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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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133/212

猫に懐かれるんだよね、キミは。いつもフラリと現れて。

誤字報告ありがとうございます

 その時。表が騒がしくなった。

ラーラさんが自宅部分に入ってきて、

「アンディ義父さん。ネモ様がいらっしゃいました。」

「ああ、はい。」

「猫カフェ部分でお猫様たちと戯れてらっしゃいます。」

「えっ、なんて事。羨ましいわ!きいいっ。」


ハンカチを噛む様なジェスチャーをしてアンちゃんは出ていく。

軽く茶化してるけど、ネモさんの所にもモスマンから情報が行ってる筈だ。

その件だな。


アンちゃんに続いて猫カフェに行く。


ニャーニャー。ゴロロロン。うにゃおおおん。


すべての猫がネモさんから離れない。

身体を擦り寄せ甘えまくっている。その表情は恍惚としている。しっぽをピンと立てて。足元に転がって、お腹をみせて身をくねらせている猫もいる。


やはりまたたびで出来ているのだろうか。

この人は。


あっ。アンちゃんの目が血走ってる。


「やあ。ねこにゃんちゃん達。元気かい?うん、ランドさん。ここの棚にある猫缶詰をここからここまでくれたまえ。みんなに振る舞ってあげてね。」


「はいっ!かしこまりました。」

ランド兄さんがホクホクとした顔で頭を下げる。

みゃあああおん!

猫達もまっしぐらで大喜びだ!


「お買い上げありがとうございます、ネモさん。

……じゃなくて。お話があるんでしょ、奥で伺いましょう。」

「ああ、アンディさん。さっきモスマンを見て猫にゃんちゃん達が怯えてしまったから。お詫びなんですよ。」


モスマンに連れて来てもらったのか。


レストラン部分に誘導する。

「サーカスは良いんですか?」

アンちゃんが眉を顰めている。とりあえずアイスコーヒーで良いかな。

二人に出して私は離れた所に立つ。


「ええ。私がサプライズで現れてホワイトタイガーと戯れていたら、モスマンが来ましたね。

ああ、これは報告だな、と。思ったより早かったなあと。

取りあえず、糸を吐いてもらってぐるぐる巻きにしてもらって隠してもらってね?後ろからタイガー君の爪でサッ!と切り裂いてもらいましたよ。

そこから脱出してサーカスの裏口に周りましたが、観客には消失マジックに見えたでしょうね。」


すげえ。

「繭はそのうちマーズが回収するでしょうね。なんか以前欲しがってたし。」


……あのさあ。モスマンの糸を手に入れるのにとっても苦労していたよね?


「ああ、そうですか、マーズさんにも意地があって自力で集めようとしてたんだな。」

アンちゃんがポツリと言う。


もうドレスも出来上がったけどね。式は来月挙げると聞いている。


「それでモスマンにここまで運んでもらって、今回の経緯を途中で聞いたんです。なかなか大変ですね。」

ネモさんの顔も真剣だ。

「ええ。」


「元王太子と毒姫の葬儀が行われるかどうかですが。」

「多分、それは無いんじゃないかな。」

ネモさんの薄荷色の目が煌めく。


「私が思うに2人は心中扱いにするか、または何処かで人目を忍んで暮らしている、だけど病を得て亡くなったとそのうち発表するのでは。」

ネモさんが考えながらゆっくりと話す。

「なるほど。」

「とにかくディックさんが心配だ。戻り次第、メアリアンさんに会ってもらいましょう。」


「はい、わかりました。」


うわ。振り向いたらメアリアンさんがいた。


「先程から、ルーデンベルク氏が来てますの。毒姫に弾き飛ばされてしまったと。息子を守りたいのに。心配だと。」

「ああー、毒姫はパワフルな悪霊になりそうですよね。」


ネモさんも腕を組んで考えこむ。

「あちらでの処理はどれくらいかかりますかね。なるべく早く彼をこちらに呼びもどさないと。」


テーブルのアイスコーヒーを飲み干して、アンちゃんが立ち上がる。

「それでは私はアラン様にご報告を。悪いワね、レイカちゃん。また少し留守にするわ。」

「うん、行ってらっしゃい。」


すっと掻き消える様にいなくなった。


「私はリード様を呼び出してご報告します。

んー、そうだな。キューちゃんにお願いするか。

キューちゃあん、いるかい?」


キュー。


いきなり現れたキューちゃん。

いたんだ?それとも遠くからマッハの速度でやって来たのか。


「ねえ、サーカス会場に運んでくれるかい?頼むよ。あ、猫缶に興味が?食べるかい?」


えっ。


キューコーン。


……うわお。食べちゃった。そりゃ悪いモノ入って無いけどさあ。


そしてネモさんを乗せて消えた。



後から会場にいたサマンサさんに聞いたら、ネモさんがモスマンの繭から消えたことで会場は盛り上がったと言う。

しかしマーズさんが顔を強張らせて客席のサマンサさんの所に寄ってきて、

「何か起こったのかも知れません。」

と呟いたとか。


そのあと、またネモさんがキューちゃんに乗って現れ、

「麗しきリード様!サア神獣にお乗り下さいませ!」

「……おお、そうか。ここで退場するんだね?

みんなに幸在らん事を!」

眉を顰めたリード様だったが、次の瞬間満面の笑みで手を振って挨拶をされたとか。

そのままキューちゃんに乗って拍手の中退場。

演出にしか見えないやり方である。


大きな拍手の中、マーズさんや、何かを察した王妃様やアアシュラ様の顔は強張っていたらしい。



サーカスがはけたあと、マーズさんはサマンサちゃんを送ってきた。


「リード様の使いが来て、王妃様、アアシュラ様、アキ姫さまはホテルにいます。ネモ兄と一緒に。色んな報告がある様です。

私も呼ばれています。サマンサさん、ではまた。」


「…ええ。」


顔が強張るサマンサちゃんだ。これから貴女も色んな事を聞く立場になるのよね。


「レイカ義母さん。」

あ、ラーラさん、貴女もね。


「心配しなくていいのよ、とりあえずシンゴくんとかは無事だから。あ、ディックさんもセピアさんもね。」

「ホントですか!」

うん、だから気を揉まないでね、妊婦さん。


ちなみにモスマンの繭はちゃんとマーズさんが回収して、新居にしまったそうだ。そう言うことはしっかりしてるねえ。


ずばり「猫」と言う歌から。北村匠海さんの。

「あんぱん」みてます。面白いですね。

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― 新着の感想 ―
サビしか知らない曲・・・従妹の子が大ファンなので、その曲の前から知ってはいますが。 猫にまとわりつかれてみたいものだとは常々おもっております。 猫ちゃんがぺろぺろするあのキャットフードCMのロングバー…
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