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コンサートが始まるよ。

 さて、幕があがり、ネモさんが壇上に出てきた。

「皆様。ようこそおいで下さいました。年末特別コンサートの始まりです。

まず最初に国歌斉唱です。

さあ!今回の主役!リード様!どうぞ!」

パチパチパチ。

拍手と歓声に包まれてリード様が現れた。

相変わらずお美しい。

騎士の格好をされている。青い上着に白のズボン。金の縫い取り。そして皮のブーツ。

なんと豪奢な金髪に映えることか。

「やはり王子様なのねえ。」

母がため息をつく。

「皆様、こんばんは。ここの宰相のリード・ガーディアでございます。」

ロイヤルボックスに一礼をされる。

湧き上がる歓声。みんなこの人を観に来たのだ。

華があるということは凄いなあ。


そして朗々とこの国、ブルーウォーターの国歌を歌い上げられた。

しんと静まりかえり、そのあと割れんばかりの拍手である。


「次は我が祖国、グランディの国歌を。歌うのは我が妃、ヴィヴィアンナです。」


きゃああああ!

という悲鳴がロイヤルボックスのほうから上がった。

大国マナカ国のアアシュラ王妃様だ。

彼女の大ファンなのである。

そっと滑るように現れる麗人。

おお!おお!ヴィヴィアンナ様!

白い騎士の格好じゃないですか!

リード様と色違いになってるデザイン!

ああっ素敵!

「聖騎士って感じよね!」 

母の声が届いたのか、こちらに目線が来た。

そして、おや?と言う顔をされてバラのように微笑まれた!

私に気がついて微笑んで下さったのねっ!


何というファンサでしょ!


「きあーーーー!」

喉からほとばしる悲鳴。


「はい、レイカちゃん落ち着いて。ヴィヴィアンナ様のお歌が聞こえなくなるわよ。」

私の口を押さえたのはアンちゃんだ。

いつのまにか横に座り込んでいる。

「ヴィヴィアンナ様の出番の時、舞台に上がる輩が出ないように押さえに来たのヨ。

ま、我が妻の悲鳴を押さえることになるとはねえ。」

そこで鼻でフフンと笑った。

ううっ、すげえ皮肉を感じる。


そしてヴィヴィアンナ様はグランディの国歌を歌い上げられて、アラン様と王妃様に深々と礼をされた。

――お歌はお上手だったと思うけど夢中で覚えていません。


「では次に友好国マナカからお客様が来てくださっています。」

割れんばかりの拍手の中、小柄な女性が出てきた。

淡いピンクのドレス。艶やかな栗色巻き毛のお嬢様は

マナカ国の歌ウマの姫、アキ様。

アアシュラ様の次女である。


アアシュラ様は立ち上がり最大な拍手を送られている。

王妃様とアラン様もだ。

マナカ国の国歌をお歌いになる。

楽団の音楽に合わせて始まった。

ほほう。去年よりずっと上手だな。


「ねえ、見事でしょう。エリーフラワー様がこちらで、音楽の教師をしないかと打診されているそうですよ。」

あら、シンゴ君。いつのまに。さっきまでアンちゃんがいたところに座っている。

「アンディ義父さんは準備がありますから。」

なるほど。


ロイヤルな三人は退出された。

そしてヴィヴィアンナ様は途中で立ち止まってロイヤルボックスに手を振り、会場のみんなに投げキッスをされた。


わああああ!

手を振りかえすアアシュラ様。他の国の貴人たち。

特にご婦人方の頬は真っ赤である。

そして会場内は黄色い悲鳴に包まれている!

流石である。自分の強みをわかってらっしゃる。


「お、落ち着いて?レイカ義母さん!お婆さん!そして、ラーラ!

もうヴィヴィアンナ様は退出されたよっ、悲鳴やめて?」

狼狽えるシンゴ君。

あら、ごめんあそばせ。自覚なかったわ。

「これが傾国の美貌。し、しかも。な、投げキッスとは!本気を出されたんだね。

お父さん腰が抜けちゃったよ。」

ダラリとなる父。


いや、ヴィヴィアンナ様の本気はあんなもんじゃない。マンツーマンでどれだけの国の王妃様、姫様たちを腰砕けにしてきたか。


「綺麗だなあ、凄かったなぁ。」

ミルドルも釘つけだ。

「やはり女神様というか、美貌の騎士様だったね。」

うん、その通り。

ああベルサイ○のバラよ。

美しき男装の騎士よ。

文句があるなら、ベル○イユにいらっしゃーい。の世界である。

(ちょっとニュアンスが違うかもだが、混乱している証拠だ。)


リード様が退出されたあと、ネモさんが司会を続ける。

「次は天使の歌声です。ブルーウォーター合唱団です。どうぞ。」


「なるほど。リード様がお着替えをする時間が必要なのね。」

母が頷いている。


可愛らしい子供達が舞台に現れた。

10代前半と思われる男の子達だ。


まさかまた、「魔王」を歌うんじゃなかろうな。


「皆様。彼らは戦で孤児になった子供達です。あちこちの国から引き取って来ました。

弟、マーズとマーグが歌のうまい子供たちを連れてきたのです。」

すっと、舞台袖からマーズさんとマーグさんが出てきた。

あんまり二人を、見かけないなとは思っていたのだ。

マーズさんはそれでも筋トレとか動物園でたまに見かけたけど。


(ラーラさんにアタックしてた頃は良く会ったのに。)



「…最近、交代で国外に出てらしたみたいです。

特に…あの後、マーズさんの方が熱心で。」

シンゴ君が奥歯にものが挟まったような言い方をする。


なるほどね。ラーラさんへの失恋の痛手を癒そうと。


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― 新着の感想 ―
いやー、私も見たいものです、麗しのヴィヴィアンナ様。 アンディはそんな皮肉を言ってはいけません。アラン様との場をいつもそっと見守る素晴らしい妻なのに。歓声を上げずにはいられないだけなんだから。 って私…
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