリルリちゃんの愛のチカラはすごい。


「仕方ないなあ。キューちゃん、頼めるかい?」


キュー。

姿を現すキューちゃん。

そして小さくなる。鳥の代わりに乗せるのかな。

きっとテトみたいで可愛いぞ!


「え?空飛ぶトカゲ野郎のほうが適任だって?

だってね、龍太郎君だと小鳥達が怯えてしまうよ。」


あら?キューちゃんは以前ニワトリを食べたとか、

小鳥さんもいけるかもよ?


そしてネモさんはマーズさんの首にキューちゃんを巻いた?

「ええっ!リアル襟巻き!それはそれですごいわ。」

王妃様が手を叩いて喜んでいる。


「温かいよ、キューちゃん。ありがとう。」

感じいって涙ぐむマーズさん。

そして写真は撮られた。


さて、これから私達もチャペルの外で新郎新婦を出待ちだね。


楽団の音楽は流れ続ける。


「これはこの国の有名な讃美歌ですね?」

「ええ、レイカ。なんかアヴェマリアっぽいわよね?

多分、教会とか讃美歌とか以前の転生者が持ち込んだのかもしれないわね。」


そうか。深く考えなかったけどこの世界の信仰は女神信仰だ。

目鼻立ちクッキリの女神像である。


「もしかしたら土地神様っていうのも女神様かもしれないわねえ。」

「ああ、それはあるかも知れませんね。リード様やネモさんをお気に入りですからね。」

「オホホホ。神も魅了するリードの美貌ね。」

「アッハイ、その通りだと思います。」

相変わらず親バカであらせられる。



「アヴェマリアねえ。私の前世のペンネームは阿部マルガリータだったでしょ。」

ポツンとつぶやく王妃様。

「ええ、そうでしたね。」

「ホホ。私の本名もそこからきてるのよ。」

そういえば旧姓阿部さんだとおっしゃってたな。


「えっ、では阿部 まりあさんとかですか?」

「いえ、阿部 丸美まるみというのよ。」

あっ、そっち。

アヴェマリア由来ではなく、ペンネームがわりとそのままだったと言うことね。



※この作品はフィクションです。

もし、同名の方がいたとしても関係ございません。




「まるちゃんと呼ばれていたわよ。あたしゃ情けないよ。とほほ。なーんてね。」


わあ。声真似お上手です。

王妃様とお話しをしながら外に出た。


スタッフがみんなに花びらを配っている。

これをまくのだな。

キレイなバラの花びらだ。


「さあ!皆さん。新郎新婦にお花をかけてあげて下さいね!」


そこへ、


バサバサバサ!


「モウウ。待ちくたびれタヨ。」

龍太郎君が飛んで来た。


「まあ、龍太郎ちゃん。」

「コンニチハ!オッカサン!」

母の肩に乗る。

「フラワーシャワーの後、オイラも金粉を巻くカラね!といっても鱗の粉サ!

この粉を浴びたら一年間病気シナイヨ!

浅草寺の煙ミタイニみんなツケテネ。

そのアト、新郎新婦を乗せて会場に運ぶンダ。

ソレダケのタメにオイラは来タンダヨ。」


「まあ、そうなの。」

「ウン。ネモサンに頼マレタノ。まったく神獣使いが荒いヨナア。」

「えっ、すぐに帰っちゃうの?寂しいわね。」

「オイラもダヨ。オッカサン。

デモサ、メリイを置いてキタカラネ。」

そこにネモさんが小走りでやってきた。


「ありがとう、龍太郎君。来てくれたんだね。

お礼のお菓子はあちらに用意してるからね。」

「ウン。デカいケーキと飴細工ダネ。ヤッター」


揃いも揃って神獣様がお菓子で釣られている。

良いのか。良いんだろうな。


そして新郎新婦が出てきた。


「おめでとう!」

の声と共に花びらがまかれ、龍太郎君が煌めく鱗パウダーを撒いた。


「ジャア、乗って。」

ネモさんが龍太郎君に鞍をつける。

「スネちゃま達、落ちないように巻きついてあげてね。」

おお、白蛇が命綱のように。



「チャントツカマッテネ?ハイ!出発!」

そして空高く飛んでいった。


チャペルの隣がホテルだけどね。

その辺を飛んで空の遊覧を楽しませるのだろう。

贅沢な演出である。


「ブルーウォーター上をひと回りするのですね。」

上空を仰いでリード様が頷き、

「パレードの代わりなんでしょうね?」

王妃様も空を見上げる。


「さあ、若い二人の門出を祝って!」

そして白い鳩が飛びたった。その後、ワシや鷹も飛んでついていく。


「万が一、龍太郎君が落としても鳥達が助けてくれます。」

ネモさんがニコニコして言う。


おお、龍太郎君を先頭にして、他の鳥達もどんどん合流して行く。鳥の集団だ。


渡り鳥の群れのように、またはムクドリの群れのように密である。



鳥達は飛んで行く。色々と形を変えて。

つむじ風のように。または長い龍のように。

おやおや?

巨大なハート形を作ったぞ。


「ヨシ。愛がいっぱいだね。」

下で手を振って合図をしているネモさん。

貴方の仕業か。流石です。


そして私たちはホテル内の会場に入るのだった。




ウチのオカメインコも掻いて?って頭を下げてくるくせに、満足したら、

「イヤッ。」

と言って飛び立ちます。

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