世紀の?結婚式の始まり。新郎入場。
誤字報告ありがとうございます。
そして父も到着した。
「置いて行くなんて〜ひどいよ〜キューちゃん。」
キュー。
キューちゃんが耳をぺたんこにして、目を伏せている。謝っているらしい。
「だからね?抱きしめさせて?ネッ?
おじちゃんさあ、これから偉い人達の前を花嫁の父として歩くと思うと、胸がバクバクなんだよー。」
キ、キュー。
キューちゃんは困り顔だが大人しく抱かれている。
ああ、このヘタレ具合。
やはり兄と血が繋がっているな。
それにUMAに好かれるのは血筋か。
「ああ、落ちつく。このフカフカ具合。んー、最高。」
みんなの目が釘付けだよ、父よ。
その目は恐れに慄いている。
父にとっては可愛いキューちゃんなのだ。
怒った所はあまり見てないからね。
「わあい。」「フカフカ。」「可愛い」「私も抱っこ!」「ちゅきい!」
おお、幼子たち総勢五名がキューちゃんに群がっている。
これでキューちゃんもご機嫌である。
なすがままに、
(ここでキューリがパパに、と付け加えたいのが昭和のセンスである。)
撫でられていますよ。
あれだね、神獣様の毛ってつかないのね。
晴れ着でも安心である。
「ああ、キューちゃん。来てくれたんだね。会場の守護を頼むよ。
……ん?自分は子供たちと妊婦が専門だって?
ははは!それでも充分だよ。」
ネモさんは上機嫌でキューちゃんに挨拶だ。
「子供達はベールガールにベールボーイ。そしてリングガールやリングボーイのお仕事あるよ、準備してね。」
ネモさんの誘導に
「はあい。」
良いお返事をする子供達。実際ガルドル君以外は慣れているのだ。
「レイカさんのお父様もこちらに。サマンサさんのお父上がわりを宜しくお願い致します。」
「アッハイ。」
私のような返事をして身体を強張らせる父。
ドンマイ。
みんな控え室に行くようだ。
じゃ、ちょっと私も花嫁さんの様子を見に行こうと思ったら、
いつのまにか隣にいたアンちゃんが私の手を握って引き止める。
「 ? 」
「レイカ!来たわよ!」
満面の笑みをたたえての王妃様、ご登場である。
なるほどね。
「やあ、みんな。待たせたね?」
その後ろから輝く美貌の王子様が現れた。
ロイヤルパワーにどよめく出席者達。
別に貴方が主役ではありませんよ、リード様。
待ってない、待ってない。
心の中で突っ込む。
だがみんなの視線を釘付けだ。まったく美しさは罪である。
(by パタリ○のエンディング)
「さあ!レイカは私の隣よ!」
「アッハイ。」
ええー、そんな特等席に?
お断りもできずに王妃様の右隣に座る私だよ。
王妃様を挟んで反対の通路側はリード様である。
まったく居心地が悪いなあ。
「レイカさん!先日ぶりだね。今度グラッシーに会いに行ってあげてくれたまえ。
名付け親に会いたがっているよ!」
「え、そうなんですか?」
あのグラン湖の神獣様が?
「おほほ。アランがロクデナシ王子をグラン湖に連れて行ったの。
そこでね、ぎっちょんぎっちょんに神獣達に責められて。」
ええっ!何ソレ!詳しく!
「ふふ、私と母上も同席したのさ。面白そうだったから。それに美貌自慢の王子様がどれほどか、見たかったんだよ。」
歯を光らせて不敵に笑うリード様。
「ま、私の敵では無かったけどねえ。」
そして髪をかき揚げられてのドヤ顔だ。
そうでしょう、そうでしょう!
その話も詳しく!
「こほん。本日はありがとうございます。
まもなく新郎新婦のご入場でございます。
皆様、席におつき下さいませ。」
ネモさんの声が響く。
おや、合唱隊の少年達が奥から出てきて整列している。アキ姫さまもいらっしゃる。
音楽が流れ始めた。
これはブルーウォーター国歌じゃないの。
「ブルーウォーター、この美しい国……」
アキ姫さまの指揮で少年達が歌いだす。
そして扉が開いてマーズさんが現れた。
国歌の中をゆっくりと入場してくる。
ああ、そうか。この国の支配者一族だものね。
ひときわ大きな拍手をしているのは双子の弟のマーグさんだ。隣に奥さんとお子さんもいる。
まあ、感極まって泣いてるわよ、マーグさん。
「ううっ、三国一の花婿。」
ネモさんも泣いている。父親代わりだものね。
本当に仲が良い兄弟である。
おお、アリサさんとローリアさん、リナちゃんもいるぞ。
みんな満面の笑みで拍手だ。
「良かったなあ、ネモさん。マーズさん。」
いつの間にかアンちゃんが私の右隣に座っていた。
そして鼻を啜っているではないか。
黒魔の目にも涙である。
そうだよね、アンちゃんはネモさんとの付き合いは長いのだ。
マーズさんとは筋トレ仲間だし。
アンちゃんを恐れない、数少ない人たちである。
ま、動物を操れるブルーウォーター一族に怖いものはあまりないか。
マーズさんが定位置についた。
次は花嫁の登場だな。
合唱団がウキウキして扉の辺りを見ている。
みんな早く花嫁さんが見たいのね。
ん?
違う。後部座席を見てるんだ。
1番後ろの席で彼らに手を振っているのは、
エメリン先生ことフィフィ・ヤーン先生ではないか!
…来たのね。
脱色してピンクっぽくなっていた髪は、濃い金褐色に染めなおされている。
今日も濃いメイクでキメている。口紅の色は真っ赤だし、アイシャドウはくっきり青い。
メガネはしてないのか。元々伊達メガネだもんね。
ドレスは紺色だ。ラメでキラキラと光っている。
胸には赤い薔薇。耳には涙形のパールのイヤリング。
いや、よく見るとドレスではないぞ。
騎士服だ。隣には護衛のシンシンが苦笑して立ってるが、その服をデーハーにしてラメを入れた感じではないか。
「まっ!二人そろってヅカっぽいわ。メイクも派手よね。
アイシャドウもノーズシャドウもクッキリ!つけまつげもバサバサと!」
「ええ、王妃様。エメリンは路線スターっぽいですね。シンシンは群舞の人のようです。多分お付き合いでメイクを濃くしてますね。」
それほどそんなにキテレツな服ではないな。
それにちょっと素敵かも。
――ざわり。
私の中の宝塚ファンの血がさわぐ。いかんいかん、相手はあのエメリンだぞ。
「ま、貴族令嬢が、しかも女教師が騎士のコスプレをしてることが奇抜といえばそうなんだけど、まあ似合ってはいるし、これくらいの仮装?で済んで良かったわ。」
王妃様が軽くため息をつかれる。
さあ、花嫁の入場だ。
書きかけを書き上げたので投稿します。
しばらくは二、三日に一回くらいの更新です。
皆様も体調には、気をつけて下さいね。
※「ロージイの話」も本日更新しました。
2025.09.19