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世紀の?結婚式の始まり。準備編。

 はい、今日はマーズさんとサマンサちゃんの式である。

良い天気で良かったわ。

天高く、そして私は朝から大忙し。


サマンサちゃんはマーズさんが満面の笑みで迎えに来た。

ホテルでプロのメイクさんや、美容師さん達が待っていて、モスマンシルクのウェディングドレスを着付けるらしい。

もちろん、王家の秘宝・ブルーウォーターを持たせた。

「ありがとう、レイカさん。」

「いえいえ。使ってね。」

感涙にむせぶ二人を送りだす。


 シンゴくんは見事な氷細工の熊を作り上げた。

ちゃんと口に鮭を咥えているよ。

「うん、エリーフラワー研究所の入り口の鮭を何度も見に行きましたよ。会心の出来です。」


早速、ミノちゃんを呼んだ。


「あねだん、お呼びでっか。」

「これをね、披露宴会場に運んで欲しいの。お友達のスノーマンにも協力たのめる?」

「ハイ、ダス。溶げねえように加護をつげざぜまず。」

お礼に新しい腰蓑を二人に差し入れした。

「オウウ、ズデギ!」

コールテンの生地である。今はコーデュロイと呼ぶのかな。

私にはコールテンの方が馴染みが良い。

(ロールネックよりとっくりだぜ。)


11月だからね。冬バージョンの厚手の生地でご用意いたしました。


とても喜んでもらえて、ネモさんのホテルの会場まで風の様な早さで運ばれていく。

落とさないでね。


「ねええ。レイカあ。アンディさんまだ帰って来ないのおおお?」

半泣きのランド兄さんだ。


「そうねえ。」

ランやアスカの準備をショコラさんとしながら生返事をする。


「ちょっと色々ややこしかったみたいですよ。」

シンゴくんがこちらをチラリと見る。

あら、ちゃんとおめかししてるわ。

ラーラさんも隣にいる。ゆったりとしたドレスを着ている。

「ねえ、体調は大丈夫?ツワリとか。」

「ええ、大丈夫です。レイカ義母さん。」


「大丈夫、私が付いてるわ。」

母が来た。

「キューちゃんにも子供達や妊婦さん達の近くにいてね、と、頼んでるの。具合悪そうだったら、キューちゃんに運んでもらうわ。」

「うん、わかった。」


ミルドルも制服をきちんと着ている。

学生は制服だよね。

そしてガルドル君の世話をしていて、メアリアンさんが微笑ましい目で見ている。


「ホホホ。ランドさんよりずっと頼りになりますわね。」

「メアリアン叔母様。ランド叔父さんのプレッシャーは半端ないですから。」


ミルドルが眉尻を下げてランド兄を見た。

その手は震えて、スピーチの原稿を握り締めている。


「アメンボあかいなあいうえお!」

わあ。発声練習を始めた。


 

「ねえ、ミルドル。今日はお友達もアチラに来るのよね?」

「ええ、ドンやリッキーが来ます。他のクラスメイトで合唱団の子も。

ふふ、エメリン先生も来るんですよ、楽しみ。」


学校で毎日の様に会っていてもそんなに会いたいのか。

「どんな素敵な衣装かな。ワクワク♫」


ああ……そういう。


いつもけったいなファッションだからなあ。


「シンゴ君。アンちゃんは忙しいの?」

「ええ、そうですね。ロッキー・ロック王子のせいでね。

それにセピアのやつが色々やらかすし。」

「セピア君が?」

「アイツね、ロージイにまで手を出そうとしてるンですよ。

女好きもいい加減にしろって!」

「ええっ。でもまあ予想はついたかも。綺麗なトパーズの瞳ですものね、あの子。

セピア君ってトパーズの瞳に弱いでしょ。

それにロージイさんは私みたいなおばさんから見てもものすごいオーラというか、フェロモンがあるわよね。

普通の男の子ならぞっこんラブだわよ。」


ギリギリの恋でぞっこん♫って感じでね。

逃しはしないよ、オットットみたいな。


「あれは天性のものだわ。」

「俺には魔性のヘビの目に見えますけどね。獲物を見つけて舌舐めずりするような。」

フン、といって横を向く。

シンゴ君はとことんロージイが嫌いなんだな。


「それでアンディ様は多分、王妃様の護衛としてグランディからこちらまで付き添われると思います。

そのあと合流ですね。」

「なるほど。」


パタパタパタ!


パタ○ロみたいな足音でこちらにやってきたのは。


「レイカ〜アンディさんのモーニングはどこー!」

「ランド兄さん!」

「今ね、連絡が来て、モーニングをホテルに届けてくれって!王妃様と一緒にブルーウォーターに到着したんだって!うううっ!良かったああ!」


嬉し泣きをするランド兄だ。


「良かったわねえ。」

「うん!レイカ。衣装は私が届けるよ!

進行の確認もしたいって!」


「アッハイ。宜しくね。言ってらっしゃい。」

ランド兄は軽やかにスキップをしながら出て行った。

「ふふふ。可愛いらしいです。」

ありがとう、メアリアンさん。あんな子供みたいな兄だけど見捨てないでね。


 さて、私たちも出発するか。

まずホテルに隣接されたチャペルに行かないと。


ざりざり。

母が指輪を擦り合わせてキューちゃんを呼び出した。


キュー。


「はい、キューちゃん。宜しくね。

子供達と妊婦さんを中心に運んでちょうだい。

さ、アメちゃんどうぞ。」


うん、相変わらずお菓子で尊い神獣様をこき使う母だ。


次の瞬間、青い光に包まれて、私と母とラン、アスカ、ガルドル、ラーラさんにメアリアンさんとミルドルは教会の中にいた。


「おお、キューちゃん。ご苦労様でごわすな。」

先に運んでもらっていたのだろう、エリーフラワー様ご一家がいた。


「ランちゃん!」サファイア君が笑顔で駆け寄ってくる。

「あい、ここわ。(こんにちわ)」

「アスカちゃんは、こっち。」

ガルドルが自分の隣を指差す。


「へええ。ちびっ子達がカップルになってるの?」

ミルドルが複雑な顔をする。

「んー、俺も頑張ってエメリン先生にアタックしなきゃ。」


……やめんしゃい。



「レイカちゃん!留守にして悪かったワ!ごめんなさいねえ。」

後ろから声をかけられた。

おお、久しぶりのアンちゃんだ。

ちゃあんと髪もオールバックにまとめて、きちんとモーニングを着ている。


……やっぱり、クロヒョウっぽいなあ。



「お疲れ様。なんとか間に合って良かったね。」


「まあなア、ものすごく面倒なことがあったけどネ。とりあえずは大丈夫か、な。」


そしてどんどんチャペルに入場者が入って来た。


「あ、いけない。お父さんを置いてきちゃった。花嫁の父の役割があるのに。キューちゃんに一緒に連れてきてもらうんだったわ。」


……気がつくの遅いよ、母よ。



「ま、シンゴやショコラと一緒に馬車で来るでしょう、大丈夫ですよ。」

アンちゃんが母を慰める。


他にも招待客が入ってくる。

楽団もチューニングを始めている。


「やあ、皆さん、本日はご出席いただきありがとうございます。

アンディさん、少し打ち合わせを。」


そこにネモさんが入ってきた。







脱字報告ありがとうございます。


※活動報告にも書きましたが、しばらく更新をお休みします。

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― 新着の感想 ―
きっぱりと冷たいシンゴの言葉。 ちょっとだけロージィがかわいそう…ちょっとだけ。 ミルドルの浮かれ方とエメリンの登場に不安を感じてます。
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