末は博士か花嫁か。才女の子は才女。
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さて、十二月も中頃である。
アンちゃんは、ダンスに励んでいる。
ギガンドからの亡命振り付け師をやっと捕まえて練習三昧だ。
曲は、オペラ座の怪人らしい。王妃様好きだもんねえ。
まあ、頑張れ。
「うん、じゃんじゃんがじゃーん。」
「じゃかじゃーん。」
ハモって?るのはウチの双子である。
そして見よう見まねで踊っている。すげえ。
「流石アンディさんのお子様ねええ。」
「エリーフラワー様!」
いつのまにかエリーフラワー様がミネルヴァちゃんと来ていた。
「ほほほ。アンディ様から注文されていた、仮面を持ってきたのよ。メリイさん監修よ。
四季?モデルらしいわ。」
エリーフラワー様の手には顔を半分弱、隠す仮面があった。
「ありがとうございます。エリーフラワー様。
コレは、あー、こうやってつけるのか。なるほど。」
アンちゃんがシゲシゲと観察してつけてみる。
あら、似合うじゃない?
「アラン様も来られるんでしょ。」
エリーフラワー様がにこやかに尋ねる。
「そうなの♡私の晴れ舞台を見たいって。きゃっ♡」
相変わらずアラン様ラブのアンちゃんである。
ファントムが恥じらっている。シュールな光景だ。
「王族が沢山来られるからキューちゃんには潜んでもらうし。メリイさん達も招待されてるから龍太郎君も来るし。警備は平気よね。
あー、楽しみだわ!」
「楽しみー!」
「あら、ミネルヴァちゃん。」
ウチの娘達と遊んでいたけどコチラをみてニッコリとした。彼女は四歳だが中身は凄いのである。
そのうち見かけは子供、頭脳は大人になりそうである。
何しろカタコトだが五つの国の言葉が話せる。絵も上手い。
「これね、アタシが考えたお人形しゃん。モデルはアタシなの。
ね、ランちゃん、アスカちゃん。」
お人形である。リ○ちゃんやバー○ーちゃんみたいな大きさだ。
確かに。ミネルヴァちゃんと同じ髪の色に目。
エキゾチックな美人である。
「おててが曲がるように、ちたの。」
いわゆる関節人形である。あー、この世界にはなかったか。
「おほほほ。私は小さい頃お人形遊びをさせてもらえなかったのよ。だからこの発想は無かったわ。」
エリーフラワー様。毒親に搾取されていたものね。
色んな発明と研究を強いられてはその手柄と売り上げを取られていたのだと言う。
「お人形、お着替えさせたいけろ。小たいパーツを子供が飲んじゃいけないの。くふう、ちないと。」
……やはり中身は大人なのでは。
「今度はエドガー王子たまの人形も作りましゅ。」
リ○ちゃんとボーイフレンドのわた○くんみたいに?
「そしてモデルが大きくなったら変えるの。学校にはいったら、制服きせて、
結婚するときはウェディングバージョンにしゅる。
もうかりまっせ。くふふ。」
ええっ。中の人は、あきんどなの?
「おほほほ。お人形は売り出すことに決めましたの。
売り上げはミネルヴァのものですわ。」
「ウン。将来のためにつみたてます。老後のこともかんがえなくては。」
老後を憂いる四歳児。
私もアンちゃんも母やラーラさんもいるが、みんな口をポカンと開けた。
「しっかりしたお子様ですねえ。未来の王子妃にピッタリですわ。」
ショコラさんだけが動じずにニコニコしている。
そこに、
「こにちわ。」
あら。サファイア君も来ていたのね。
「恥ずかしがっちゃって。カーテンの後ろに隠れていたの。」
「ふふふ。俺が先にカーテンに潜んでいたんですけどね。シーッって指を立ててはいってきましてね。」
シンゴ君もその後ろからにこやかに笑って現れた。
「ランたん。あそぶ!ぼくと!」
そしてランのところへ突進だ。
あらあら。
「おほほほ。やはりウチのサファイアはランちゃんを気にいってるのね。」
「今日は服は同じなんですよ。よくわかりますね。」
「うん、私もわかるよ。」
ミネルヴァちゃんが得意げに言い放つ。
立ち上がって手を腰にあてて、えっへん!のポーズだ。
可愛い。
「あのね、ランちゃんほうがおめめが少し離れてる。
そしてね、アスカちゃんのほうがおくちがちょっと大きいの。後はね、1番わかりやすいのは。ランちゃんには、」
「「右耳たぶにほくろがある。」」
ミネルヴァちゃんとサファイア君の声がそろった。
……凄い。そうなの、それが1番わかるんだけど、公表してないのに。
「まああ。ものすごい観察力ね!」
母である。
「私たちは髪のクセと量で見分けてるのに。」
ラーラさんも頷いてる。
そう。ランのほうが髪がはねる。そしてちょっと多いのだ。
「それは、すぐわかるから、あえて言いませんでした。」
更に体をそって、威張っちゃってるミネルヴァちゃんだ。
「流石、エリーフラワー様のお子様ね。」
心の底から感心した。
「おほほほ。レイカさん、サファイアはランちゃんを気にいってるわ。どうかしら?」
ぎくり。
縁談の打診かい。
「え、えーと。本人に決めさせることにしてるから、
年頃になってから。ごめんなさいね?」
エリーフラワー様は微笑んだ。
「そうね、恋愛結婚が良いですものね。ごめんなさいね、急ぎすぎたわ。」
そこで私の所へ寄って来てささやく。
「王妃様からの打診は聞いてますの。ヴィヴィアンナ様が食い止めたことも。
ウチと婚約したら、王家も引くからよかれと思ったの。」
確かに。エリーフラワー様にはリード様も王妃様も遠慮する。
エリーフラワー様もウチを守ろうとしてくれてるのよね。ありがとう。
「ほほほ。ウチの家系は愛が重くてまっすぐですからね。
サファイアもコレから物心ついたらアターック!しまくると思いますわ。」
……ははは。
末は博士か花嫁かは、はいからさんが通るに出てきたフレーズだったと思う。
他にそう言うタイトルの漫画もありましたね。牧村さんでしたっけな。




